第234話 邪神降臨
「さあ!!その最後の魔力玉をこちらへ……」
ザシュッ!!
その瞬間、虚空がロゼーリアの腹に短刀を突き刺した。
「な……」
「ありがとうございます、ロゼーリア様」
そして、ロゼーリアが持つ7つの魔力玉を奪い取った。
「こ、虚空さん……貴方……」
腹を押さえながら虚空を睨むロゼーリア。
「迷いました……けれど俺が見たい世界は清浄様が統治する世界だった……それが見れないなら、もう俺が世界を統治する」
「な、何て事……私の計画が……」
「貴女は優秀でしたよ、ロゼーリア様」
「く……ト、トップ……」
そう言うと、ロゼーリアは前のめりに倒れた。
「ロ、ロゼーリア様!!」
帝国軍はそれを見て動揺する。
「クックック、これで魔力玉は全て揃った!!苦労したが、これで清浄様が見たかった世界を創造出来る!!」
虚空は8つの魔力玉を集め、重ね合わせる。
すると、魔力玉は合体し、光を放ち出した。
「ま、まずい!!魔力玉が全て揃った!!」
「レイ!!止めないとまずいよ!!」
「うん!!魔王軍!!全員であの魔力玉を奪い取るんだ!!」
そう言うと、魔王軍は全員虚空の手元で光る魔力玉に向かって走った。
「もう遅い!!さあ!!復活せよエルダー・ドラゴン!!」
ピカッ!!!
その瞬間、8つ揃った魔力玉は全て粉々に砕け、天空に向かって光が迸った。
天空に向かって迸る光は次第に暗黒へと変わり、その中心に巨大な影が現れ始めた。
突風が周囲を吹き荒れ、大地が揺れる。
「クックック!!さあその姿を見せよ!!」
虚空の声が響く中、その影は完全な姿を現した。
それは邪悪なる全ての魔力の祖となる存在、エルダー・ドラゴン。
巨大な体躯、鋭い爪、そして何よりも恐ろしい闇のオーラが全身から放たれていた。
帝国軍も魔王軍もその圧倒的な存在感に言葉を失い、その場に立ち尽くしてしまった。
「これが……エルダー・ドラゴン……」
レイカが呟く。
「ガアアアアアアアアッ!!!」
エルダー・ドラゴンは咆哮を上げる。
その声だけで大地が裂け、周囲の兵士たちが膝をつく。
「ロ、ロゼーリア様!!どうすれば!!」
帝国軍の兵士が聞くが、ロゼーリアは倒れて動かない。
「ク、クソゥ!!怯むな!!戦えー!!!」
帝国軍の兵士達とバスターズは剣を握り、エルダー・ドラゴンに向かって走り出す。
しかし、次の瞬間、エルダー・ドラゴンの眼光が彼らを捉えた。
そして、口を大きく開く。
ドガァァァァァッ!!!
その口から出た魔力の弾一つで帝国軍とバスターズは一瞬で吹き飛ばされる。
「う、うわっ!!どんな威力だよ!!」
「帝国軍とバスターズをあんなに簡単に……まずいわね……」
驚くレイカとカエデを他所に、虚空は微笑みを浮かべながらドラゴンのもとに歩み寄った。
「クックック、エルダー・ドラゴンよ……予想以上の力だ
そして、虚空はエルダー・ドラゴンの背中に飛び乗った。
「何する気だ!?」
「さあ、その力を俺に捧げよ!!」
虚空は手を掲げ、エルダー・ドラゴンの背中に触れる。
その瞬間、エルダー・ドラゴンの体から大量の魔力が虚空の体内へと流れ込み始めた。
「な……何をしているの!?」
レイカが叫ぶが、止める術はなかった。
虚空の体が光を放ち、その姿は徐々に変化していく。
エルダー・ドラゴンの魔力を吸収した虚空はどんどん人並み外れたオーラを放つようになる。
エルダー・ドラゴンの魔力を全て吸収すると、エルダー・ドラゴンは静かに消えていった。
そして、虚空は両腕を広げ、冷たい声で言った。
「クックック、エルダー・ドラゴンの魔力を全て吸収した。これが清浄様が残した最後の作戦……今まで裏で暗躍してきた忍者部隊が、日の目を浴びる」
その言葉とともに虚空の体は圧倒的な魔力をまとい、目の前に立つ魔王軍を睨みつけた。
「これで……俺は神だ」
「お前……正気かよ」
「ええ、正気も正気だ。清浄様の夢は神となり、世界を統治することだった……今俺が神となり、その役割を果たすんだ」
虚空は冷笑を浮かべながら手を振った。
ドドドドドドッ!!!
その一撃で周囲の地形が崩れ、魔王軍は一瞬で吹き飛ばされた。
「うわあああ!!」
魔王軍の兵士達が叫びながら転がる。
「この力、ありえない……」
サイはその威力に吹き飛ばされないように地面に手を付けながら言った。
「ハッハッハ!!帝国軍も魔王軍も虫けらみたいに弱い!!これが神の力なんだな!!」
虚空は悠然と立ち、魔王軍に向かって歩み始めた。
「さあ、まだ抵抗するか魔王軍よ!!」
「やるしかない……このままコイツを野放しにしたら世界が大変なことになる!!魔王軍!!もう止められるのは僕達しか残ってない!!やるぞ!!!」
レイカが叫び、魔王軍は立ち上がる。
こうして神となった虚空と魔王軍の戦いが幕を開けた。
そして、それを後ろから傷付いたカエデとモミジは見守るのだった。
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