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第77話 謎の女スカーレット

俺と小さくなったサイさんは雪山から下山し、麓の町を目指していた。


「だいぶ降りましたから、もうすぐですね」


「ああ、すっかりロイくんも元気になって良かったぞ」


俺はまだ少しのケガは残っているものの、大きな外傷もなく普通に動ける身体となっていた。


「サイさんはまだ小さいままですね」


「いつ戻るかわからんが氷魔人の仲間は一週間で治ったと言ってる者もいれば一ヶ月かかったと言っている者もいたから、気長に待つしかないな」


そう「うーむ」と顎に手を当てながら歩くサイさんにこれはこれで可愛いから良いなと思う俺。


「そう言えばサイさん、プライベートなことなんですけど聞いていいですか?」


「ん?なんだ?」


「サイさんっていつ魔王様の部下になったんですか?」


「あー、ちょうど4年前だな、結構新参者なのだ私は」


「そうなんですね、どんな経緯があって魔王城に来たんですか?」


「ん?気になるのか?」


「気になります!!」


真っ直ぐな目でサイさんを見る俺。


「うーん、まあ魔王様に勧誘されたのだ。4年前私はサンダトルトのサンダトルト大学の学生だったんだ」


「サンダトルト大学って、サンベルス国立大学とニューペルシアル大学と並ぶ名門の!?」


「言うほどでもない、しかも中退だし。当時私は学校の先生になりたくてな、故郷の雪山から降りてきて大学に通っていたんだ」


「そうだったんですね、サイさんは面倒見が良いんで学校の先生っぽいです」


「そうか?まあ人間観察は好きな方だ、だから人事として働かしてもらっている。最初は魔王城で働き出してから、仕事が出来なくて苦労したな」


「え!?サイさんが?」


「ああ、ロイくんと同じで良くランド様に怒られていた」


「そんな風に見えないですね、何でもテキパキこなす印象です」


「全然そんなことはない。それに私が魔王城で働き出したのは20歳だったからな、17歳の君より余裕があったがそれでもやはり上手くいってなかった、そんなもんさ」


「そうなんですね......って言うか魔王城で働き出したのが20歳ってことはサイさん24歳なんですね」


「あ......」


サイさんは少し赤くなって立ち止まる。


「い、今のは無しだ!冗談だ!」


「24歳って十分若いじゃないですか、それに俺はサイさんが何歳でも尊敬してますよ!」


「う、うう......でも7歳差は姉弟としても結構離れている方だろ」


「そんなことないです!!サイさんはお姉ちゃんとして最高ですよ!それに......」


「ん?どうした?」


「いえ!何でもないです!とにかくサイさんはいくつだろうが最高ってことですよ!」


「最高って......やっぱり褒め方が下手で可愛いなロイくんは」


「そ、そうですかね」



そうこうして、歩いている内に俺とサイさんの視線の先には町が見えた。


「あ!着きましたよサイさん!」


「思ったより早く着いたな」


「確かに、思ったより早かったです」


「へ?」


そのどこからともなく聞こえてきた謎の声のする方へ向いた俺とサイさん。


そこには木の上で座るスカーレットの姿があった。


「お、お前!スカーレット!」


「お待ちしておりました」


そう言うと、木からジャンプし、着地するスカーレット。


「ごきげんようロイ様、サイ様」


「ごきげんようじゃねーよ!お前この前はよくも......」


「その節は申し訳ございませんでした。しかし、今はあなたたちの敵ではありません」


「え......」


「スカーレット、私はお前をきな臭いと思っていた。魔王城での一件、お前はロイくんや私を殺すことが出来たはず、なのに敢えて見逃した、何が目的だ?」


そう聞くサイさん。


俺は確かにと頷く。


「......あれは不要な殺生はしたくなかっただけです。あくまでも私はヴァルロ様の部下、それ以上でもそれ以下でもありません」


「ほう、なら私達に何の用だ?ヴァルロ様は魔王様以外に興味ないのだろう?」


「私は伝えたいことだけ伝えにきただけ。魔王レイカは生きている、それに元気、それともうすぐ大きな戦いが始まる。その準備はしておくことですね」


「なっ!それはどういう......」


「それにロイ様」


「え?」


「カエデ様も無事です。もうすぐエーケベという町に到着する頃でしょう」


「なっ!」


しかし、俺が問いただそうとした瞬間、スカーレットは消えた。


「消えた......一体何が言いたかったんだ」


「ど、どういうことでしょうか。魔王様が生きていて、それに大きな戦いが始まるって」


「わからん、信憑性に足るのかもわからない。しかし、やはりスカーレットという女は良くわからん、見たこともない魔法を使う上に戦闘スキルも私と同等以上、一体何者なのだ」


「謎が多いですね......なぜヴァルロの野郎の部下なのかも」


「それはそれとしてロイくん、カエデ様とは誰のことだ?」


ジロリと俺を見ながら言うサイさん。


「え、あ.......え、えーと.......」


俺はサイさんに頭を下げる。


「ごめんなさい!サイさん!!」


「ん?なんだ?」






俺はサイさんにカエデとのことを全て話した。


隠して別のアシスタントをやっていたこと、そしてワープ装置が壊れて戻れなくなったこと。


「なるほど......そんなことが」


「本当にごめんなさい。俺、言わないといけないと思ってたんですけど、言い出せなくて」


「まあ魔王様は知っていたのだろう?じゃあ私が必要以上に咎めることではない」


「そ、そうですが」


「だが......正直私には相談して欲しかったぞ、そんなことで私が怒るように見えたか?」


そう少し困り顔で言うサイさん。


「い、いえ......そういう訳ではないのですが」


「私はロイくんのこと弟のように思っていたのに......傷付いたなー」


ジトーっとした目で俺を見つめるサイさん。


「ち、違いますよ!!俺もサイさんのことは尊敬してますし姉以上の存在だと思っていますよ!!」


「フフ、やっぱり可愛いなロイくんは。まあいいだろう、次からはもっと頼ってくれよ」


そう言って俺の横腹の辺りをポンポン叩くミニサイさん。


やはり言ってることと姿格好にギャップがあって可愛いと思う俺だった。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


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