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カシューナッツはお好きでしょうか?  作者: ストレッサー将軍
第12章 『空白の3ヶ月 ~新人ナースとイチャイチャパラダイス~』
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103.ふけさん

 さて、読者諸君、こんにちは。この物語の主人公、“ふけさん”こと田中敬一です。これから、私が刺されてから3カ月の間にあった出来事について話そうと思うので、お付き合い願いたい。さて、まずは私のことについて語ろう。





 商店街の祭。カエデさんのデビューライブ。あの日、私は刺された。包丁で、グサッと。それで、血がドロドロと出て来て、「なんじゃこりゃ~!!」と叫ぶ間もなく意識を失った。



「……ここは? あれ? 私はいったい…………?」


 私が意識を戻したのは、5日後のことだった。目覚めた場所は病室で、私の目の前にはカエデさん、ハルカ君、川島君、そして、なぜかアイドル研究家の舞茸ひろしさんがいた。


「ふけさん! よかった……」

「社長さん……」


 カエデさんとハルカ君は、涙を流して泣いていた。特にカエデさんは、酷く泣いていて、メイクもぐちゃぐちゃで、アイドルにあるまじき不細工フェイスだった。でも、それがとても愛しかった。


「敬一…………すまない、俺が、俺がちゃんとしていれば……」


 川島君は川島君で、酷い顔をしていた。自分のことを責めている様な、険しい顔だった。


「えっと……川島君、状況を説明してくれるかな?」


 何が何だかまったくわからなかった私は、刺されてから今までのことを川島君に尋ねた。


「実は、お前は喫茶『パンヌス』のマスターと名乗る男に刺されて、その後救急車で……」


 私は刺された後、すぐに病院に運ばれた。そして、すぐに緊急手術室に入った。思いのほか傷が深く、出血も多かったため、「最悪死ぬかもしれない」と医師は言っていたらしい。わぁ……ゾッとするわ。生きてて良かった。


「それで、一命は取りとめたんだが……」


 結果的に私は一命を取りとめたのだが、意識が一向に戻らず、5日間寝たきりだったらしい。


「……それで今さっき、ようやくお前は目を覚ました、というわけだ」


「なるほど。そんなことになっていたとわ…………ぅう! いてて……」


 急に痛みが出てきた。私がその痛みに耐えて歪んだ顔をした瞬間、先ほどまで黙っていた舞茸さんが口を開いた。


「マネージャーさん!! あなたが退院するまでの間『暗黒豆腐少女』のプロデュースを、私に任せてもらえないだろうか!!」


「え?」


 舞茸さんは何を言っているんだ? 私はキョトンとしてしまった。カエデさんもハルカ君も川島君も、キョトンとしていた。今は私が意識を取り戻したことをただ喜ぶ時間ではないのかい? 舞茸さん空気読んで! 私はそう思ったのだが、どうやらこの時の私は体も精神も弱っていたらしい。


「絶対に悪いようにはしないから!! ね!? お願いしますよ!!」


「は、はい……」


 舞茸さんの暑苦しい情熱に負けて、私は思わず「はい」とうなずいてしまった。


 

 ……それから、私は3カ月間の入院生活を経て、今に至るというわけだ。


 まぁ、私については基本的に病室で寝ていたか、ナースの真美ちゃんとイチャイチャしていただけなので、これ以上の話はない。次は……そうだな、まず先に川島君とハルカ君のことについて話そうか。





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