第48話 突然の別れ
そう言われた魔王様はまた悲しそうな顔をした。
「それに魔王城を襲撃した目的が玉を奪取すること、それは恐らく魔力玉のことです」
「魔力玉?」
俺はわからず聞いた。
魔王様はそれを黙って聞いている。
「この世に8つあると言われている膨大な魔力が込められた玉のことだ。それぞれ8つの魔法属性、火・水・雷・風・土・氷・光・闇の魔力玉がある。その中の闇の魔力玉、これが魔王城にあるとされている魔力玉だ」
なるほど、なら敵の目的はその闇の魔力玉を奪取することだったのか。
だが、今回は見つからず失敗に終わったと。
「でもその魔力玉ってどこにあるんですか?」
「わからん」
即答するランドさん。
「え?ランドさんも知らないんですか?」
「ああ、俺も魔王様も今は知らない。だがこの目で見たことはある、先代の魔王様は確かに持っていた。先代の魔王様がどこかに隠したはずなのだが、まだ見つかっていないのだ」
ランドさんは腕を組みながら言った。
先代の魔王とは魔王様のお父さんのことだ。
すると、魔王様が口を開く。
「魔力玉は代々魔王に受け継がれる物、お父様はヴァルロお兄様に次期魔王になって欲しがっていた。だから僕に魔力玉の場所を教えてくれなかった」
「魔王様、魔力玉があろうと無かろうと今の魔王はあなたです」
「ランド、僕はお兄様を連れ戻したい。そしてお父様の望み通り魔王を」
「魔王様!!」
ランドさんはまたしても大きな声を上げた。
「今の魔王は貴女です、あの日貴女はそれを覚悟したはずです」
ランドさんはフーと息を吐き、落ち着きながらそう言った。
魔王様の表情は依然暗いままである。
「わかってる.......わかってるけど.......」
魔王様の目からは涙が流れた。
「魔王様.......」
俺は心配そうに声をかける。
「......負傷者の救援に行ってくる」
そう言うと魔王様は何も言わず歩いていった。
その背中はいつもの魔王様とは全く違い、小さくなっていた。
無理もないか......あの歳で色々なことを経験し過ぎている。
「はあ......ロイ」
ランドさんも少し疲れた様子で声をかけてくる。
「お前のケガは大丈夫なのか?」
「はい、俺は打撲した程度で.......」
そう言えば俺は少し何でこの程度のケガで済んでいるのだろう。
スカーレットは俺と戦っているときは武器も使わなければ瞬間移動や魔法を一切使わなかった。
舐められていたのか?
「そうか、ならお前は帰れ」
「そんな、俺も負傷者の救助に参加しますよ」
「いや、フラフラのお前なんかがいても邪魔になるだけだ。一度帰って休憩を取れ」
「そ、そうですね.......はい」
それもそうだと俺も思った。
重傷ではないにせよ俺は歩くのがやっとだ。
とても役に立てる気がしない。
カエデも心配だ、今日は一度帰って明日また来よう。
「なっ.......これは」
魔王城の俺の部屋に来てみれば.......
壁は壊れ瓦礫まみれになっていた。
そして、カエデの元に帰るワープ装置も瓦礫で壊れていた。
そうなるとカエデの元に戻る手段はない。
カエデ.......
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