常勝無敗7
大型の妖魔の首を次々と刈って行く巨大な二足歩行の獣、俺が操る魔導鎧『リヒトリーゼ』
ブースターが唸りを上げ戦場を縦横無尽に駆け抜け、左手のハルパーを巨人の首にかけてスパスパッと刈っていく。
刈った首が落ちきらないうちに、次の首が飛ぶ。
こんな早業を可能にしているのは、背中、腰に2基づつ、両足のふくらはぎと足の裏の計八基のブースター。
高出力なブースターの推進力で小屋ほどの大きさを誇る巨大な魔導鎧が戦場を我が物顔で突き進む。
城壁沿いに大物の首を刎ねていく。その道すがら、先ほど俺が投げた自動で獲物を狩り続ける刃のブーメランの魔の手から逃れた小型の妖魔が固まっている場所を見つける。
左手で首を刈りながら空いた右手で爆裂の魔術を刻んだ宝玉を妖魔達の密集地に投げいれる。
地面に触れると巨大な火柱が妖魔たちを消し炭にし少し離れていた者も、火傷を負って転げ回る。
外周をぐるりと回りながら殲滅を繰り返す。防壁の上からの声援に応えながら当面の敵をバッタバッタと切り伏せる。
幾重も火柱が轟き、刃のブーメランが飛び交う中、首刈りの神獣が駆け巡る。阿鼻叫喚とはこの事だな。
さて開戦から数分経って初めから感じてた違和感が確信に変わった。
こいつらまともじゃない。自己防衛の為の防御以外は撤退をしないのがおかしすぎる。元々妖魔の類いは賢くはないが悪知恵が働く。
自分の身を犠牲にするっていう覚悟は基本的には無い。例外として何かしらの強制力が働く時は団結することがある。
それは王に率いられている時だ。妖魔には『エルクニヒ』という王として生まれる存在がいる。妖魔に対して絶対の服従を与えるまさに魔王と呼ばれる者。
ただ、仮に今回の件が魔王絡みとしたら………ぬるい。
2年前『ザンジャル』と名乗ったエルクニヒが現れた時は、完全に統率され魔王軍というべき2万の妖魔が一つの王国を壊滅寸前まで追い詰めた。
友好国であった我がヴァルグランが五大魔導鎧を総動員し撃退。ザンジャルも討伐した。
だがヴァルグランをもってしても、護りを姐さんに任し、すべての戦力を攻めに回すことで倒しえた。
今回は確かに手こずるがなんか違う。
俺は姐さんに通信を繋げる。
「姐さん、だいぶ間引いたから後を任せていいですかい?」
すると、とびきり明るい声が返ってくる。
「いいっスよ、アチシに任せるっス。魔法騎士団副団長が直々に冒険者どものお尻をペンペンしてここを守らせるっス」
姐さんの昼間の姿。毒舌有能副団長…………最近聞かなかったから、ついかわいいっなんて思っちまったが恐れ多いな。
「ちょっと元凶つぶしてきます」
気を取り直して俺の行動方針を報告する。
「いいっスね〜、働き者じゃないっスか。帰ってきたらいい子いい子ぐらいはしてやるっス」
よっしゃあ、やる気出た。何が出てくるか?出たとこ勝負だぜ!




