第７３話 これからの行動
しばらくして俺とサイさんは離れた。
離れた後、お互い恥ずかしくて、目を泳がせる。
「な、何だか恥ずかしいな！」
「そ、そうですね.....」
「ま、なんだ！これからは私がついてやる！安心しろ」
やっぱりサイさんは頼りになる。
俺も早くサイさんに頼りにされるようにならないとな。
「それにあれだ、私もロイくんのことは弟のように思ってる。だからロイくんも姉だと思って気軽に頼ってくれ」
「うん、本当にありがとう。サイ姉ちゃん」
「え、い、いや、う、うん！ご、ごほん！！」
サイさんは真っ赤になったが、咳払いをして冷静さを取り戻した。
「まあ、今の状況からするに魔王様は無事だと思う」
落ち着いて、腕組みをしながら言うサイさん。
「どうしてですか？」
「相手側にはランド様がいたのだろう、なら大丈夫だ」
「でもランドさんはヴァルロの手下だったのですよ。革命軍の仲間になることを拒否すればもしかしたら......」
「いや、絶対に大丈夫だ。ランド様がいる以上魔王様が殺されるなんてことは絶対にあり得ない。裏切り者だったとしても、ランド様が魔王様に手を上げるなどあり得ない」
「そ、そうなんですかね？」
「ああ、人を見る目だけは自信がある。魔王軍に入ってからあの二人を見てきたがそこは安心してもいい」
そう言うサイさん。
そうか......俺よりもずっと二人を見てきたサイさんが言うなら、そうなんだろう。
だとするとどうなる？と少し考えるサイさん。
「なら、ロイくんの回復を待って、まずは東の山の麓の町に行こうか、その後は魔王様の情報を集めて魔王様を探そう」
「はい、すいませんがそうしましょうか。明日には何とか動けるようにはなっていると思います」
「いや、大事を取って明後日にしよう。下手に動けないロイくんが外に出て、野良モンスターや賊に襲われたら大変だからな」
「え、でもそんなのはサイさんなら一瞬で倒せるんじゃないですか？」
「いや、それが少し問題があってな......」
そう言うと、サイさんは立ち上がる。
すると、みるみるサイさんの身長が縮んでいった。
「え！？サイさんが小さくなった！？」
そして、小学生ぐらいの大きさとなったところで止まり、腕を組むチビッ子サイさん。
「どうやら液体になった時に使った魔力が完全に戻っていないようでな。気を抜くと身体が縮んでしまうようなのだ」
そう言うチビッ子サイさん。
小さい身体で言っていることや話し方は大人びているから違和感がすごい。
チビッ子サイさんが言うには、魔力も元の状態の10分の1程度で、正直言って戦闘では役に立てないらしい。
つまりしばらくの間は戦えるのは俺のみなので、ちゃんと回復を待ちたいとのこと。
「まあ魔王様はあれでいて結構しっかりしているから、何があっても元気にしているはずだ。なので君は君の身体を按じるといい」
「そうですね......わかりました。しばらくは安静にしておきます」
「うむ、では私はこの辺りに食べられる木の実や草がないか探してくる」
そう言うとサイさんは山小屋に常備されていた藁の帽子と藁の靴を履いた。
「うむ、しっくりくる」
「き、気を付けてくださいね」
「ああ、心配するな。私は雪山出身だから雪山は庭みたいなものだからな」
そう言って歩いていくサイさん。
その後ろ姿はどう見ても雪ん子だった。
可愛い。
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