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カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第4章 『アイドルプロダクションに潜入せよ! ~この全身黒タイツはただのオシャレだ!!~』
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36.アイドル研究家


占いアイドル『クリスタル』



 アイドル研究家の間では、有名なアイドルグループの一つである。アイドルプロダクション『わっしょい』に所属していた。


 メンバーは、未来を見ることができる(という設定の)『ミミ』、過去を見ることができる(という設定の)『ミカ』の二人。明るいアイドルが多い中、「暗さ」を売りにした数すくないアイドルグループであり、デビュー当時からそのキャラクターは話題を呼んでいた。


 そんな彼女達の一番の魅力は「占いができる」という設定であることは言うまでもない。しかし、そんな特技一つで乗り切れるほど、アイドル業界の波はやわくない。最初こそはその面白い特技に業界が食いついた。しかし、ある程度するとすぐに飽きられてしまった。それはある意味、アイドルの運命なのかもしれない。


 そんな中、何とか人気を保っていられたのは他ならぬ、『ミミ』の存在あってのことだろう。『ミカ』ははっきり言ってかわいくなかった。太っていたし、顔もアイドル水準を満たしていなかった。それに、がさつで品がなかった。ただ、しゃべりが達者で人に取り入るのがうまかったため、何とかアイドルとして生き延びることができていた。


 その反面『ミミ』は超美形で色白、さらにスタイルが抜群に良かった。歌唱力もすばらしく、何より品があった。アイドル研究家の私から見ても、過去から現在を通して5本の指に入るほどのアイドルポテンシャルの持ち主だった。しかし、そんな『ミミ』にはアイドルとしての致命的な欠点がいくつかあった。まず、笑顔がへったくそだった。その笑顔はあまりにも酷く、ネットでは『顔面麻痺』というあだ名で『ミミ』の引きつった顔の画像がネタとして多く使われた。さらに、声がとても小さく、閉鎖的で、うまく人に取り入ることのできない人間だった。人に何か頼みごとをすることのできない人間だった。


 それは、アイドルとして致命的だった。アイドルとは人に頼みごとをする仕事であり、人にお願いをする仕事なのだ。自分という存在を押し付ける仕事なのだ。でも、『ミミ』はそれができない人間だった……。



 結果的に、占いアイドル『クリスタル』は結成から5年で解散を向かえた。『ミカ』のアイドルとしての実力不足と『ミミ』の社交力の低さを考えれば、まぁ、長続きしたほうだと私は評価している。


 ちなみに予断だが、『ミミ』は今現在アイドルプロダクション『わっしょい』の社員として働いている。そして、『ミカ』は、女優として体をはっている……当然、まっとうな女優ではないことは、賢い読者諸君ならおわかりだろう。アイドルの水準を満たしていない賞味期限切れの女が行きつく先は……はぁ、想像したくもない。


 アイドルのその後ほど、残酷なものはない。私はそんなことを考えながら、締め切りギリギリでコラムの記事を書き上げた。



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