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カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第8章 『デビューライブ、そしてデート ~それぞれの前夜~』 
82/126

81.カエデ

各話のタイトルの人物がその話の主人公となります。話ごとに主人公がかわりますので、少し読みにくいかも知れませんが。ご了承ください。




 明日は、『暗黒豆腐少女』のデビューライブだ。だめだ、ドキドキしすぎて、眠れそうもない。


 私は心の底からふけさんに感謝したい。ふけさんのおかげで、立ち直ることができた。ミミさんの言葉は、痛かった。辛かった。アイドルになるという夢を、あきらめようと思った。7日間家でひきこもっている間に、私の夢への活力は、完全にゼロになっていた。


 でも、ふけさんにやさしく抱きしめられたとき、もう枯渇したと思っていた活力が沸いて来た。私はこの活力がどこから来ているのか、そのときはわからなかった。でも、今ははっきりとわかる。この力は、ふけさんの力だ。


 今まで私は、一人で『アイドルになる』という夢を掲げ、一人でその夢を背負って歩き、一人で折れそうな心を支えてきた。でも、今は違う。今は、ふけさんがいる。ふけさんと二人三脚で夢を掲げることができる。二人で夢を背負うことができる。私が夢の重圧に負けて、支えきれないときは、ふけさんが支えてくれる。それを知っているだけで、私は強くなれた。


 結局、夢と本気で向き合う瞬間っていうのは、人は一人だ。一人の力のみで夢に挑み、一人の力のみを評価され、一人の力のみで夢と向き合う恐怖と戦わなければいけない。でも、そんなとき、誰かの支えがあったら人はものすごい力を発揮できる。心を支えてくれる他の誰かがいるだけで、一人の力は何倍にも膨れ上がるんだ。


 ふけさんはそれを言葉ではなく、抱きしめることで教えてくれた。もう、大丈夫。私は絶対にブレない。アイドルになる。もう、立ち止まらない。


 デビューライブ前夜、私がこんな感じで自分自身を鼓舞していると、ふけさんからメールが届いた。


『カエデさん、明日のデビューライブがんばってください。それと、ごめんなさい。実は、明日のデビューライブに私はいけません。ほんとうはもっとはやく言うべきだったのだけれど、今日まで言えませんでした。ごめんなさい。とにかく、私は明日、君の傍にいてやれないけれど、私の心は君の傍に置いていくつもりです。だから、明日のデビューライブ、思う存分暴れてください。健闘を祈ります』


 正直、ふけさんが明日のデビューライブに来られないこと、ショックだった。でも、ふけさんは『私の心は君の傍に置いていく』という言葉をくれた。私にとって、それだけで十分だ。その言葉だけあれば、あとは自分の力でステージに立てる。だから、ふけさん安心して。私、大暴れしてくるから!


 私はそんなことを考えながら、ふけさんに返信のメールを送った。


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