常勝無敗9
魔道戦車が上げる火柱を見下ろしながら姐さんに通信を入れる。
「この騒動は、スルトタガンが絡んでます。俺は更に奥に行くんで後、お願いしていいですか?」
眼下の遺跡のそばに陣幕があり、そこから兵士たちが散り散りに逃げて行く。
「今、ツヴァイを送ったっス。陣幕には手を出さずガインは遺跡を頼むっス」
流石、姐さん仕事が早い。
最精鋭の一人『瞬移のツヴァイ』は二つ名の通り限定的ではあるが転移の能力を持っている。
視覚情報があればその場に移動できるという力。それは通信映像であっても可能であり、もうこの瞬間にあの場所にツヴァイは到着し情報収集が始まっているだろう。
さあてそっちはお任せして、俺のやるべきことをしましょうかね。
オーガも楽々と通ることのできる巨大な六本の柱が支える大きな神殿の入り口に近づくリヒトリーゼ。
神殿の奥から今だに妖魔達が湧き続けている。叫びを上げて襲いかかって来る妖魔達を断ち切りながら奥に進んでいく。
途中、横穴から術師が魔法陣の上に乗り魔術を行使してくる。大きな火柱をたてそこから火の玉を飛ばしたり氷柱からつららを飛ばしてくる。
俺の目には魔力回路の発動が見える。魔術を全て寸でで躱し、対人制圧弾を使用し雷撃で麻痺させ無力化していく。
奥に進むにつれ、敵の攻撃が激しくなる。術師の魔術回路も防衛に特化していて、守りつつ攻撃を行う要塞のような氷塊と石壁。
氷弾と石弾にリヒトリーゼの装甲が削られ始める。狭いオーガが4匹ほど通れる大きな遺跡だが、回避するにはやはり狭い。
これだけの猛攻、恐らくもうすぐ最奥だろう。ここで切り札を切る。
腕でメインモニターのある頭部を守り体を縮め防御に徹する。周りを妖魔が囲み牙や腕で襲いかかってくる。
容赦なく振り注ぐ氷弾と石弾。リヒトリーゼの防御魔術が悲鳴をあげる。しかし、俺は忙しなく魔力回路を次々と起動させて行く。
背中の魔導炉が高熱を発し、甲高いタービン音をあげる。パワーゲージがレッドラインを超える。
六つの魔力回路が並列で展開し、あの大賢者マリア様ですら構築不能の大魔術を発動する。
リヒトリーゼが金色に輝き、圧力を持つほどの余剰魔力が妖魔たちを吹き飛ばす。
威風堂々歩み始める金色の巨人。
雷鎚、石弾、氷弾、火炎弾が金色の魔力に当たると、まるで何も無かったように霧散する。
『絶対空間』
世の理を捻じ曲げて望む現象を作り出す魔術。その魔術の存在を許さない空間を生み出すリヒトリーゼの切り札。
一気に進む。押し寄せる魔術を無効化。
石壁、氷壁、炎の柱が一瞬にして消滅しリヒトリーゼに道を譲る。
常に吹き出す不可視の魔力が近づく妖魔をはじき飛ばす。
さぁ、魔王さんよう。
ちょっくら俺と遊ぼうか?




