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第90話 勇者の父親

「え、何!?怖っ!!」


「良いから来い!!」


「ちょっと待って!サイさんが!!」


俺はピエロに無理矢理テントの中に連れて行かれた。


そしてグイグイ引っ張り、奥へと連行される。


「ちょっと!ピエロさん怖いんだけど!!」


「おい、坊主、剣どこで手に入れた?」


「え?剣?」


ピエロはアンヘルを指差しながら言った。


聖剣アンヘル、俺にとってはカエデに貰った大切な剣だ。


カエデ、元気にやってるかな......とカエデを思い出す俺。


「ああ、これは友達に貰ったけど......」


「友達って名前は!?」


「な、何でそんなこと聞くんだよ」


「何でもだよ教えてくれ!!」


「やだよ!!何で見知らぬピエロにそんなこと教えないといけないんだよ!!」


「良いから教えろ!!」


ピエロは俺に掴みかかってきた。


「な、何なんだよお前!!」


ガチャ......


「おーい、団長ー」


すると、その部屋に女の人が1人入ってきた。


そして俺達と目が合う。


「団長また喧嘩か?」


「ちょ、ちょっと!何かピエロに襲われてるんですけど助けて下さいよ!!」


「ごめんなー、ほら団長、一般の方に暴力はダメだろ」


女の人はピエロを引き剥がす。


「チッ!!離せフウカ」


ピエロはフウカと呼ばれた女の人から離れる。


「悪かったな坊主、取り乱しちまった。俺はこのシルバーサーカス団の団長のギンだ」


ギンという男はピエロの付け鼻や衣装を脱ぎながら言った。


衣装を脱いだ姿は背が高く、ガタイの良い男だ。


「オッサン鍛えてるのか?」


「そんなことは良い、そのアンヘルを誰から貰ったか教えろ」


「だからそれは見知らぬオッサンには教えられないって......」


俺はハッとする。


俺はアンヘルの名前をギンに教えてない。

なのにギンはアンヘルという名前を知っていた。


「聖剣アンヘルって、団長が昔使ってた剣の名前じゃ......」


フウカさんがそう言う。


「昔使ってた?アンヘルを?」


俺は思い出す。

アンヘルは代々勇者の家系に受け継がれてきた剣であるとカエデが言っていた。


「オッサンは一体......」


俺は男を良く見る。


男は銀髪に鋭い目をしていた。


「オッサン......似ている......」


驚いた表情を見せた俺。


その後、直ぐに冷静な顔になった。


「アンヘルは友達のカエデ・エーユエジルから貰った大切な剣だ」


俺はギンに向かって真剣な眼差しで言った。


「やっぱりそうか......」


「エーユエジルって、団長......まさか」


「何かカエデと面識あんのかオッサン?」


「ただの昔の知り合いさ」


フウと一息付くギン。


「知り合いって......」


ギンは何処と無くカエデと雰囲気が似ている。


どうも他人と思えない俺。


「団長、娘がいるって言ってなかったか?」


そう言うフウカさん。


「フウカ、余計なこと言うんじゃねぇ」


「やっぱりか!!もしかしてカエデの親父なのか!?カエデは7年前に死んだって言ってたけど」


「ああ、カエデの親父は7年前に死んでるよ。間違いじゃない」


「でもオッサンがカエデの親父なんだろ!?意味わかんねーよ!!」


「違うっつってんだろ!てかお前は誰なんだよ!」


「俺は......カエデの友達でロイ・レンズってんだ、ちょっと前までカエデと一緒に旅をしていた」


「お前がカエデと旅?アイツ見る目ねーな」


「うっせーわ!っていうかやっぱりカエデの親父なんじゃねーか!!」


「お前本当に友達なんだろな?」


「と、友達だよ!!っていうかそんなことはどうでも良くて、何で死んだことにしてるんだよ!カエデの奴めちゃくちゃ悲しそうだったぞ!」


「大人には事情ってのがあるんだ、ガキが首突っ込むな」


「首突っ込むなって言われても突っ込まない訳には......」


ガチャ......


「おーい、団長、フウカ」


すると、もう一人女の人が部屋に入ってきた。


フウカさんとは似ているが少し背が高くスレンダー体型の女性だ。


「公演始まるよーってあれ?お客さん?」


女の人は俺を見て、そう言う。


「何でもねーよ、坊主は帰れ、フウカ、ミズキ、行くぞ」


そう言ってギンは立ち去る。


「お、おい!待ってくれよ!」


俺はそう言ったが、無視してギンは歩いていった。


「何なんだよカエデの親父なのにカエデに全然似てねー」


いや、頑固なところは似ているかと思う俺。


「すまねーな、団長不器用なんだよ」


フウカさんが俺の肩を叩きながら言った。


「何か揉め事?」


「姉貴、何かこの子が団長の娘さんの知り合いなんだってよ」


「そうなの?団長が迷惑かけたわね」


「い、いえ、お二人はサーカスの団員なんですか?」


「そうだぜ!姉貴のミズキと俺は美人姉妹サーカス団員で名が通ってるんだぜ!」


「そうなんですね、確かに美人姉妹だ」


「バカ言ってないで行くわよフウカ、えーっと?君名前は?」


「ロイです」


「ロイくん、ごめんね今からサーカスの公演で、団長に用があるんでしょ?あっちの控え室で待ってていいわよ」


ミズキさんは控え室を指差した。


「何だったら見ていってもいいぜ、あっちの小窓から様子伺えるから」


フウカさんはそう助言する。


「コラ、勝手なこと言うと団長に怒られるよ!ほら、行った行った」


そう言ってミズキさんとフウカさんは去っていった。


俺は控え室の椅子に座り、考えた。


一体どうなってるんだ?カエデは親父は7年前に魔王を倒す旅に出て死んだって言っていた。


その親父がサーカス団の団長をやってる。


どういうことなんだ?


俺は徐ろにフウカさんが言っていた覗き穴を覗いた。


そこでは広いサーカス会場にステージがあり、ステージの上にはギン、ミズキさん、フウカさんが立っていた。


すると、ミズキさんが水魔法で手から噴水のように水を噴射した。


それにフウカさんが風魔法でその水を回転させて、巨大な渦を作った。


さらに、その渦に対してギンが光魔法を注ぎ込み、渦はキラキラと光り出した。


そして、渦はさらに上昇し、上空で弾けた。


弾けた渦は霧状になり、キラキラと会場全体に降り注いだ。


「綺麗だ......」


覗き穴から見ていた俺は感銘を受ける。


「そうか......ギンも光魔法使いなんだな」


その時俺はサイさんの言葉を思い出した。


『光魔法は光魔法使いに聞くのが一番良いんだがな』


ギンは一流の光魔法使いだ......もし修業を付けて貰えれば......

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


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