第78話 進むべき道
そして、麓の町に入った俺とサイさん。
その町は雪山の麓の町にしては色々な設備や店が備わっており、活気があった。
「何だか思ったより活気がありますね」
「そうだな、私の故郷の雪山の麓なんて何にもなかったが......聞いてみるか」
サイさんは近くで店の品出しをしていたおじさんに話しかける。
「すまぬ、そこの殿方」
「ん?変な話し方するお嬢ちゃんだな、どうした?」
「うむ、私達は旅人なのだがここの町はなかなか活気があって良い町だ。何故なのだ?」
「あー、実は近くに帝国軍の訓練所があってな。訓練中の軍人さんがこの町に駐在するから色々と設備が充実してるんだよ」
「そういうことか。合点いった、感謝するぞ!」
「面白い喋り方するお嬢ちゃんだなー」
すると、サイさんは振り返り、こちらに歩いてきた。
「そういうことみたいだ、こんなところに軍の訓練所を作っているとはな」
「帝国軍の訓練ですか、今って帝国軍って強いんですか?」
「恐らく今が歴代で一番強い。皇帝直属組織のカードが揃いも揃って曲者揃い、そして今のジョーカーは歴代最強の呼び声高い、魔王様でも勝てるかわからん」
「そ、そんなにも強いんですね......」
「それにモンスター討伐に特化した部隊バスターズ、暗殺やスパイ活動のプロ集団の忍者部隊もいる。まあ軍の量では魔王軍はまず敵わないだろうな」
「なら攻め込まれたらヤバいんじゃないですか?」
「それが出来ないのだ。先代の魔王様が現皇帝と不戦協定を結んでいる。だから堂々と戦争は出来ないのだ」
「そ、そうなんですね......」
「学校で習わなかったか?」
「そう言えば習ったような......」
「まあいい、とりあえず腹ごしらえにするか、腹が減っているだろう」
「そうですね」
そして俺達は町にあった飯屋に訪れた。
各々料理を頼み、食べ終えた。
「なかなか美味しかったな」
「はい、久しぶりにまともな飯食った気がします」
「せっかくだしここでこれからの予定を考えるか、店主、ちょっといいか?」
サイさんは飯屋の店主に話しかけた。
「なんだいお嬢ちゃん?」
「ここから真っ直ぐ西に向かうとしたら、良い中継地点ってあるか?」
「ああ、ここからすぐ西に歩けばいくつか小さな町があるよ、その先にはエーケベという大きな町がある」
「なるほど、もしサンベルスから真っ直ぐ魔王城城下町に向かうとしたらそこは通るか?」
「エーケベは間違いなく通るはずだよ」
「わかった、恩に着るぞ店主」
「小さいのにしっかりした嬢ちゃんだなー」
話を終えるとサイさんはこっちを見た。
毎回それ言われてるなサイさん......
「と言うことだ、これからいくつか町を経由してエーケベに向かう」
「わかりました」
「サンベルスからもエーケベを経由するらしい、スカーレットの言った通りもしかしたらカエデ殿もそこに向かってるかも知れないぞ」
「あ」
だから聞いてくれたのかと理解した俺。
サイさんは面倒見が良くてやっぱりお姉さん気質だ。
「すいません、ありがとうございます」
「何だ、ロイくんの想い人なのだろう」
「ち、違いますよ!カエデとはそういうんじゃ......」
「フフ、まあ弟の恋にお節介かけるのが姉の務めだからな」
「サ、サイさん......」
「さてと!腹ごしらえと目的も決まったことだし、宿屋に向かうか」
「は、はい!」
俺達は飯屋を出て外に出た。
すると、少し先に凄い人だかりが出来ている場所が目に入った。
「あれなんでしょう?」
「さあな、可愛い動物でもいたんじゃないか」
見解が可愛いサイさん。
そう言えばサイさんって可愛い物好きだったな。
「ちょっと見ていきましょうか」
「猫とかいるかな」
そう言いながら人だかりに近付いた俺とサイさん。
そこでは兵士のような人々が戦っており、奥には美しいドレスを着た女の子が座っている。
「なんですかねこれ?」
「あれはバスターズだな、恐らく公開訓練で模擬戦をやっているのだろう。そして、奥にいる高貴な女性はロゼーリア・ブラン・ペルシアル姫だ」
「あれが帝国の対モンスター最強組織......それと何ですか?ロゼ何とか姫って?」
「ロゼーリア姫を知らないのか?」
「は、はい......」
またしても常識の無さが露呈する俺。
もっと勉強しておけば良かった。
「ロゼーリア姫は現帝国最高指導者の皇帝ベインの正妻の長女だ、まあ簡単に言えば皇女様ってことだ。そしてあの美貌から世界一の美女と謳われている」
「そうなんですね......確かに綺麗な人ですが」
サイさんも負けてないなって思う俺。
弟バカかな俺。
「まあウチの魔王様の方が可愛いと思うがな」
姉バカもここにいた。
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