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第6話 魔王城への侵入者

俺達は魔王城の会議室に移動した。


会議室と言っても非常に広く、ざっと300人以上のモンスターが入れるぐらいの広さはある。


その会議室の一番奥の真ん中に巨大な椅子があり、そこに魔王様が座っている。そしてその隣に危険度SSS、魔王様の右腕の第1魔将ランドさんが立っていた。


「魔王様、見張りから情報によると今回の侵入者は恐らくこの者達です」


ランドさんは魔王様に3枚の紙を手渡す。


魔王様は無言でそれを取り、3枚全てに目を通した。


「ああ、最近ちょっと話題になってたパーティーだね。危険度Sの野良モンスターを倒したとか」


危険度S!?のモンスターを倒した冒険者が来てるのか!?


それはつまり、カエデさんでも危険度Aまでしか倒したことないらしいから、カエデさんより強い冒険者と言うことになる。


「サ、サイさん、侵入者って頻繁に来るんですか?」


俺は隣に腕を組んで立っているサイさんに聞いた。


「そうだな、頻繁と言う訳ではないが、たまに来るな。まあここは魔王軍の本拠地であるから辿り着くのはなかなかに腕の立つ冒険者だけだ」


「そうなんですか......」


カエデさんより強い冒険者がやってくる魔王城、それを意図も簡単に追い払ってきた魔王城のみんな。


俺とは全く違う世界の人達だ。



「コイツらに城を荒らされたら面倒だな。エントランスで確実に仕留めるよ」


魔王様が持っていた冒険者の情報資料をランドさんに返しながら言う。


「だから今日は僕が出る」


魔王様はそう言いながら立ち上がろうとした。


「ダメです」


「えー!」


立ち上がろうとしていた魔王様は、自分の意見をランドさんに即却下されて、驚く。


「魔王様が戦えば結局城がボロボロになります。それでは侵入者に荒らされたのと同じです」


「で、でも、今回は気を付けて戦うよ?」


「ダメです。それだけでなく魔王様が出れば敵に魔王様の情報を引き渡すことになります。魔王様にもしものことがあれば魔王軍は統制を失います」


ランドさんは無表情で言う。


魔王様は「ぐぬぬ......」っと言わんばかりの顔をするが、最終的には納得したようにため息をつく。


「もお......わかったよランドは細かいな」


「魔王様が大雑把過ぎるだけです」


「うるさいな、僕O型だから仕方ないじゃん」


「血液型のせいにしないで下さい」


「うるさいバーカバーカ!」


なんか魔王様とランドさんが小競合いしているぞ......


周りを見渡すと、みんな「またか......」っと言ったような顔をしている。


「サ、サイさん、なんか魔王様とランドさんが喧嘩してますけど......」


俺は隣のサイさんに聞いた。


「ああ、いつものことだ。ランドは昔から魔王様の教育係をやっていてな。親のように口うるさく言うから魔王様は少し煙たがっているんだ」


そうか、まあ魔王様も多感な時期だし色々あるのかな。


そう思っていると、魔王様が話を進め出した。


「んじゃ誰が倒しに行くの?結構強いのに僕が出なくて大丈夫なの?」


「俺が行きましょう。それで異論はないでしょう」


ランドさんが腕を組ながら言った。



「はいはい、わかったよ。じゃあランドが侵入者を撃退しに行くのに賛成な人ー」


魔王様がそう言うと、モンスター達は一斉に手を挙げ出した。


隣のサイさんを見ると、小さく手を挙げていた。それを見て、俺も手を挙げた。



「はい、それじゃあ決定ね。カイサーン」


魔王様がそう言うと、ぞろぞろとモンスター達は会議室の扉から出ていく。おいおいなんか適当だな魔王軍。


そう思いながら、モンスター達に続き、俺も外に出ようとした。




そのとき、誰かが後ろから俺の肩を叩いた。


「ん?」


俺は振り返ると、そこには誰もいない......ことはなく、少し目線を下げると、そこには俺の肩を叩いた人物がいた。


「ま、魔王様!?」


「よっ!ロイロイ、今から僕と楽しいことしない?」



た、楽しいこと......だと?


い、いやいやいや!確かに魔王様は美少女だけど、まだ13歳だ!俺が捕まっちまうよ!



「いやいやいや!魔王様!そういうのはもう少し手順と言うものが......」


「手順?よくわかんないけど来てよ!」


魔王様は俺の手を握り、引っ張る。


その手は白くて小さい。昔妹と遊んだときのことを思い出す。


「こっちこっち!」


俺と魔王様は会議室を出て、少し進んだところの廊下で止まった。


その廊下は何もなく、ただ長く奥に続いているなんの変哲もない廊下であった。


「こんなとこに何があるんですか?」


「すぐにわかるよ。えーと、ここかな?」


魔王様は廊下の壁の方に歩くと、膝を曲げてしゃがみ込んだ。


しゃがみ込むと魔王様の小さい身体はより小さく見える。


「どうしたんですか?魔王様」


「おっ!あったあった!」


すると、いきなり壁の下の方を剥がし出した魔王様。


剥がした壁には60cm四方ぐらいの穴が出来る。



「ちょ!なにしてるんですか!っていうかこの壁石で出来てますよ!」


「ここだけ紙で出来てるの!僕が作ったんだよ!さっ、行くよ!」


魔王様は四つん這いになり、ハイハイで壁に出来た穴を進み出した。


なんか嫌な予感するわ......


俺は仕方なく魔王様の後を追った。
















「ま、魔王様......狭いです」


「後少しだから我慢してね」


俺達はしばらく四つん這いで隠し通路を進んでいた。


「なんなんですかこの穴は?」


「僕が隠れて城から抜け出すために作った隠し通路だよ!色々なところに繋がってるんだ」


スゴいなどうやってこんなの作ったんだろう。城の壁の中を繰り抜いて人が通れる穴を作っている。相当な技術が必要だ。


って言うかそんなことより......



魔王様さっきからパンツが見えている。


白と黒のシマシマだ。


「ほら!着いたよ!」


「えっ!あっ!は、はい!!」


魔王様は穴から出て、少し広い空間に出る。


そこは大体人間が二人入れるぐらいの大きさで、穴がいくつか空いている。


「魔王様、これは?」


「ここは魔王城のエントランスに置かれてる銅像の中だよ!ここからランドが侵入者と戦ってるとこ見れるの」


そう言って穴を覗き込む魔王様。



どうやら廊下の穴から隠し通路を伝ってエントランスに来たようだ。


魔王様はランドさんが侵入者と戦ってるところを見たかったようだ。まあそれは俺も見てみたいのでいいが......


出来れば魔王様のパンツをもっと見ていたかったけど......


そう思いながら俺も穴を覗き込んだ。


穴の先には、城の入口方向に人が3人、入口とは逆、城の中へと続く方向にはランドさんが立っていた。

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