第98話 温泉街オーブロ
「「「「いらっしゃいませ!!」」」」
一方その頃、レイカ、カエデ、リコ、コアネールの4人は着物を着て旅館で働いていた。
なぜこうなったのか。
それは5時間前に遡る。
「着いたー!!」
レイカ達はエーケベを離れ、森を抜け、オーブロという町に着いていた。
オーブロは世界でも有数な温泉街。
百を超える旅館がある人気の観光地である。
「温泉街、賑わってるわね」
「温泉!!僕初めてだよ!!」
レイカは目をキラキラさせていた。
「長旅の疲れを癒やすにはうってつけですね!!」
「美容にも良いと聞きますから、楽しみですの」
リコとコアネールも同じく目をキラキラさせていた。
「ちょっと待ってよみんな!!」
しかし、カエデが3人を制止する。
「どうしたのカエデ?」
「お金ないでしょアンタ達!!」
それを聞いて、じーっとカエデを見る3人。
「な、何よ!?」
「勇者様......」
「無理よ!私だってもうほとんどお金ないんだから!!観光地の旅館に4人で泊まるお金なんてないわよ!」
「あーあ、温泉を前にして寒空の下凍えて眠らないといけないのか......こんなとき助けてくれるカッコいい勇者様がいれば」
「都合が良いときだけ勇者様とか言わないの!!良いからタダで泊めてくれる小屋でも探すわよ」
「「「温泉......」」」
3人はうなだれながら、渋々カエデの後を歩く。
すると、4人の背後に何者かが立っていた。
「ちょいと、そこの4人」
「へ?」
4人が声をした方を振り向くと、そこには着物を着た綺麗な老婦人が立っていた。
「貴女達、可愛い4人組だね。泊まる宿を探してるのかしら?」
「はい、そうですが......」
「私、あの旅館の女将なのだけど、良かったらタダで泊めてあげてもいいわよ」
女将はオーブロで一番大きく豪華な旅館を指差しながら言った。
「あの旅館の!?凄い!!本当に良いの!?」
「ええ、ただし条件があるの」
「条件?」
「実は旅館の従業員がこぞって風邪で休んでしまって、人手が足らないのよ。予約も埋まっていて休む訳にもいかない、そこで貴女達に手伝ってもらいたいの」
そう言う女将。
それを聞いて、4人は目を合わす。
「うん!!もちろんやりた.....」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
カエデはレイカの言葉を遮り、そう言って3人を引っ張り女将から離れる。
「ちょっと!安請け合いしちゃっていいの!?旅館の従業員なんて大変よ」
「大丈夫でしょ、僕魔王城で良く掃除とかやってるし」
「お料理とか接客は?貴女達に出来ると思えないのだけど」
「お料理なら私故郷の村で毎日作ってましたよ!!」
「接客なら私は毎日のように他の王族や貴族の方と社交会をやっていましたから、作法は心得てますわ」
そう自信満々に言うレイカとリコとコアネール。
「ほ、本当に?大丈夫?私は自信ないわよ」
「大丈夫大丈夫!!カエデのフォローは僕達がするからさ!」
こうして旅館の従業員として働くこととなった4人。
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