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第92話 ギンの過去 2

「こうして俺は魔王討伐の命を全うすることが出来なかった」


「そうか、幼い頃の魔王様が......」


「だが、そのまま魔王討伐を諦めて故郷に帰れば皇帝様の命を受けたのにノコノコと諦めて帰ってきた裏切り者だ。きっと世間から後ろ指を差され、妻やカエデが肩身の狭い思いをするだろう」


「......」


「だから魔王討伐中に死んだことにしたのさ。公務中に殉職すれば帝国から多額の金が家族に支払われる、それで生きていくことが出来ると思うし、世間からバッシングを食らうこともない」


「......」


「それで死んだことになった俺は第二の人生、今まで戦いの中で生きてきて、人が不幸になる様を散々見てきた。今度は人を幸せにすることをしたかったんだ、だからシルバーサーカス団を立ち上げた」


「......そうだったのか」


「妻やカエデには申し訳ないと思ってる。だが不器用な俺なりの最善の方法だったんだ」


「ギン......」


「以上だ、お前なんかに頼むのは癪だが、カエデと仲良くしてやってくれ。それともう俺の敵討ち何て止めるように説得してくれよ」


「......それは自分でやるべきじゃないか?」


ロイはギンの目を見て言った。


「それが出来ないからお前みたいな坊主に頼んでんだろ」


「出来るよ!!俺はカエデがギンと会えなくなるのを望んでるように見えねぇ!今の事情を話して、わかってもらえばいいじゃねーか」


「話聞いてたのか坊主、社会はお前が思ってるほど優しくねーんだよ」


「それでも......カエデは父親に会いたがってるはずだろ!カエデの気持ち考えろよ!」


「考えてるさ!それでこの結論になったんだよ」


「そうか、わかったよ」


ロイは椅子にあぐらをかく。


「俺はギンが納得するまでここに居座る!!」


「は?何言ってんだお前?」


「ギンがカエデと会う気になるまでここに居座ることにした!それとついでに光魔法をギンに教えてもらう!」


ロイはフンッ!!と息を付き、腕を組んだ。


「そんな無茶苦茶な......」


「無茶苦茶でもいい!!俺は俺のやりてーようにやるって決めたんだ!!」


「バカだなお前......ブチギレて力付くで追い返すところだが呆れてそんなことする気にもならないぜ」


「バカで賢いの!俺は!!」


「まあいいや、カエデのダチだ、気が済むまでやりな」


そう言うとギンは立ち上がる。


「片付けがある。俺から話すことは全部話した。もう俺から話すことはないから好きにしな」


「ああ!好きにする!!」


「やれやれ、めんどくせーガキだな」


ギンは控え室から立ち去ろうとした。


すると、ドアの前で聞き耳を立てるミズキとフウカと目があった。


「あ......」


「何やってんだよお前ら......」


「い、いやー、団長とあの子が心配で......」


「姉ちゃんが父親と娘婿で修羅場ったら面白いから見に行こうって」


「バカ!フウカ!!」


「全く......気が済んだら片付けするぞ」


そう言ってギンは奥へと歩いていく。


「ったく!坊主といいお前らといい、変わり者ばかりで困るぜ」


「多分坊主くんと団長似てるんだよ」


「......」


ギンは黙って奥の部屋へと消えていった。


それを見て、ミズキとフウカはロイが座っている方へ歩く。


「坊主くん、やるなー」


「ミズキさん、フウカさん」


「好きな娘のために必死になってカッコいいわね」


「そ、そんな......カエデとはそんな感じじゃ......」


「団長不器用だから、本当は娘さんのこと気になって仕方ないのにね」


「は、はい、だから俺何とか説得します!!ついでに光魔法も教えてもらいます!!そのためにしばらく居座らせてもらえませんか?」


「雑用やりながらだったら大丈夫だと思うぜ?ウチ万年人手不足だからな」


「団長は私達が説得してあげるから頑張りなさいね」


「あ、ありがとうございます!!ミズキさん!フウカさん!」


「弟が出来たみたいだなー姉ちゃん」


「ホントね」


「え?姉ちゃん?弟?」


ロイはその言葉を聞いて、何かを忘れているような気がした。


そして、思い出し、ハッとする。


「サイさん!!!忘れてた!!!」

面白い!続きが気になる!今後に期待!


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