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カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第5章 『歌詞を書こう! ~どしたのどしたのどしたの!? 何で殴っちゃたの!!~』
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43.ふけさん


『ふけさん、ごめん。店主殴った』



「ぶはぁうわううう!!!」


 私はカエデさんからのメールを読んで、思わず飲んでいたコーラを噴出した。


「おい! 田中敬一汚いぞ!」


「すまん、友よ。急用ができた。サラバ!」


 私は直ぐに荷物をまとめて、席を立った。今日も川島くんに拘束されていたのだが、これは一大事。川島くんにかまっている暇はない。


「おい! まだ話は終わってないぞ! 捕まえるぞ、この野郎!! お……」


 背後で川島くんの声が聞こえた気がしたが、きっと空耳だろう。私は大学以来の親友であり、今現在警察官として立派に働いている川島くんに心の中で「サヨナラ」と別れを告げて、喫茶『パンヌス』へと急いで向かった。





「カエデさん!? いったいどういうことなの!? ……カエデさん?」


 喫茶『パンヌス』のドアを勢いよく開けて、困惑の思いを叫びながら、私はいつもの席を見た。そこに、カエデさんの姿はなかった。


「カエデ……さん? どこにいるの?」


「やあ、ふけさん遅かったね。カエデちゃんなら、さっき救急車で運ばれたよ」


「え!! どいうことマスター!? どこの病院? 何があったの? 怪我? 病気? 事故? 何があったの!?」


 私はマスターの胸ぐらを掴み、大きく揺さぶり、真相を求めて詰め寄った。


「うげぇ……ぐ、ぐるぢぃいよ……」


「ねえ!! マスター!! 答えてよ!!」


「ぐぅ……がほぉ!」


「どういうことなんだよ! マスター! 何とか言ってくれよ!!」


「…………」


 数分後、マスターは何故なぜか気を失い、倒れた。カエデさんだけでなく、マスターの身にまで災いが起こるとは……。


 何かが狂い始めている。私はそう思わずにはいられず、とりあえず救急車を呼び、マスターの胸元についている私の指紋を拭き取り、ことの一部始終を見ていた客に賄賂わいろを渡して退店してもらい、喫茶『パンヌス』の店先に「本日の営業はマスター不在のため休止致します」と書いた紙を張った。


「ピーポーピーポーピーポー」


 そして、救急車が喫茶『パンヌス』にやってくると、救急隊員に

「どうやら喫茶『パンヌス』の経営がうまくいかず、マスターは自殺を図ったらしい」

 と虚偽の状況を説明し、気を失ったマスターと共に、私は救急車に乗り込んだ。


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