プロローグ
妖による人類征服の為に侵攻が始まり早数十年。
日本という国は、昔話に出てきたような魑魅魍魎という類のモノに異界から進行されつつあった。
簡単に述べれば俗に言う“妖怪”に土地を、生命を、人権を、全ての権利を、奪われそうになっている
何とも嘆かわしいと落胆していてもそれらで解決する訳もなくまた抵抗すらままらなぬと現代における今ではため息すら出てこない。
まず何故侵略されつつあるのかと問われれば、「分からない」と答える他ない
何の前触れもなく突如異空間から妖が出て来たと思えばいきなり人を斬り殺しあっという間にひとつの県が血の海となり壊滅的状況に追いやられた
そして“明楽”と名乗る見目麗しい天狗が高らかに宣言したのだ、手始めにこの日本を侵略し我が手中に収めると
そして日本を我が物にしたら次の舞台は世界だとも宣言し、そんなの待ってやくれやしないと全世界が警戒態勢に入ったが明楽の言うことは本当らしく確かに良くも悪くも現在妖が攻撃しているのは紛うことなく「日本」という国のみである。
そして今この現代において既に妖は近畿地方まで侵略しており近畿地方と中部地方を繋ぐ所はまさに前線という事だ
日本の半分を既に取られておりそれ奪還すべく直ぐにと作られた対妖用の軍事機関があり、名を大属星と言う。
東京に本部を置き既に何万という軍人が在籍しており、何より霊力を使い巧みに戦を行う日本が世界に誇る軍事機関だ。
大属星は他の軍事機関とはルールも何もかもが異なり、まず国籍、性別、年齢、学歴は一切関係ない
そして次に基本1部隊20人編成である事、小隊やら師団やらそんなものは関係ない
大属星は1部隊20人編成で決められており、異論は認められていない。
これに拘るのはチームワーク、連携がより取れるようにという目的の元決められており人間とは別の力を持つ妖をより殺しやすくする為だ。
そして戦闘員と非戦闘員の2つに分かれるのだが、戦闘員であるならば霊力が高くなくてはいけない、もちろん理由としては霊力が高ければそれだけ武器の性質も上がるからだ
弱者が戦場にいては役に立たずむしろお荷物だ、今の時代は霊力の強さもかなり重要な為規定量の霊力がなければどんなに志願したとしても戦闘員にはなれない、無駄な死を出さない為にだ。
次に階級、もちろん伍長から大将まであるがこれは大属星においてはただの役柄に過ぎない
もっと簡単に言えば君は小学生1年生ね、あなたは中学2年生ね、という事だ。
何のためにあるのだと言われれば、その人の戦の優秀さやちょっと現実味のある話をすれば……給料問題という訳だ。
もっと簡単な話をすれば階級と役職は同じ、という事だ。
もちろん給料は大事だとも、正当な報酬だ、金がなければ生きてはいけない。
どこの企業も労基案件にはなりたくないものだろう。
そして佐官までは戦場で戦うが昇格し本人が希望すれば将官からは完全に人事コースに入る
要は後方に下がるという事だ、後方に下がりその培ってきた力で戦略を練りより大属星が発展するように、人類が負けぬよう滅びぬ様にと務めなければならないしそれが責務だ。
そしてその階級をより分かりやすく表したものが戦闘員に与えられる胸元のブローチの色であり非戦闘員はネクタイの形状となっておるがいずれも階級を示す色は同じだ
低い順から
【下士官】
・伍長__紫、青
・軍曹__水色
・曹長__エメラルドグリーン
【准士官】
・准尉__緑
【尉官】
・少尉__黄緑
・中尉__黄色
・大尉__オレンジ
【佐官】
・少佐__赤
・中佐__赤、銀色の線あり
・大佐__赤、金色の線あり
で、あり将官からはこの色では判別付けずに赤色の小さな球状の飾りと金色の星を胸元に付ける事になる。
【将官】
・少将__星、1つ
・中将__星、2つ
・大将__星、3つ
という順になる。
もちろん各々の階級にある程度の定年制限は設けられているが、希望あれば前線からは退き後方での支援や新人育成へと回る。
そして数十年前、妖からの攻撃を受け対策を練らなければと人々が怯えながら、だが殺されたくないと必死の抵抗をすべく考えていた中、大属星の創設者にて元帥である小倉時臣が人間には日本語では霊力と言われるが、霊力がある事を発見した
とは言っても発見というより奇跡に近く、たまたま時臣に霊力が発現したのだ
その時の時臣もまた、死にたくない生きたいの一心で妖から逃げておりいざ追いつかれると近くにあった家が崩れ落ちて武器に出来そうな材木で妖を殴った所死んだそうだ
もちろん普通の柔い材木、殴ったら折れてしまったそうだがそのたった1回で命が助かった、が、そんな柔らかい木材で妖が死ぬはずがない
妖に限らず人間ですら死ぬはずがないと言える程のものだったのだ。
そして殴る時、確かに実感したのだ
後に判明する霊力の能力のひとつである身体能力の上昇効果である。
だが時臣が避難し安全とは呼べないが守られてる、という体の場所で暮らしている時に物で石などを殴ってみてもあの時と同じような感じにはならなかった
時臣はどうにかしてあの時と同じ力を出したいと冷静に自己分析をした結果、霊力を引き出すのは死ぬ気だった
嗚呼、言葉が足りなかったが死ぬ気で頑張る、とかではない
本当に死ぬ覚悟、という事だ。
あの時の時臣は死を覚悟したのだ、両親も殺されパニック状態になりかけながら逃げていた
そして今日は本当に死ぬのかもしれないと悟り始めた、そしてその想いが今まで人間に蓋されてきたものが外れ霊力が引き出されたのだ
タガが外れる、と言っても良いのかもしれない
そしてそれを目に見える様にしたのが今までなんて事ないただの石であり、後に月虹石と呼ばれるものだった
月虹石は川、土の中、道端に転がっているなど大して珍しくもない石でありその名の通り月虹の様な色合いをしてる事から名付けられた。
月虹石に霊力を流し込めば霊力が強ければ強いほど強力な光を放ち、更に武器に使えば今までの武器より更に威力が上がる事も判明している
元は時臣の霊力に反応するかの様に月虹石が微かにだが光っていたのを見つけ、試しに霊力を流し込んだら光ったのだそう、他の石で試しても光らなかった事から月虹石のみにある特別な力として認識された。
そして現在、大属星の武器はその月虹石が加工された物を使っており妖にトドメを刺すにはこの月虹石の武器でなければならなく、しかも月虹石は先程にも言った通りどこにでもある普通の石であり山のように資源がまだまだある状態だが、どのように月虹石が作られているのかは判明しておらず今でも月虹石の研究は続いているのだそう。
更に月虹石を見つける為に霊力を放出しながら探していた所、光る月虹石の他にふわふわと浮遊する石も発見され現代では浮雲石と呼ばれておりこれに霊力を流し込むと人の体でも浮くことが出来る
これは空を自由に翔び回る妖への対抗、そして同じ土俵に立てた事を意味し大属星では月虹石と浮雲石の2つを組み合わせた太極図のペンダントを必ず付けることも義務付けられている
今の日本は近畿地方のひとつである滋賀奪還戦の真っ只中であり、その奪還戦に参加している部隊のうちのひとつである純桜寺美澪率いる東京に在籍を置く部隊がある。
茶色の髪に、それに合わせた丸い茶色の瞳、20歳の若き部隊長であり階級は赤の少佐。
幼き頃に明楽に両親を殺され、その憎しみから双子の兄と共に大属星へ入隊し明楽への憎しみを糧にこの地位まで上り詰めた若き少佐。
美澪の夢は明楽を殺すこと、そしてその美澪こそがこの物語の主人公である。




