第29話 勇者の父
「な、なんですの!アナタは!」
「君は優秀な王女様なんだろ?何か理由があるんだろ!」
「バカ!!何してんのよ!!」
カエデが俺の耳を引っ張り、台から引きずり下ろす。
俺はいててっ!と呟きながら、台から引きずり下ろされた。
「だ、だってよ!国民のみんながこんな反対してるのにこんな無駄なことをする理由が知りたいんだよ!」
その俺の言葉を聞き、コアネール様が眉間を寄せる。
「アナタに何がわかるんですの!!部外者が口を挟まないで下さるかしら!」
コアネール様は強い口調で言った。
その雰囲気は何かムキになるように叫んでいる。
「そうよ私達は部外者よ。ほら、さっさと行くわよ」
カエデもそれに同調するかのように退場を唆す。
「部外者もクソもねーだろ!取り壊すのに反対じゃなくてちゃんと説明をしてやったらどうだって言ってるんだよ」
俺も少しムキになって言った。
だって困っている人がこんなにいるんだ。それを放っておける訳がない。
この王女様が少し説明するだけでいいのになんで説明をしないのか俺は疑問だった。
「私だって深々と考えて実行してますの!何も考えてなさそうなアナタにそんなこと言われたくないですわ!」
「な、何も考えてなさそうだって!」
「何だ何だ騒々しい」
俺とコアネール様が言い合っていると、台の裏から車椅子に乗った高齢の男性が現れて、言った。
「お、お父様!」
そうコアネール様は言う。
お父様?
って言うことは......
「サンベルス国王のロドロス・サン・サンベルス様よ」
カエデが説明するかのように教えてくれた。
どうやらこの帝国第2の国のトップの人間らしい。
「コアネール、珍しく随分と取り乱しているようだがどうした」
ロドロス様がそう聞くと、コアネール様は俺達の方を向き、事の全てを説明しているようだ。
「ロイ!バカ!」
カエデは俺の脇腹をペシッと叩く。
「いって!!」
「アンタやり過ぎなのよ!」
「だ、だって......」
そうこうやっている間にロドロス様がコアネール様と共に俺達の方へ向かってきた。
「君達、抗議は良いが台の上に上ってくるのはどうかと......」
ロドロス様はカエデをジーッと見て、固まった。
そして、数秒見ると再び口を開く。
「き、君!!まさかシロガネの娘か!?」
そう声を荒くして言う。
「シ、シロガネ?娘?」
俺はカエデを見た。
カエデは少し驚いた表情を見せると、視線を少し落とした。
「はい......」
カエデは小さく呟く。
その声は何か後ろめたいことがあるような声色だ。
「そうであろう!その銀色の髪に背中に背負う刀!シロガネにそっくりだ!」
興奮したような様子のロドロス様。
「いやー!シロガネにこんな娘がおるとは!ウチの娘と一緒ぐらいだな!」
「お、お父様、話はよくわからないですが場所を変えましょう」
コアネール様は興奮するロドロス様とそれを不思議そうに見る国民を見かねて言った。
「そ、そうだな!シロガネの娘殿、少し話がしたいので城まで来てくれんか」
ロドロス様はそう言ったのに対して、はいと弱々しく言うカエデ。
ロドロス様とコアネール様に連れられて、サンベルス城に来た俺とカエデ。
サンベルス城は魔王城の半分ほどの大きさだった、それでも十分過ぎるほど巨大だが。
そして、そのサンベルス城の客間に案内されて、高級そうな椅子に座る俺達。
俺とカエデは並んで座っており、テーブルを挟み向かいにロドロス様とコアネール様が座っている。
「お父様、お身体は大丈夫ですの?」
「ああ、大丈夫だコアネール」
ロドロス様の体調を心配するコアネール様。
ロドロス様は車椅子だし、さっきからの様子を見る限り何かの病気なのかも知れない。
「あの......ロドロス様」
恐る恐る話しかけるカエデ。
「ロドロス様は何で父のことをご存知なのでしょうか?」
「ああ、知らんのか?シロガネは昔サンベルスで兵士をやっていたのじゃ」
と言うロドロス様、カエデは帝国の人間で魔王を討伐するための冒険者である。だからカエデのお父さんも帝国の兵士だったのだろう。
「そうだったのですか......」
「まあ無理もない、20年以上も前の話じゃ。奴はまだ若者だったが、みるみるうちに兵士長になった、優秀な男だった」
カエデと一緒でカエデのお父さんも優秀だったみたいだ。
そりゃ勇者の血が入ってるんだからな。
「ワシも意気投合し、ただの主従関係でなく友人のように接していた」
そう思い出に浸るように言うロドロス様。
「だがシロガネは故郷に戻るためにサンベルスの兵士を辞めてしまってな、その後連絡を取れておれんのじゃ」
「そうなのですね、確かに父は帝国の兵士をやっていたと言っていましたがまさかサンベルスの兵士だったなんて」
「そうかそうか、あれからシロガネはどうしてるのじゃ?またどこかで兵士をやっておるのか?」
ロドロス様はニコニコしながら聞く、その様子からカエデのお父さんと本当に仲が良かった伺える。
「いいえ、父は故郷であるオルトルバで私を生み、しばらくはオルトルバで剣の道場の先生をやっていました。そこで私も剣の基礎を学びました」
そう言うカエデ。
そうか、カエデは自分の父親に鍛えられたのか、ならばあの強さは頷ける。
「その後、ちょうど今から10年前、私が7歳の頃に帝国に魔王討伐の命が下されました」
「なっ!!魔王討伐だって!」
俺はカエデの言葉に驚き声を上げる。
「そうよ、帝国が手練れの兵士や民間人に魔王討伐の命を下していたの。だけどそれは断れることも出来たし名誉あることだった。対価もかなり貰えるみたいだし」
カエデはさらっと言う。
確かに帝国が魔王様を倒そうとしているには当然のことである。
10年前ということは今の魔王様はまだ魔王ではない。と言うことは当時の魔王は魔王様のお父さんか?
そう考えるともしかしてカエデも帝国から命を下された冒険者なのか?
「そうか、シロガネほどの実力者ならおかしいことではない。してカエデ殿、シロガネは今どこで何をしておるのじゃ?」
ロドロス様が聞く。
それを聞くと、カエデは視線を下に落とした。
「父は......」
カエデは正面を向く。
「7年前に殉職しました」
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