第229話 G3のエメラルド
『父さん……』
エメラルドは床に伏す父ゲルガーが見つめていた。
『エメラルド……すまない、私はもう死ぬ』
ゲルガーがエメラルドを見つめる。
『私は復讐の道具として、お前達G3を作った……だが、本当はそんなこと私は望んでいなかったらしい』
ゲルガーはエメラルドの手を握る。
『私はお前達に会いたいだけだった……私の願望のためにお前達を利用した……』
『父さん……僕はどうすればいいの?』
『もう復讐はいい……好きに生きてくれ、すまないエメラルド……』
「……」
エメラルドはレイカを見つめる。
「魔王、君も家族を失ったって言ってたよね?それなのに何でそんなに強くいられるの?」
「僕は強くないよ。だけど、今は仲間達がいるし、死んでいった両親や大切な人達に恥ずかしくないように、僕は全力で生きるって決めたから」
レイカは真っ直ぐな目でエメラルドを見た。
「だから、この世界を壊そうとしている帝国は止める!!魔王軍や大切な人達を守るため、僕は一歩も退かないよ!!僕は自分のやるべきことをやる!!」
「そう……なんだね」
エメラルドは目をつぶった。
「父さん、ルビー兄さん、サファイア姉さん……僕は……みんなとまた、一緒にいたい」
エメラルドは涙を流した。
「どうやら、僕にはもう君と戦う理由も、この世に残る理由もないみたいだ」
そう言うとエメラルドはキラキラと光り、薄くなっていった。
「えっ!?消えちゃうの!?どうして!?」
「うん、元々僕はこの世にいない存在……もう父さんや兄さん、姉さんのところへ帰るよ」
「そっか……」
レイカはエメラルドの手を握る。
「僕達、こんな出会い方じゃ無ければ友達になれたかもね」
「そうだね……君は名前、何て言うの?」
「レイカだよ」
「レイカちゃん、ありがとう……最後に戦えたのがレイカちゃんで良かったよ」
「エメラルドくん……」
「レイカちゃん……どうか僕の分もこの世で幸せになってほしい……」
「……うん、エメラルドくんの分まで幸せになる」
「そう……良かった、安心したよ……ありがとう、レイカちゃん」
そう言うと、エメラルドは光になり、消えていった。
「エメラルドくん……どうか、向こうで幸せに……」
それを見て、レイカは手を合わせ、目をつぶり、祈りを捧げた。
「魔王様!!」
しばらくすると、レイカの下にサイが走ってきた。
「サイちゃん!!」
「魔王様、G3は……」
「うん、自分の居場所に帰っていったよ」
「そうですか……」
「魔王城の状況は?」
「忍者部隊は全員撃退しました。ただまたしても幹部の虚空は捕らえられず逃げられました」
「わかった、じゃあ次に僕達のやるべきことをやるよ」
レイカは歩き出した。
「魔王軍も早急に準備を済ませ、サンベルスに向かうよ!!」
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