第93話 姉との別れ
ロイは慌ててサーカス団のテントを出た。
外はすっかり夕暮れとなっていた。
「やべー!!あれから8時間ぐらい経ってる......」
ロイはテントの外をキョロキョロと探した。
「怒って帰っちゃったかな......」
「ロイくん」
「うわーっ!!」
ロイが振り返ると、そこには腕を組むサイの姿があった。
「サ、サイさん......」
「心配したのだぞ、数時間もどこへ行っていたのだ」
「す、すいませんサイさん......実は......」
ロイは事情を全て話した。
「なるほど、カエデ殿の父上が......」
「すいません!!勝手にどこか行って......」
「まあ事情があるのならいい、だが......」
サイはソッポを向く。
「私とのデートよりカエデ殿を取ったのだな」
「そ、そう言う訳じゃないですよ!!」
「可愛いロイくんとデート出来ると思って私は楽しみにしてたのに......」
サイは泣き真似をした。
「す、すいません!!泣かないでください!この埋め合わせは必ずしますから!!」
「しくしく......やっぱり若い女の子がいいのだな」
「ち、違いますよ!お、俺どうすれば......」
慌てるロイを見て、クスッと笑うサイ。
「冗談だよ、ロイくんはやっぱり可愛いな」
サイは手を伸ばしてロイの頭を撫でる。
「サ、サイさん......」
「事情はわかった。ではロイくんはここでカエデ殿の父上の説得と光魔法の修業に注力すると良い、私は1人でこのまま西を目指すとするよ」
「えっ!?サイさん行っちゃうんですか!?」
「ああ、魔王様が心配だからな」
「そうですね......すいません色々と予定を変えてしまって」
「いいや、カエデ殿の父上に修業をつけて貰うのは私も賛成だ。前にも言ったが魔法は同じ属性の師に教えてもらうのが一番だからな」
「しかしサイさん1人で大丈夫ですか?力が戻ってないんじゃ......」
「大丈夫だ、元の半分程の力は戻っている。これだけ戻れば道中心配はあるまい」
サイは手のひらに氷の結晶を作って見せた。
「ロイくん、実は私も考えていたのだ。帝国軍に魔王軍、さらに革命軍までが出てきてこれから世界は荒れていく、君には力を付けて貰わないとダメなんだ」
ロイはサイの言葉を聞いてカードのジャック、革命軍のスカーレット、ヴァルロとの戦いを思い出した。
「しっかり修業するんだ、魔王様のことは私に任せておけ」
「サイさん......何とお礼を言ったらいいか」
「お礼は私より強くなって私を守ってくれ、楽しみにしてるぞ」
「はい!必ず強くなります!!」
「では私は行く、しばしの別れだな」
サイはロイから一歩離れた。
「サイさん、色々とありがとうございました!!俺頑張りますから!!」
「ああ、頑張ってな!シルバーサーカス団の方々の言う事を聞いていい子にするんだぞ」
「わ、わかってます!!」
「うむ!!ではさらばだロイくん!!」
そう言ってサイは後ろを向いて歩いていった。
その後ろ姿を見えなくなるまで見送るロイだった。
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