3
モデルにスカウトは良くされる。
でもモデルって実はそんなにお金は儲からない。
そこから女優とかにならないと。
だいたい、薫の母もマリアの母もモデル崩れだ。
金持ちの奥さんや愛人が関の山なのだ。
薫もそこら辺の事情は良く知ってる。
よく自撮りしてインスタに上げてる。
「僕さ、自分が大好きなんだよね〜誰よりも。
だから誰も好きにならないと思ってたよ、マリアに会うまで。」リビングで100万以上するソファに座りながら自撮りして、またアップしてる。
もう、この頃は気持ちを隠すことも無くなってきた。
マリアが逃げられないと観念したと思ってるのだろう。
「この世にこんなに自分にソックリな異性がいるなんて!運命だと思ったね。
僕が女の子だったらしたかった事、全てさせてあげるからね。」そう言いながらマリアの足にマグノリアの香油を垂らす。
「僕は男だから、この足には成れなかった。悔しいけど、こうやって撫でてるだけで自分の身体みたいに感じるよ。」マリアはゾッとする。
が、マッサージされると身体だけはビクビクと反応してしまう。
「私の身体なのに、私の身体はコイツに何されてるんだろう…」マリアは生きることに絶望する。
身体を捻りながら声を殺して耐える。
ダイニングでは久々父と母もいるので、2人で楽しそうに話してる。
口元を両手で抑えて耐え続けるとハラハラと涙がこぼれる。
「今夜は父さんも母さんも居るから何も出来ないね、残念。」親指の付け根を強く押されると痙攣して果てた。
薫はマリアの長いロングスカートをチラッとめくって笑う。
「ビショビショだよ。」そう言いながら自分の膝に乗せていたタオルをマリアのお尻とソファの間に差し込んだ。
「ソファに染み出来たら恥ずかしいでしょ?怒られちゃうよ。」耳元で小声で囁いた。
そのまま洗面所へ手を洗いに行ってしまった。
『殺してやる!絶対殺してやる!』マリアは心の中で叫んだ。
「あら、良い匂い〜これは何?」母と父も居間に来た。
マリアを顔を見られないようにテレビの方を見る。
「木蓮の香油ですよ。カカトや膝がすべすべになってストッキングが伝染しなくなるんです。」洗面所からタオルで手を拭きながら戻ってきた薫がマリアの足を持ち上げて母に見せる。
「あらっ、本当にすごいスベスベ!
マリアったら脱毛サロンでも行ってるの?」美には貪欲なマダムが目を光らせる。
「僕が定期的にメンテナンスしてます。
ほっといたら足毛ボーボーで平気で学校行くから許せなくて!」薫が母と談笑してる。
「私なんて脱毛とシミ取りで月10万も掛かってるのに!マリアは良いわね〜」母が自分の足を撫でてため息をつく。
「父の許可が出れば、僕が施術しますよ。お母様。」
あくまで紳士的に恭しく薫が申し出る。
「やあ〜っ、薫くんて本当に出来た子ね〜
奥様の子育て見習いたかったわ!」
母がキャピキャピしてる。
マリアは吐き気が止まらなかった。