第99話 出来る女
そして今に至る。
「はい、挨拶の練習!!カエデさんから」
女将は着物を着た4人の前に立ち、指導していた。
「いらっしゃいませ!!お客様!!」
カエデは笑顔でお辞儀をしながら言う。
「合格!!次、レイカさん」
「いらっしゃしゃいませ!!お客しゃま!!」
「噛み過ぎです!!次、リコさん」
「い、いらっしゃいませ......お客様」
「声が小さいです!!次、コアネールさん」
「いらっしゃいませですの!!お客様!!」
「ですのはいらないです!!カエデさん以外の3人はもう一度練習です!!」
「「「はーい......」」」
「次は掃除です。窓と床の掃除をお願いね」
女将はそう言って去っていった。
「よーし!やるぞー!」
レイカは雑巾を持って窓を拭き始める。
「待って待って!窓を拭く時は上からの方がいいわよ」
その様子を見てカエデが苦言を呈す。
「え、そうなの?」
「なるほど、上からですね」
リコは窓を上から拭き始める。
「リコ、その窓はアルカリ性の汚れが目立つからこっちの酸性洗剤を使った方がいいわね」
「そ、そうなんですね!ありがとうございます!」
「それとコアネール、床掃除は先に箒でゴミやホコリを払ってからの方がいいわ」
「え、そうなんですの?」
床の雑巾引きをやろうとするコアネールにアドバイスするカエデ。
「ハア......大丈夫なの貴女達」
掃除が終わり、次は料理をすることとなった4人。
「みんな料理経験は?」
「僕はたまーに城の厨房でお菓子作ったりしたよ、サイちゃんが得意なんだ」
「お菓子か......ちなみに何作れるの?」
「わかんない、ほとんど僕はサイちゃんが作ったのにトッピングしたり味見したりしてただけだから」
「それ出来るって言わないじゃない!!リコとコアネールは?」
「私は故郷で毎日作ってましたよ!ただ基本私の故郷では狩りで仕留めた獲物を捌いて焼いているだけでしたね!後は果物や野草を取ってきて食べたりとかです!」
「凄いけど旅館に出す料理ではないわね......野草食べさせる訳にはいかないし」
「私は弟におにぎりを作ってあげたことならありますの!」
「それ以外は?」
「ないですの!!」
「旅館の料理といえばお刺身や天ぷら、お吸い物とかだけど、作ったことある人は?」
「「「ない(です)!!」」」
「はあ......」
ため息を吐くと、エプロンをして包丁を握るカエデ。
「わかったわよ、私がやるからみんなはサポートお願い」
「カエデ料理得意なの?」
「人並みにはね。ほら!レイカ、冷蔵庫の中からお魚取って」
「「「おおー!!」」」
しばらくすると、目の前には綺麗で美味しそうな懐石料理が並んでいた。
「すごー!!普通に店に出せるレベルじゃん」
「まあ故郷でお母さんに教えてもらってたからね」
「カエデは良いお嫁さんになるよ」
「うるさいわね、っていうかアンタ達さっき自信満々だったのに何も出来ないじゃない!」
「いやー、可愛さなら一番なんだけど」
「やかましいわね......まあいいわ、これ配膳は出来る?」
「それぐらい出来るよ!」
そう言ってレイカはオボンに乗った料理を持ち上げた。
ガタガタガタとオボンの料理は揺れる。
「待って待って待って!!絶対溢すでしょ!!」
「溢さないよー、多分」
「わかったわよ私がやるから大人しくしてて!!」
カエデはレイカからオボンを受け取る。
「わ、私お皿洗いでもして置きますね!」
「出来るの!?お皿割ったりしないでよ!!包丁洗う時ケガしないでよ!」
「は、はい、大丈夫です。多分」
「危ないから私がやるから!置いといて!!」
そう言ってカエデは料理を持って立ち去っていった。
残された3人。
「いやー、これに関してはカエデに申し訳ないね」
「はい......何であんなに色んなことがテキパキと出来るのでしょうか」
「カエデさん、完璧超人ですの」
「あれが出来る女だね。ロイロイも惚れる訳だよ」
「そうですね......」
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