常勝無敗8
戦場を荒らし回っていた刃を回収し、二刀流で妖魔を蹴散らしながら東の遺跡を目指す。
次々と、途切れずにやってくる多彩な妖魔たちを切り伏せながら、リヒトリーゼの巨体が森をひた走る。
目指す場所は目の前の妖魔でできた、道の先にあるはず。背中の魔道炉が唸りを上げリヒトリーゼの全身の魔力回路に魔力を供給し、巨大な獣が餌を食い散らかす力を与える。
俺の後ろには妖魔の亡骸が道になって続いて行く。遺跡に近づくにつれ敵に歯ごたえが出てくる。
強化の力が強まっている、これはエルクニヒの力だ。やはり、魔王が現れている。
だが、解せない。あまりにも妖魔に手応えがない。
そんな疑問を持ちながらもリヒトリーゼで妖魔を狩り続け、遺跡の近くまでたどり着いた時。
とっさに右足を持ち上げ足裏のブースターを全開!
身体が浮いたところで左足も揃え、同じくブースターを起動させて左方向にリヒトリーゼの体を吹っ飛ばす。
ジュ!
という音をたて先ほどまで俺がいた所を極太の雷鎚が、木々と妖魔の骸を焼きながら通り過ぎる。
倒れ込んだ体勢から転がり仰向けの状態から背面のブースターを使い空中に飛び立つ。
足や腰を動かしながら八基のブースターを総動員し態勢を整える。
空中で回避行動を行いながら移動を開始する。
雷鎚と高速で放たれる石弾が俺を襲う。懸命に避けながら相手を索敵。
超遠距離、遺跡の脇にリヒトリーゼの三倍ほどの大きさを誇る虫のような六本脚が特徴の兵器あり。
極太の砲塔をこちらに向け、砲の奥にある魔術回路を使用して二体で絶え間なく石弾と雷鎚を撃ち込んでくる。
六本脚に改良されているが間違いない。スルトタガンの魔導戦車だ。
二体の連携の取れた攻撃を、魔力回路の解析による先読みでぎりぎり躱していく。回避優先の為、思うように間合いを詰められない。
ジリジリと間合いを詰めるが、雷鎚が徐々に装甲を掠め焦げ跡がリヒトリーゼに刻まれ始める。
焦るな俺! こんなのピンチなんかじゃねぇ。
俺は勝つ!
最善を尽くし淡々と回避と間合いを調整する。
そして、待ちに待った瞬間が訪れる。
用意してあった魔術回路『加速』に魔力を込める。生身の時よりもリヒトリーゼの分多くの魔力を持っていかれるが想定内。
リヒトリーゼがジグザグの軌道を描き木々をすり抜け、石弾も雷鎚も捕らえられない速度で右の魔導戦車に肉薄。
両手の武装と体当たりも絡めた格闘戦で魔道戦車に連撃をとめどなく与えていく。一息付く間に百以上の連撃を一か所に受け続けた鉄壁の装甲に大きな亀裂が入る。
ハルパーを上空に投げ、流れるように腰から吸着式魔道爆雷を亀裂にセット。
ブースターで上空に退避と共にハルパーを回収。
刹那の出来事。
相手が認識し、時が動き出す。
爆雷は装甲の亀裂から爆炎を魔道戦車の隅々まで届け、火柱のオブジェと作り替える。
爆風を受けリヒトリーゼはさらに上空へと舞い上がる。
空中で左手のハルパーの柄を引き伸ばし特殊な構造の柄をリヒトリーゼと同じくらいまで伸ばす。
柄の先に右手の巨大な刃を装着し眼下の魔道戦車に狙いを定め大きく振りかぶり、巨大な槍を解き放つ。
リヒトリーゼの超怪力、落下力、ブースターの推進力で槍は轟音を立てて魔道戦車に襲いかかる。
そして、空気との摩擦で赤熱化した槍が鋼鉄と防御の術式を易々と打ち破った。
刃に仕込まれた全ブースターが内部から魔道戦車を焼き尽くす。
高い火柱が上がり、まるで奴らの墓標の様に遺跡を赤く染め上げる。
さぁて、守護者は不在。
どんな魔王が出てくるか?
ここまで来たら全部喰らい尽くしてやるぜ!




