第96話 ジョーカーVS第3魔将
「ジョ、ジョーカーさん」
「ほう、あなたがカードのジョーカーですか!いきなり襲撃とは随分ご挨拶ですね」
「何とでも言えばいいよ、私を倒せるならね」
リアは魔力の球を手のひらに溜めた。
「エースくんは城の奥をお願い!!」
「ジョ、ジョーカーさん!相手は魔王軍の第3魔将のゴラドですよ!一人で大丈夫ですか!?」
「ゴラドは私が責任持って倒す、その間にエースくん達は魔王城の制圧をお願い!」
「ジョーカーさん......」
リアの鬼気迫る表情に、覚悟を決めるエース。
「わ、わかりました!!ご武運を!!」
そう言うとエースは走って城の奥へと進んでいった。
「あなたが今は魔王城のリーダー、あなたを倒せば魔王城は終わりだよ!!」
「それはあなたもでは?カードのリーダーにしてジョーカー、お互い負けられないと言う訳ですね」
「そういうことだね!!」
リアはまた水魔法を溜め、一気に放出した。
リアの左手から放出された大量の水がゴラドを襲った。
(魔王四天王で第3魔将、灼熱豪傑のゴラド、情報によるとゴラドは火竜の一族の末裔、水魔法を苦手としているはず)
バシャッ!!
水は勢いよくゴラドにぶつかった。
「......」
ジュウウウウウウウ......
しかし、ゴラドの身体に触れた水は一瞬にして蒸発し、跡形も無く消えた。
「なっ!?」
「こんな水などで某を消火出来るとお思いですか?」
その瞬間、ゴラドから凄まじい熱気が迸った。
「くっ!!」
リアは跳んで後退し、顔を触る。
(熱気だけで少し顔を火傷した......)
リアはゴラドを見た。
ゴラドの身体の周囲はユラユラと揺れている。
(身体の周りに熱気を放出しているのか、それにあれは並大抵の温度じゃない)
冷や汗を垂らすリア。
「魔王城は我々の家と同じ、それを魔王様達が留守の間に壊される訳には行きません!!」
ゴラドは腕を前に向ける。
ゴオオオオオッッッ!!
すると、ゴラドの腕から熱線が射出された。
リアは素早く交わし、城の瓦礫の後ろに隠れた。
「逃がしませんよ!!」
ゴラドはそのまま熱線を瓦礫に当てる。
瓦礫はみるみる赤みを帯びていき、溶け始めた。
「なっ!?石も溶かすのか!!」
そして熱線は瓦礫を完全に溶かし、リアを襲う。
ドゴオオオオオオッッ!!
熱線はリアがいる場所にぶつかり、轟音を上げた。
しかし、リアの前にはドロドロの壁が出来ており、ゴラドの熱線を防いでいた。
「泥の壁!?某の熱線を防いだのですか!?」
「水魔法と土魔法を混ぜた泥の壁だよ!!」
リアは跳んで下がりながら、腕をゴラドの方へ向け、瓦礫を土魔法で飛ばす。
しかし、飛ばした瓦礫がゴラドの周囲の熱によってドロドロに溶けて滴り落ちた。
(やはり物理的な攻撃は通用しない......それにあの熱気じゃ近寄ることも出来ない)
リアは距離を取りながら考える。
「逃がしませんよ!!」
ゴラドは火の球をいくつか生成し、飛ばす。
「くっ!!」
バサッ!!
リアは着ていたマントを脱ぎ、素早い身の熟しで避けていった。
「これならどうだ!!」
リアが手を横に振るう。
すると、まるで刃のように風が勢いよくゴラドに向かって飛んだ。
「これは......風魔法」
しかし、ゴラドの熱気で風魔法は消え去った。
(なるほど、弱い力だとあの熱気でエネルギーを吸い取られ無効化される。やはり隙を見つけて威力の高い魔法を当てるしかないか)
リアは素早く移動し、瓦礫の裏に隠れた。
(魔王軍第3魔将ゴラド、噂以上の強さだ.....)
リアは服の上着を1枚脱ぐ。
周囲の気温はゴラドから発せられる熱気でかなり上昇していた。
(暑い......このままでは体力も保たないな)
滴り落ちる汗を見ながら思うリア。
「そこにいるのはわかっていますよ」
ゴラドはリアがいる瓦礫に向かって再び熱線を放出した。
また瓦礫はみるみる赤みを帯びていき、溶け出す。
(やっぱり高火力な魔法で仕留めるしかない!!)
ジジジジッ!!
リアは両手を合わせて、4つの属性の魔力を混ぜ合わせた。
そして、その魔力の玉は虹色に光る。
バシュッ!!
リアは隠れていた瓦礫が溶け切る前に瓦礫から飛び出した。
「くらえ!!カタストロフィー!!」
両手を前に突き出し、虹色の玉を飛ばしたリア。
その虹色の玉は真っ直ぐゴラドに向かって飛んだ。
「何ですか?ただの魔法が某に通る訳が......」
チュドォォォォォォォォン!!!
虹色の玉はゴラドにぶつかると、凄まじい大爆発を起こし、周囲に轟音と煙が巻き起こった。
リアはその爆発に巻き込まれないように距離を取っていた。
この魔法は、4魔法を融合したリアにしか出来ない高密度な魔法攻撃、その威力は普通の魔法とは比べ物にならない威力だった。
(流石にこれはゴラドであっても耐えられないはず)
爆発した箇所を見つめるリア。
次第に巻き起こった煙は晴れていくが、そこにゴラドの姿はなかった。
「な、何!?いないだと!?一体どこへ!?」
良く見るとゴラドがいなくなった地点の地面に大きな穴が空いてある。
「穴!?まさか!?」
ゴゴゴゴゴゴッ!!
すると、リアが立っている地面がみるみる赤みかかってきた。
「まずい!!」
ゴオオオオオッッッ!!
その瞬間、地面を突き破り、地面から熱線が噴き出してきた。
「くっ!!」
土魔法で壁を作り、辛うじて受け流した。
しかし、熱線の威力で吹き飛び、壁にぶつかった。
「ガハッ!!」
リアは片膝を付く。
「......驚いた」
熱線が噴き出してきた穴からゆっくりと出てくるゴラド。
「この世界に4属性の使い手など存在していたのですね」
そして、穴の前に出てリアを見つめた。
(さっきリアのカタストロフィーを受ける前に熱気で地面を溶かし、穴に潜ったのか......)
リアはカタストロフィーを放った地面に大穴が空いているのを見る。
「2属性使いのダブル、3属性使いのトリプルを上回る希少さ、長い歴史の中で貴方が初めてなのではないでしょうか」
「こんな高威力、高熱の火魔法を使う人も貴方が初めてだと思うけどね」
リアは立ち上がった。
「しかし、もう貴方を守る瓦礫がありません。もう某の攻撃から隠れてさっきの4魔法の攻撃を放つ隙は与えませんよ」
そう言いながら、ゴラドは手を前に突き出し、熱線を放った。
「くっ!!」
ドンッ!!
リアは手を地面に当て、土魔法で壁を作った。
「そんな壁は直ぐ溶かしてあげます!!」
ゴラドの言う通り、土の壁は数秒も保たずに溶けていく。
ダッ!!
土魔法の壁が溶ける前にリアは壁から飛び出して走った。
「逃がしませんよ!!」
「ハア......ハア......」
逃げるリアを追いかけるように熱線を放つゴラド。
ゴラドの熱線はリアの直ぐ背後まで忍び寄った。
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