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下手な演劇

作者: 仲仁へび



 みんなで演劇ができることが決まって、喜んだ。


 これが夢だったんだ。本当に嬉しい


 ずっと、この日に向けて練習してきたんだから。


 売れたチケットの数をみると、観客は少ない。


 演劇を行う舞台は小さい。


 けれど、皆で協力して、これをなしとどければきっといい思い出になると思って、何度も練習した。


 つじつまが合わない話を修正したり、不自然な言動がないか確認したり。


 上演時間は少しだけど、それでも完璧になるように努力した。


 そして本番。


 全身全霊で演劇をこなした。


 少ない観客だったけど、満足よ。


 取るに足らない物だと誰がいったとしても、私たち自身は100パーセントの出来だと思ってる。


「なんて下手な演劇だ」


「声はしわがれていて聞きずらいし、動きはぎこちないじゃないか」


「舞台のセットもなんだか統一感がない」


 舞台の幕が下りて、私達は心残りがない事を確認し、その場で今度こそ全てを終わらせた。






 例の演劇、出演者が全員死んでいたみたい。


 話によると前日に天井が崩落してみんな下敷きになってしまったんですって。


 発見されたときは、死後数日経過していたそうよ。


 でも死んだ後に、誰かが彼らを無理やり動かしたような形跡があったみたい。怖いわね。



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