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第238話 トップの怒り

「ハア……ハア……」


魔王軍とエルダー・ドラゴンの魔力を吸収した虚空との戦いは続いていた。


息を切らしながら立つレイカ。


圧倒的な力を持つ虚空の前に魔王軍の多くは倒れ、残った者たちも満身創痍の状態だった。


虚空の全身に闇のオーラが渦巻き、その力を前に誰もが絶望に沈みそうになっていた。


「クックック……これで終わりか?退屈な戦いだな」


虚空は冷笑を浮かべながら周囲を見渡す。


「く……これは……まずいね」


レイカはそう呟く。


「レイカ!私も協力するわ!!」


カエデが立ち上がり、剣を構えた。


「カエデ様、無理しないで下さい。その傷では戦えません」


「で、でも……」


バサッ!バサッ!


その時、遠くから羽音が響き、2人の男が現れる。


それはロイとヴァルロだった。


「魔王様!カエデ!スカーレット!無事で良かった!」


ロイが駆け寄る。


「ロイ!!貴方も無事だったのね!!」


カエデが涙ぐみながらロイを迎える。


「ロイロイにお兄様!?」


「レイ、無事か?」


「う、うん……」


ヴァルロは虚空を見ると静かに語り始めた。


「話したいことはあるだろうが、それは後だ。奴を倒す方法が一つだけある。レイカ、君と僕の闇魔法を合わせ、奴の魔力を封印する技を使う。それが成功すれば虚空を倒すことができる」


「それでアイツを倒せるの!?」


レイカが問いかける。


「ああ、ただ大技だ、魔力を溜める時間が必要だ。その間、虚空を食い止めなければならない」


ヴァルロの言葉には揺るぎない決意が込められていた。


「時間を稼げば良いと言う事だね、ヴァルロお義兄様」


ヴァルロの言葉を聞き、言うキザ。


「その通りだよキザ」


「わかった、ここは魔王軍が引き受ける」


キザ、ゴラド、サイの3人は前に出る。


「みんな……」


「ロイくん、カエデ殿、スカーレットは疲弊している。3人はここで体力を回復するんだ」


ボロボロの3人を見て言うサイ。


「わ、わかりました!!」


「ただあれは規格外だ、正直どれだけ保つかわからない。やれるだけのことはやってみるよ」


そう言って剣を握るキザ。


「ランド様の分も、某達が戦いましょうぞ」


熱気を迸りながら言うゴラド。


「魔王軍の意地、見せてやるぞ!!」


手に氷柱を生成しながら言うサイ。


「うん!!魔王四天王も今は3人になっちゃったけど、我ら無敵の魔王軍!!存分にその力見せてやろう!!」


3人の決意を見て、そう叫ぶレイカ。


「それじゃレイカ!!行ってくるよ!!」


そう言うとキザとゴラドは虚空に向かって走っていく。


サイはレイカとロイの方を振り向いた。


「サイさん……」


「ロイくん、君は強くなったな。あの時、君を雇って本当に良かったと思う」


そう微笑みながら言うサイ。


「そ、そんな……サイさんには俺、感謝してもしきれないぐらいで……」


「フフ、戦いが終われば、存分にお礼してもらおうじゃないか」


そして、レイカの方を向くサイ。


「魔王様、ランド様の分まで、戦ってまいります」


「うん、サイちゃん、いつもありがとう!頼りにしてるよ!!」


「こちらこそ」


それを言うと、サイは振り向いて虚空の方へ走っていった。


「サイさん……ご無事で……」


ザッ!!


その時、戦場に新たな影が現れた。


カードのメンバーとキャプテン・トップだ。


「ポニちゃん!!それにカードのみんな!!」


「時間稼ぎならカードにも任せて下さいッス!!」


ポニスはそう言う、カードメンバーは全員虚空の方へ向く。


「任せていいの!?」


「はい!!だけどあの魔力……我々が加勢したところでそう長くは保たないッスよ!!」


ポニスはエースとジャックを見た。


「エースくん!ジャックさん!帝国軍最強はカードってことを見せつけてやるッス!!今ここにいないキングさん、クイーンさん、そしてリア先輩の分も戦うッスよ!!」


「はい!!」


「ああ!!」


そう言ってカードのメンバーは虚空に向かって走っていった。


「魔王軍にカードか……今となっては相手にならんな……」


虚空は魔王軍とカードと戦い始めた。


それを尻目にトップは叫んだ。


「姫は!?姫はどこに行ったんだ!!」


「トップ……」


「姫!!」


ロゼーリアは虚ろな目で地面に倒れていた。


「ひ、姫!!大丈夫ですか!?」


「トップ……こちらへ」


そうロゼーリアが言うと、トップはロゼーリアを抱きかかえた。


「ひ、姫……しっかりして下さい……」


「……私はもうダメみたいです。トップ、どうか虚空さんを止めて下さい……」


「そんな……姫がいなくなったら私は……」


トップは涙を流す。


「孤児だった貴方を拾って……色々なことはありましたね、常に貴方が私の側にいた……どれだけ心強かったか……」


「姫……それは私のセリフです……姫が私の命です……姫がいない明日など、私には……」


「フフフ……貴方は……虚空さんを倒して生きて下さい……それが私からの最後の命令ですわ」


「い、嫌です姫!!姫……私は……姫のこと……」


「トップ……ずっと、愛していますわ……」


そう言うと、ロゼーリアは目を閉じた。


「姫!!!起きて下さい!!姫!!!」


目を閉じて動かなくなったロゼーリアをじっと見つめるトップ。


そして、涙を拭うと、ロゼーリアを優しく地面に置き、虚空の方を見た。


「トップ……」


それを心配そうに見つめるロイ。


「……時間を稼げばいいんだな」


「あ、ああ……」


「姫からの最後の命令、しかと受け取りました……そして、姫の仇……」


ダッ!!


トップは握りしめた大剣を振り上げ、虚空に向かって突進する。


「この怒りをその身で受けろ、虚空!!!」


ガキィィィンン!!!


トップの大剣を魔力の盾で受け止める虚空。


虚空は少し吹き飛ばされ、後退りした。


「ほう……流石最強の男キャプテン・トップ、少しは楽しめそうだな」


「キャプテン・トップ!!魔王軍、そしてカードと協力してコイツを止めるよ!!」


「ああ!!わかった!!」


魔王軍、そしてカードとキャプテン・トップは並んで虚空を迎え撃った。


「トップ……スゲーな……」


「さて……」


その瞬間、地面で倒れていたロゼーリアがムクリと立ち上がり、服に付いた汚れを払い出した。


「えええええ!!?貴女死んだんじゃなかったの!?」


カエデを始め、全員がそれを見て驚く。


「こんなこともあろうかと、服の下に鉄板を仕込んでいましたの」


ロゼーリアは服の下に仕込んだ鉄板を見せた。


虚空から短刀で刺されたとき、この鉄板で無傷だった。


「私が死んだと思ったら、トップは120%の力を発揮します。なのでトップが時間を稼いでいる間に貴方達はあれを倒す準備をしなさいな」


「アンタ悪魔だな……」


涙を流しながら全力で虚空と戦うトップを見ながら言うロイ。


「それでは、後は任せましたですわ!!」


ロゼーリアはそう言うと、森の中へと逃げていった。


「何て言う女だ……」


「だけど助かったよ、今のうちに闇魔力を溜めるよレイ」


「う、うん!!わかった!!」


レイカとヴァルロは手を合わせ、闇魔力を溜め出した。


2人の手にはどんどん闇魔力が溜まっていく。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


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