第50話 魔王の決断
俺と魔王様は隠し通路から魔王城の門の外に出た。
すごい、外まで繋がってるなんて、子どもが作ったものとは思えない。
魔王様は外に出ると、大きく背伸びをした後、魔王城の方を見た。
「うん、いつ見ても立派な城だね」
そう自慢気に言う魔王様。
魔王様はこの城で生まれ育ち、成長した。
そりゃ、俺にとっての実家と一緒だから大切に思ってるだろうな。
「さて!しばらく魔王城とはお別れだけど、元気出して行こうか!」
「どこへ行くのですか?魔王様」
「へ?」
俺と魔王様が声がする門横を見ると、壁に持たれ掛かり立っているランドさんがいた。
「ラ、ランド!どうして.........」
「そろそろ、魔王様が無断で出ていく頃かと思いまして」
そう言うランドさんは歩き出し、魔王様の近くに来た。
ランドさんと魔王様は並ぶと天と地の差ほどの身長差がある。
「で、でも.......僕はバレないように3日引き込もって出てきたんだよ!」
「1日目に迷い、2日目に決意を決め準備、3日目に決行が魔王様の行動法則です」
「むぐぐ........」
その通りだと言わんばかりに悔しそうにする魔王様。
恐らく図星だったのであろう。
しかし、その悔しそうな顔は一変して悲壮な顔つきとなった。
「ランド、僕やっぱり知りたいんだ。お兄様が生きているのか、お兄様が何で魔王城を出ていき魔王城を襲うのか、どうしても知りたい」
また魔王様は目に涙を溜めている。
「お父様もお母様も死んじゃって、僕にはお兄様しかいない.......だから自分で確かめたい」
「魔王様は甘いです」
懇願する魔王様に冷たく言い放つランドさん。
「まずヴァルロ様が生きている可能性は低い、それに例え生きていても今は魔王様の敵、どちらにせよ必ず魔王様が辛い思いをします」
魔王様を宥めるように言うランドさん。
「何度も言いますが俺は反対です。今の魔王様は十分幸せに見えます。過去に捕らわれていては今持っているものも失うことになりますよ」
ランドさんは少し強い口調で言った。
俺はそれを黙って聞いていることしか出来なかった。
「......」
魔王様は少し口を閉ざす。
ランドさんの言っていることは正論だ。それを魔王様も十分わかっているのだろう。
魔王様.......
「僕は.......」
顔を上げてランドさんを見る魔王様
「僕はそれでも知りたい!辛い思いするかもだけど......やっぱりお兄様とまた話したい!」
そう力強く言う魔王様。
「.......」
それを聞き、神妙な面持ちのランドさん。
「魔王様、これから本当に辛いことがあっても泣かない、後悔しないって誓えますか?」
「うん!絶対にしない!」
力強い目付きでランドさんを見つめる魔王様。
ランドさんもしばらく魔王様を睨み付けていたが、ハアと溜め息をつくと目を反らした。
「強情で聞かん坊なところが先代そっくりだ」
そう言うと城の外側、城下町の方へ歩いて行くランドさん。
「子ども2人では何かと不便でしょう。俺も付いて行きますから2週間で戻りますよ」
歩きながら言うランドさん。
つまりランドさんも付いてきてくれるってことか。
「バカランド......すぐかっこつけるんだから」
そう言うと魔王様はランドさんの後を追った。
こうして俺達は魔王様の兄を探す旅に出ることになった。
ランドさんが付いてきてくれるなら心強い。
そして、俺はこの旅で強くなる。カエデや魔王様を守るために!
そう言えばカエデは大丈夫だろうか.......
もう気はついただろうか.......
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