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第59話 ロイの妹

時刻は夕方、俺、魔王様、ランドさんの3人は森からサンダトルト内に移動した。


「おおー!綺麗な宿屋ですね!」


俺の目の前には今まで見たことない豪華な宿屋が立っていた。


「サンダトルトで一番大きな宿屋だ、今日はここに泊まってくれ」


「え?泊まってくれ?」


「俺は少し用事がある、金は渡すから2人で泊まってくれ」


そう言うとランドさんは俺に金の入った袋を渡してきた。


「では魔王様を頼んだぞロイ」


ランドさんは宿屋から反対の方向に歩いていった。


「ランドさん、どこへ......」


「そりゃ、ランドも大人の男なんだから町へ来たら行くところは一つでしょ」


「一つって?どこです?」


「幼稚だなロイロイは、そりゃエッチなお店に決まってるでしょ」


「エッチなお店......」


「まっ!ロイロイは僕という極上級の美女と一晩過ごせるんだから役得だよ役得」


魔王様は人差し指を口に当て、セクシーな表情をした。


「クソー!ランドさんは夜の町に遊びに行って俺は子守りかよ!」


「子守りとはなんじゃー!!」


魔王様は俺に蹴りを入れた。


「いてー!!」


「ふんっ!バカロイロイ、知らない!!」


魔王様は倒れる俺を尻目に宿屋へと入って行ってしまった。


ま、また何かまずいこと言ったかな......


「ま、待って下さいよ魔王様!!」















「すいません、今夜は満室でして......」


宿の受付に話しかけるとそう言われた。


「マジッスか......他の宿で空いてそうなとこありますか?」


「いやー、最近の機械ブームでサンダトルトは観光地として人気ですから、空いている宿があるかわからないですね」


「マジッスか......」


俺と魔王様は受付を離れた。


すると、俺達の後ろに並んでいた女の子が受付の前に立ち、受付を始めていた。


「あの、私予約していた者なんですが」


それを尻目に相談する俺と魔王様。


「どうしましょうか、また野宿ですかね」


「うーん、ここは休憩の意味も込めてちゃんとした宿に泊まりたいところだね。とりあえず手当たり次第回ってみようかロイロイ」


「え?ロイ?」


すると、受付をしていた女の子が振り向き俺達を見る。


「ん?俺?」


「もしかしてロイお兄ちゃん!?」


「へ?お兄ちゃん?」


女の子は俺をじーっと見ながら言った。


「え、えーっと?俺はこんな美少女にお兄ちゃんと呼ばれるような善行は積んでないと思うが......」


「わからないの!?リアだよお兄ちゃん!!」


女の子は悲しそうな表情をしながら言った。

それを見かねて、魔王様が口を挟んできた。


「ロイロイ、前に妹が1人いるって言ってたよね?」


「へ?た、確かに俺には3つ下の妹がいるけど妹は随分前に1人旅に出て......小さくて可愛い頬っぺたプニプニの女の子だったが......」


ロイは目の前の美少女を見る。


背丈は昔の妹より随分高いが、可愛い頬っぺたプニプニの女の子だった。



「あ、ああ!!リ、リア!?リアじゃん!!」


「すぐ気付かないなんて酷いよお兄ちゃん」


「い、いや!随分大きくなったね!ハ、ハハハ、見違えたよリア!」


悲しむ妹のリアに苦笑いをする俺。


「ロイロイ、完全にモテない男ムーブ」









俺と魔王様、そして妹のリアは料理店に移動し、座っていた。


「いやー!まさかこんなところでリアに会うなんて、大きくなったねリア」


「うん!どう?女の子っぽくなっちゃった?」


「うんうん!前髪が伸びて女の子っぽいぞ!」


(絶対そこじゃないだろ!!ってツッコミたいけど、兄妹水入らずのところで邪魔したら悪いかな)


魔王様は何か言いたげだったが、我慢している様子だ。


俺は目の前の妹をじっと見つめる。


3つ下の妹のリア・レンズ。


小さくて可愛い引っ込み思案な妹だったが、かなり優秀で魔法属性を2つ持つダブルだった。


そして、成績優秀、運動能力も高く、飛び級で大学への推薦がいくつも来るほどの優秀さだった。


だけど、そういった推薦を全て断り、2年前に1人で旅に出た。理由は世界に見聞を広げて、引っ込み思案な性格を直したいとのことだった。


当時俺も母さんも心配したが、見かけによらず頑固な性格で結局旅に出てしまった。


それっきりの再会である。


「でもリアはどうしてこんな所に?」


「え?いや、実は旅先で就職してね。仕事で調査に来たの」


「え、そうなの?偉いなリアは」


「えへへ、ありがとお兄ちゃん」


「......」


俺達の会話をじーっと聞く魔王様。


「仕事って何の仕事してるの?」


「まあ、公務員なんだ」


「そうなのか、安定してるな」


公務員、町のギルドの受付とか役場の職員とかかな。


「確かリアが旅に出たのは2年前だったよな」


「うん、だから2年ぶりだね」


「あれから心配してたんだぞ、ちゃんとやってるか」


「ハハ、この通りちゃんとやってるよ。ところで」


リアは魔王様を見た。


魔王様は何故かリアを睨み返す。


「この子は誰なの?お兄ちゃん」


「ああ、この人はまお」


「ロイロイの彼女でーす!!」


俺が言おうとした瞬間に、魔王様は俺の腕に抱き付き、そう言った。


「ちょ、ちょっと!ま、魔王さ......じゃなくてレ、レイカ様!?」


魔王様が魔王であることは隠した方がいいよな......と思い、咄嗟に本名で呼ぶ俺。


「結婚を約束した彼女だよねー、ダーリン」


魔王様はいつも高い声だが、一層高い声でそう言う。


「ほ、本当なのお兄ちゃん!?」


ガラッ!!


リアは驚いて立ち上がった。


「い、いや!違うよリア!レ、レイカ様離れて!」


俺は魔王様を引き剥がした。


「えー、いつもはダーリンから抱き付いてくるのにー」


「お、お兄ちゃん!?」


リアの方をチラチラ見ながら言う魔王様と、魔王様を睨みながら言うリア。


(このリアとか言う娘、妹のくせにロイロイに気があると見た。妹と言えどロイロイは渡さないよー)


(な、何なのこの娘!?妹の許可なくお兄ちゃんとイチャイチャと!!)


魔王様とリアはバチバチと睨み合う。


「イカちゃんとか言ったっけ?まだ子どもじゃない!お兄ちゃんロリコンになっちゃうよ!」


「レイカだよレイカ!!軟体動物みたいに呼ばないでよ!てか男はみんなロリコンなんだよまな板ペッタンコ」


「ぺ、ペタ......あなたも言えないでしょイカちゃん!」


「何だとこのペッタンコ!!」


「ふ、2人ともどうしたんだよ!仲良くしろよ」


「「ロイロイ(お兄ちゃん)は黙ってて!!」」


「い、いや......はい」


言い合う2人にタジタジな俺。


「だいたい妹なのにお兄ちゃん大好きって幼稚じゃん幼稚」


それは魔王様も言えないんじゃないか......って思ったが黙っていた。


「何それ?兄妹仲良しの何が悪いの?それこそイカちゃんの方が妹に嫉妬するなんて幼稚だよ」


「嫉妬なんかしてない!!って言うかロイロイが僕のこと好き好きなんだから仕方ないでしょ」


「違うでしょ!お兄ちゃんがイカちゃんみたいな子ども好きになる訳ないでしょ!」


「こ、子どもだって!?自分だってペッタンコの幼児体型じゃないか!!」


「待て待て待て!!喧嘩するなって!!」


「「ロイロイ(お兄ちゃん)は黙ってて!!」」


「は、はい......」

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


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