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いつかの桜・SS

いつかの桜SS・9

作者: 久義遼太

キーンコーンカーンコーンとお馴染みの鐘が鳴る。

「終了ー。答案用紙を集めるぞー」

担当教師が答案を集め終わって出ていくと、一気に教室が騒がしくなる。

「あー・・・やっと終わった」

どさり、と俺も机に突っ伏した。

「大げさねぇ。たかが学年末考査で」

後ろの席から俺と悠の間に来た澄が呆れたように言う。

「いや、俺の反応が通常だと思うぞ。試験があろうとなんだろうと常に通常営業なお前らがおかしい」

「僕はそんなにいつも通りなわけじゃないんだけど・・・澄ちゃんは本当にいつも通りだねー」

後ろを向いて俺の隣に顔を乗せて言う悠。

「あれ、珍しいわね。悠もお疲れ?」

「んー、お疲れと言うか眞子さんのテストは毎回頭がぐるぐるなるよ」

たれ目をさらにへにょんと下げて言う。

「ああ、眞子ちゃんは確実に何かして来るから・・・大問一つフェイントラッシュとかやめてほしいわよ」

「・・・そんなんあったのか?」

「多分ね。多すぎてあたしもちょっと自信ないわ。よくあれだけひっかけ問題考えたもんよね」

「だよねぇ。見直す度にあれ?ってなるんだもん」

「ちなみに何個見つけたんだ?」

「13」

「う、僕11問しか見つけてない」

「・・・俺3問しか見つけてないんだが」

「まぁ一回のテストでひっかけ問題なんて3問でも多いくらいよね。」

「何をしてくれるんだあのアホ娘は・・・」

疲れが倍増した気がする。

努力と悠と澄のおかげで何とか勉強についていってる身としては気付けなかった事も点数が大きく下がる事もなかなかに辛い

「まぁ眞子さんだし多分ひっかけ問題の点数は下げてくれるだろうから大丈夫じゃないかな?」

「だといいんだが・・・」

品行方正いい生徒でいないと色々と面倒くさい身にとっては嫌な事態だ。

「あー!もう終わったことだ仕方ねぇ!」

そこまで考えてから考えるのをやめてがばぁ、と体を起こす。

「遊びにでも

「何言ってんの終わってないわよ?」

行くか、と言おうとした瞬間に隣から冷静な声がかかる。

「・・え?」

「いや、終わってないわよ?」

「・・・今日最終日だぞ?」

「知ってるわよ。

あんた一沙さんに点数下がったらあたし達に叩き直されるまで帰ってくんなって言われてたでしょうが」

確かに言われた気がするが。

「冗談だろ?あれ。」

「あの後あたし達すごい丁寧に頼まれたわよ?」

「ちなみに今日僕の家に泊まれるよ?最初の日にもう雲行き怪しいって言ってたから準備してたから」

「さすが悠。手回しがいいわね」

「・・・冗談だろ?」

「諦めなさい。眞子ちゃんのおかげで点数も下がっちゃった事だし一沙さんが冗談で言ってたとしてももう決定よ。」

「いやー、お前らも疲れたろ?今日くらい遊ぶとか休むとか

『勉強楽しいから大丈夫。』

うわユニゾンですごいセリフでさえぎられた。

「やっほー♪みんな絶望して無いかなー?」

そのタイミングで入ってくる俺を絶望させた張本人。

「まぁ恨むんなら眞子ちゃんを恨みなさい。」

ぽん、と肩を叩いて席に戻る澄。

「末代まで祟ってやるぞこんちくしょー・・・」

再び机に突っ伏す俺。

「まあまあ。優しくするからそんなに気落ちしないでよ」

「期待せずに期待しとくわ・・・」

まぁ、教えてもらえることには感謝の念しかないんだが。


ーーーこの後、澄先生と悠先生によるアメとムチ(ムチ多め)授業が一晩続いたのは言うまでもない。

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