表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第4章 『アイドルプロダクションに潜入せよ! ~この全身黒タイツはただのオシャレだ!!~』
38/126

37.ふけさん


「ところで、あなたはどちら様ですか? 何の用があって、めったに誰も来ない倉庫にいらしたんですか?」


「あえ……実は……そ、そう! 私はプロデューサーです。実は過去にボツになった音源を捜しに来たのですが……」


 私はミミさんの問いに答えるため、とっさに嘘をついた。まぁ、いつものことだ。


「……それでしたら、こちらのダンボールにありますので、どうぞ」


 ミミさんはか細い両腕で、大き目の段ボール箱を棚から下ろそうとした。私はミミさんの細い腕が折れてしまうのではないかと思い、ハラハラした。


「あぁ!」


 案の定、ミミさんのか細い腕ではダンボール箱を支えることができず、棚の上からカセットテープが大量に入ったダンボール箱が落ちてきた。


「危ない!」


 私はとっさに腕を伸ばし、ミミさんを抱きしめて落下するダンボールから守った。


「ありがとう……ございます」


 ミミさんの顔が近い! う、美しい!


「あ、す、すいません……」


 私はとっさのこととはいえ、ミミさんを抱きしめて恥ずかしくなり、直ぐに手を離した。


「ははは、あ! こ、これですね。では、いただいていきます。そ、それじゃ」


 私はテレを隠すように、地面に散らばったカセットテープの中からテキトウに1つ手に取り、その場から逃げようとした。


「ちょ、ちょっと待ってください!!」


 不意に、ミミさんに呼び止められた。もしかして、愛の告白かい? ベイビー。俺にほれたら、火傷じゃすまないぜ!


「何で全身黒タイツ姿なのですか?」

「……最新のオシャレです」

「私、これでも勤勉な性格でして、社員の方全員の顔と名前を把握しております。しかし、あなたのことは知りません。それに、あなたのその格好……まるで、映画に出てくるような泥棒にしか見えないのですが……」


 私は直ぐに身をひるがえし、全速力で倉庫の出口に向かって走った。やばい、ばれた。


「あ、あの! ちょっと待ってください! これ……」


 ミミさんは、か細い声で何かを叫んでいたが、私は聞こえないフリをして逃げ出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ