第70話 兄妹喧嘩 2
「お兄様!!許さない!!」
またしても無数の闇魔力の玉を放つレイカ。
しかし、それはヴァルロの前に出現したランドのシールドによって防がれた。
レイカはランドの方を見る。
「レイカお嬢様!それ以上は......」
「ランド......さっきから邪魔ばっかりして」
レイカは視線をスカーレットが落ちた場所に移す。
スカーレットはムクリと立ち上がり、レイカをじっと見つめていた。
「どいつもこいつも......僕の敵だ!!」
さらに倍の闇魔力を放出するレイカ。
「ガハッ!!」
しかし、その瞬間吐血するレイカ。
「やはりダメだ!あの魔力量は身体に負担を掛けすぎている!!」
「レイ、そのままやったら死ぬよ」
心配そうに叫ぶランドと冷静に無表情で言うヴァルロ。
レイカは口に付いた血を袖で拭き、ヴァルロを睨む。
「うるさい!!もうお前らの言うことなんか聞かない!!」
そう言いながら魔力を飛ばすレイカ。
その魔力はまるで黒い龍のような形となり、ヴァルロ達を襲う。
「くっ!!レイカお嬢様!!」
ランドはまたしてもその魔法をシールドで防いだ。
しかし、黒い龍はシールドに触れるとシールドを粉々にし、直進した。
「なっ!!俺のシールドが!!」
「絶対防御のランドのシールドを破壊するなんてな」
勢いよくヴァルロに向かって飛ぶ黒い龍。
「僕も本気を出さないといけないようだね!!」
ヴァルロは闇魔力を剣に溜め込むと黒い龍に向かって一閃した。
ガキッ!!
「くっ!!」
黒い龍と剣がぶつかると、凄まじい衝撃波が迸った。
「はあっ!!」
ヴァルロの剣は黒い龍を一刀両断し、黒い龍は跡形もなく消えた。
「僕の闇魔法が......」
「僕もこの5年間寝ていた訳ではないからね」
そう言うとヴァルロは翼を広げる。
「まだまだ妹に負ける訳にはいかないよ!!」
そして大きく飛び上がり、レイカに向かい直進する。
「くっ!!」
レイカはそれを見ると、無数の闇魔法を飛ばし向かえ討つ。
しかし、ヴァルロは素早い動きで闇魔法を交わし、レイカに近付いていく。
「は、速い!!」
「はあっ!!」
ヴァルロはレイカの目の前に来ると、闇魔力を溜めた剣でレイカを斬り付けた。
レイカはそれを腕で防ぐ。
「うぐぐ......」
ガキンッ!!
ヴァルロが剣を振り切ると、レイカは地面に向かって吹き飛んだ。
ボフッ!!
そして、勢いよく雪が積もった地面に衝突した。
「僕の闇魔力を腕に溜めた闇魔力で防ぎ切ったか、腕を上げたねレイ」
「ぐっ......」
地面にぶつかったレイカは立ち上がる。
(魔力を溜めた腕で防いでもこれか......普通の魔力なら虫が止まった感覚もないぐらいなのに)
痛む腕を押さえながら思うレイカ。
「レイカお嬢様!傷付いた身体が自然治癒していない!もう魔力が限界だ!」
そう叫ぶランド。
レイカの魔力はレイカの身体が傷付けば自動で治癒するようになっている。
それが機能していなく、それはレイカの魔力は限界に近いことを意味する。
「レイ聞け、もうこの世界を安定させるためには帝国を倒すしかない。レイの力が必要なんだ」
「......そんなことどうでもいいんだよ!!それなら何でロイロイを殺したんだよ!!」
「......僕の計画を邪魔する奴は消えてもらうしかない」
「そんなの......何が正義なんだ!!」
「魔王が正義を語るとは滑稽だね」
「ロイロイを返せ!!」
レイカは翼を広げ、飛び上がる。
そして、ヴァルロに向かい直進した。
「くらえ!!」
そのまま直進しながら闇魔法を放つレイカ。
その闇魔法はまたしても黒龍の形へと変化し、ヴァルロを襲う。
しかし、先ほどとは比べ物にならないほどに小さかった。
「魔力切れだな」
その闇魔法をヴァルロが片手で防ぐと力なく闇魔法は消えた。
「うおおおおおお!!」
ヴァルロに向かって直進するレイカはそのまま回転し、かかとでヴァルロを蹴った。
しかし、それも片手で受け止められる。
「な......闇魔力が」
自分の脚を見ると、闇魔力が付与されていないことに気づくレイカ。
普段は身体に闇魔力を纏うことで打撃の威力を上げているレイカだったが、今のレイカは全く魔力を纏っていない。
「残念だったねレイ、まだまだ僕には勝てないよ」
左手でレイカの脚を掴んだまま、右手で闇魔力を溜めるヴァルロ。
「しま......」
「僕の勝ちだレイカ」
右手をレイカに向けるヴァルロ。
その瞬間、レイカの前にシールドが現れた。
「何?」
ヴァルロがランドの方を見ると、手をレイカの方に向けるランドがいた。
「ふっ、甘いなランドは」
チュドオオオオオオオオン!!
零距離で闇魔法をレイカにぶつけるヴァルロ。
シールドは粉々に砕け散り、レイカは闇魔法を受け吹き飛んだ。
ガガガガガガッ!!
そして、地面にぶつかるがその威力で数十mほど雪を巻き上げながら地面を転がり、崖の前で止まった。
「ランドのシールドで威力が弱まってしまったようだな」
「ヴァルロ様!!今のは......」
「レイカはあれぐらいで死なないよ、ランドはお節介だな」
「わかってます!ですが必要以上にレイカお嬢様を傷付けるのは」
「わかっているよ、僕を鬼みたいに言うな」
そう言うと、レイカが倒れた場所に向かって飛ぶヴァルロ。
そして、血を流し倒れるレイカの前に立った。
「レイ、意識はあるか?」
「......ハア.......ハア」
辛うじて、虚ろに成りながらも目を開けているレイカ。
「最後だ、僕の仲間になれレイカ、悪いようにはしないさ」
「...............」
何も言わず、首を振るレイカ。
「そうか......」
ザシュ......
レイカのいる少し手前の地面に剣を突き刺すヴァルロ。
剣を突き刺した箇所はヒビが割れ、地面ごとレイカは崖から落ちる。
崖の下には川が流れていた。
「レイ、少し頭を冷やして再び僕の元へ来い」
そうヴァルロが言った瞬間、レイカは川に落ちた。
そして、流木に引っ掛かったレイカはそのまま川に流されていった。
「.......」
「ヴァルロ様!!」
そこへ走りよってくるランドとスカーレット。
「ヴァルロ様、レイカお嬢様は」
「大丈夫だ、生かしてある」
「そうですか......」
「だけどあのロイとか言うガキはわからない。この環境だ、奇跡でも起きない限り生きてはいないだろうな」
「はい......」
「レイを仲間にする作戦は失敗した。次の作戦に移る。スカーレット、瞬間移動を」
「はい」
そう言うとヴァルロとスカーレットは後ろに振り向き歩き始める。
ランドは雪山の方をじっと眺めていた。
「ロイ......生きろ」
そう呟くと後ろを振り向き、ヴァルロ達を追った。
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