プロローグ
初めての連載です。不慣れなため違和感が多く、クソつまらないものになってしまうかもしれませんが、温かい目で見守ってくださると幸いです。不定期で更新していきます。
「お前は不憫だから転生させてやろうと思ったが。その後は知らん。勝手にしろ!」
神様にそう言われて、めのまえがまっくらになった
――――――――――――――――――――――
「おい起きろ。何度言ったらわかるんだ。」
先生が机の前に立ち、机を揺らす。周りの奴らはそれを見てクスクス笑っている。
「す、す、すみません。いつのまにか寝てました。」
「そんなんだから、お前はいつも成績が低いんだろ」
周りがどっと笑う。言われた当人は恥ずかしそうに顔を赤らめている。こういう時に周りの流れに逆らえる人になりたかった。何とつまらない毎日なのだろうか
高校3年の秋。授業は受験モードでピリピリとした雰囲気。部活もとうに引退している。自分は親の家業を継がなければいけないので勉強は無理にする必要はない。毎日がとても退屈である。最近の楽しみは家に帰ってからの行為くらいだろうか。
「気をつけ、礼」
「ありがとうございました。」
よし6限も終わったし、帰りの準備もしたし、早く帰ろ〜。そう思って教室を勢いよく出ようとしたその時、強い力で肩を掴まれた。
「おい、戒野。お前も今週掃除当番だろ。仕事しろ」
「んだよ青木。いいだろ1日くらい。先生にも忘れてたで押し通せるじゃんかよ」
「うるせーよ。どうせお前は帰ってもすることないんだから黙って付き合えよ」
本気で振り払おうとしているのだが、青木の力が強すぎる。サッカー部のゴールキーパー恐るべし。
「わかったよ。やればいいんだろ...ゴミ捨て。」
教室に戻り、掃除をするふりをして、ゴミの入ったゴミ袋を持って駆け出す。もちろん荷物は持った状態で
「おっお前、ふざけんな。そのまま帰る気だろ。」
後ろの扉から勢いよく廊下に出て、青木の方を見て、手を振る。
「そうだよーん。バイバーイ。先生によろしく」
今日は俺の勝ちだな。これで9勝12敗だ。よし、あとは離れのゴミ捨て場まで行って、帰りだ。ルンルン調で離れの階段を降りていると、急に頭が痛む。足がもつれ、手すりに捕まろうとするが、手をするりと抜ける。焦って手をバタつかせるが、近くにつかむものはない。時間がゆっくりと流れている感覚になる。窓から差し込む西陽がやけに暖かく感じた。
――――――――――――――――――――――
「やっと起きたか。おはよう」
体を起こす。周りを見渡す。真っ白い空間。目に見える範囲になにもない。どこだここ。
「不思議そうな顔をしておるな。お前は死んだんじゃよ。学校の階段から落ちて。当たりどころが悪かったな」
そんな簡単に言うなよ。現実で言ったら頭がハッピーだと思われるやつだぞ。言っても普通なのは渋谷のハロウィンくらいだ!あと誰だ!
「私は、お前たちが言うとこの神ってやつじゃよ。不憫な死に方なもんだから、助けてやろうと思ったんじゃ」
うわっ、めっちゃ美人の人が仙人みたいな話し方してるー、不思議〜。
「それはな、神様はその人の思う理想的な神様の姿として映し出されるようになっているからの。実を言うと神様は姿や形はないんじゃよ。あとお前が思っていることは全部筒抜けじゃから変なこと考えてるのも全部丸わかりじゃぞ。」
それやば。姿勢を整える。体を全体的に見るが悪いところはなさそう。階段の高いとこから落ちたのに。
「あの、つまり復活させてくれるということですか」
神様が難しい顔をする。
「すまんな。それはできんのじゃ。魂の流れは一方通行。どこかに飛ばすのは簡単なんじゃが、返すのは難しいんじゃ。」
へー漫画によくある展開はそう言うことなのかな?
「それじゃあ、俺はどうなるんですか?」
「お前には2つの選択肢がある。」
神様が黙る。ゴクリと自分が唾を飲む音が聞こえた。
「地獄か...
「地獄!?俺そんなに悪さしてないよ」
期待した俺がバカだったのか。がっくし
「ちゃんと聞かんか!二つの選択肢と言ったろ。転生という選択肢もあるんじゃが...」
「そちらでお願いします。」
俺は食い気味に言う。
地獄に行くくらいなら転生の方が100倍いいに決まってる。
「良いんじゃな。途中で死ねば魂は行き場をなくし地獄より苦しいものになるが。」
そんなんどうとでもなるだろ。俺は周りとは異なって神様からなんかもらえるんだし!!
「そちらでお願いします。」
神様はニヤッと笑って
「あい。わかった。もう変更はできんからな。あとは転送まで10分ゆっくりしておれ。」
よっしゃー。次の人生は絶対主人公ムーブで生きてやる。ハーレムもいいな。見返す系もいいな。
「神様。転生するんだしなんか特典あるんですよね?何が貰えるんですか?」
神様が笑う。うわっ悪い顔。
「そんなもんないぞ。あとお前が行く世界は『セカンドセカンド』の世界じゃ。」
顔から血の気が引いている気がする。今ならエレキテル連合のあけみちゃんになれる自信がある。終わった。俺の転生人生詰んだ。『セカンドセカンド』は所謂死にゲー。死ぬのを前提に攻略していくゲームだぞ。
「だから最後まで聞いておけと。遮ったのはお前だからな。」
神様はため息をつく。
「待ってください!天国とか、もっといい転生先とかありませんか?」
手をあちこちに振りながら聞く。
神様は笑う。
「お前は罪が深いんじゃよ。恨むなら現世のお前にすることじゃな。」
目の前がボヤける。目を手でこする。
「そんな悪いことした覚えないよ...」
ついに涙が溢れ始めてしまった。
神様がノートをどこからか取り出しじっくりと見始めそして、腹を抱えて笑い始めた。
「そうだな。訂正させてくれ。あまり悪いことはしてないが、良いことをしなさすぎて、パラメーターがマイナスになってしもたんじゃな。」
神様がノートをパラパラとめくっている。
「じゃ、じゃああの頭痛はなんだったんですか?」
この世界に沈黙が訪れる。何もないからこわい。
「お前のマスターベーションのしすぎだとよ。前日は6回もしたのか。バカじゃな。」
神様はまた大笑いをかまし、涙まで流し始めた。
なんとかしないとという思いで立ち上がり、神様にすがる。
「なんか能力をください。神様。お願いです。」
神様はめんどくさそうな顔をして
「インベントリに多めに道具が入るくらいはしといてやる。36マスじゃ。なんでも重いものを入れられる。36個まではな。」
「こんなんじゃ、あの世界は生きていけないよ〜。」
神様にさらに深くしがみつく。
「ええい。うるさい!」
手を振り払われる。自分の体が宙を待って背中から落ちた。体を起こし、神様の顔を見る。あら、怖いお顔。
「お前は不憫だから転生させてやろうと思ったが。その後は知らん。勝手にしろ!」
神様が消える。それとともに周りの世界も崩れ始め、
めのまえがまっくらになった
こういう転生ものが好きでよく読むのですが、死にゲーのような主人公が苦しくも生きながらえていくものになかなか出会わなかったので、書いてみました。36マスのインベントリはマイクラです。確か。