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カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第7章 『カエデさん何処へ!? ~ピンポーン! ピンポーンピンポーン! カエデさん! いるなら返事して!~』
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80.警察官川島

『じ、実は……そのカエデっていう少女を探しているのは、僕じゃなくて…………社長なんだよ』


 俺は、何であんなことを言ったのだろう? 田中敬一の力になりたかったから? 違う! 確かに田中敬一の力になってやりたいとは思っていたけど、ハルカちゃんに無理を言ってまで力になってやりたいとは思っていなかった。じゃあ、なんで? なんでわざわざ“社長”という言葉を使って、ハルカちゃんに「カエデという少女の住所を教えて欲しい」と頼んだんだ?


 ……わかっている。わかっているんだ、ほんとうは。俺はただ、憎かっただけ。目の前にいる俺じゃなくて、どこか遠くにいる社長のことばかり見ているハルカちゃんが、憎くてしょうがなかったんだ。だから、“社長”と“マネージャー”を天秤にかけさせて、ハルカちゃんを困らせて、憂さ晴らししてやろうと思ったんだ。


 でも、ハルカちゃんにとって“社長”という言葉は、ただの言葉じゃなかった。


『じ、実は……そのカエデっていう少女を探しているのは、僕じゃなくて…………社長なんだよ』


 この言葉を聞いてからのハルカちゃんは、ほんと、笑っちゃうくらい別人だった。


“社長さんのためなら”


 そう思った瞬間から、ハルカちゃんの行動力・会話力は跳ね上がり、体中からエナジーが溢れていた。そして、ものの数分で、あれほど電話越しに渋っていたマネージャーから、カエデという少女の住所を聞きだした。


 そんな恋の力のすさまじさを目の当たりにして……『完全に負けた』、そう思ったよ。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



『あ! もう時間だわ。私次の撮影があるので、そろそろ失礼します』


『……ハルカさん、今日はありがとう。すごく、楽しかった』


『私もです。またランチ、ご一緒しましょうね』


『…………ハルカさん、これ』


『これは……?』


『社長さんの……いや、田中敬一の連絡先』


『え?』


『これからは、僕を介する必要はない。直接、田中敬一と連絡を取るといいよ』


『えっと……川島さん?』


『それじゃ、さよなら』


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