第76話 旅は道連れ
「それは良かったですの。でしたら差し支えなければ、私達に事情を教えていただけないでしょうか?」
「......そうだね、二人にはお世話になったし、ちゃんと話すよ」
「まずは何故魔王である貴女がこんな川で流されていたのか、お聞きしてもいいでしょうか?」
「えっ!?」
僕とリコは驚いた顔を見せる。
「レ、レイカちゃんが魔王!?なんですか!?」
「僕の顔は世間に公表していないはずなのに何でわかって.......」
「私にわからないことはないですの」
コアネールのオデコがキラリと光る。
「先ほど見せた闇魔法での治癒、魔族であること、また噂では魔王はまだ幼いのではないかと言う噂が流れていました、そして私の名前も素性も知り尽くしていた。そこから貴方が魔王なのではないかと推測いたしましたわ」
「そうなんだ......流石千年に一度の才女、帝国側にもくせ者はいるんだね」
僕はそう言うと、翼を広げた。
「そうだよ、僕はレイカ・ユミナル・ダーク、現魔王にして魔王軍の総大将」
そして、僕は全ての事情を二人に話した。
助けてもらったお礼と何となく二人は信用出来そうな予感があり、全てを話した。
「なるほど......そんなことが」
「うう.....レイカちゃん、辛かったね」
涙を浮かべて抱き締めてくるリコと考え込んでいる様子のコアネール。
「うん、でももう大丈夫!どうするか決めたしね!」
僕は決心した。お兄様やランドのことはあるがまずはロイロイを探す。
生命力は高そうなロイロイはきっと生きていると確信した。
「これから僕は西を目指すよ、魔王城の方に進む。一人だと不安だったけど、二人のおかげで元気が出たよ」
そう言う僕の言葉を聞いて、顔を見合わせるリコとコアネール。
そして二人は言葉を発さないで頷いた。
「良かったら私達もお供しましょうか?」
「えっ!?なんで!?」
「レイカちゃん一人だと心配だし、どの道私達帰り道がわからなくて迷子になっていましたから」
「で、でも......」
僕は目に涙を溜める。
「どうして二人はそんなに優しくしてくれるの?」
「優しいも何も、レイカちゃんみたいな小さい子を放っておけないよ」
「......」
僕は涙を拭う。
「ありがとう、リコ、コアネール」
それからしばらく経ち、泣き止んだ僕。
「気を取り直して!!魔王!!」
「王女!!」
「田舎娘!!」
「美少女三人娘の旅の始まりだよ!!」
「「おー!!」」
三人はハイタッチした。
「ところでリコ、コアネール、僕何も持ってこずに来ちゃったから1Gもお金持ってなくて、魔王城に着いたら返すから少し貸してもらえないかな?」
「「......」」
「ん?」
「生憎ですが私達も1G足りとも持ってませんわ」
「ええ!?宿代とかもないの!?」
「宿代どころか食費も一切ないから枝とツタで釣竿を作って虫を捕まえて魚釣りしてるんだよ」
「え、え、マ、マジ?」
「大マジですね、所持金0G女三人旅の始まりです」
「すぐに慣れるですの」
「い、いやぁぁぁぁああ!!」
こうして貧乏娘三人組の旅が始まったのだった。
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