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魔力徴収。それは世界の循環構造を崩壊させる力だった。  作者: 唯野丈


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7/10

7

(サラ視点)


 町外れの教会。

 人通りも少なく、静謐な空気で満ちている。

 ここで毎朝の礼拝を行うのが私の日課。


 祭壇に設置してあるのは3体の像。

 「星喰らいの原初獣」アグリオス。

 「巡る魂の炉心」エウロス。

 「天より見下ろす裁定者」ノーヴァス。


 聖教会が神と崇める3神だ。世界の安定があるのは、この3神のおかげだと言われている。

 

 いつも通りに3神に感謝の祈りを捧げつつ、改めてカインの事を考える。

 明らかに異常な力。

 でも、幼い頃からカインの事を知っているけど、そんな片鱗を感じたことはない。


 私とカインは、サナト村で物心ついた時からずっと一緒だった。

 カインにはお母さんがいなかった。カインのお父さんのアベルは、元A級冒険者であり、戦いに関してはプロフェッショナルだけど、家事が壊滅的にできない人だった。

 見かねた私の両親が食事の差し入れなどを行うようになったのがきっかけで、お互いの家を行き来する間柄になった。


 私が10歳の頃に、私たち一家はお父さんの仕事の関係で王都に引っ越した。そこからカインとは一度も会ってない。

 カインと再開したのは、2年前。

 ギルドでたまたま神官の募集をしているパーティ「蒼刃」を加入してみたら、カインがいた。

 再開したカインは記憶通りのカインだった。特におかしな点はなかったと思う。


 あれ?そういえば…

 

 サナト村は第三迷宮から溢れ出した大量の魔物により消滅した。私は、カインの心情を配慮して、その話題は極力出さないようにしていた。


 でも、ある日、どういう会話の流れだったのかは忘れたけれど、酒場でサナト村が壊滅した時の話題をドルベが出したことがある。

 その時、私はカインが深く傷つくんじゃないかと思って心配して様子を伺ってたんだけど、全く反応がなかった。

 その時は、カインが傷つかなくてホッとしたけど、改めて考えるとおかしい。


 もしかして、あの時、何かが…


 そう考えていた時、突如、教会の扉が開いた。


 特徴的な純白の法衣にノーヴァス神を模った印章。


「…異端審問官」


「ご名答。さすが神官だけありますね」


 男が私の呟きに反応する。


「自己紹介致しましょう。私は上級審問官アルベルト。第七迷宮の件についてあなたにお聞きしたいことがあります」


「すでに教会に報告を上げています。それ以上でもそれ以下でもありません」


 じわじわ下がりながらそう答える。

 異端審問官は教会でも忌み嫌われる存在。

 自らの歪んだ正義を貫くために、どんな手も厭わない。


「身体に聞けばすぐ分かることです」


 アルベルトの足元から、白い荊が伸びてくる。


「これは、『贖罪の荊』!?」

 

 異端審問官が好んで使う兵装。

 相手を傷つけると同時に回復させる。痛みだけを残して。


「よくご存知ですね。ならば説明は不要でしょう。さぁ、審問の開始です」

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