第227話 最後のG3
「なーんにも来ないね……」
その頃、レイカは魔王城にて厳戒体制を取っていたが、なかなか帝国軍が攻めて来なかった。
「新皇帝代理のロゼーリアはせっかちで好戦的って聞いてたけど、結構念入りに体制を整えてるのかな?」
「そうですね……」
そうレイカとサイが話していると、コウモリのバッサーが部屋に入ってきた。
「敵襲だバサ!正門に敵襲!魔王様!!」
「やっと来たか……みんな!正門へ向かうよ!!」
魔王城の正門に来たレイカ。
そこにはG3のエメラルドと忍者部隊の虚空、それに忍者部隊の忍者達が立っていた。
「あれ?これだけ?帝国軍の本隊は?」
「帝国軍の本隊はサンベルスに向かった」
虚空はそう呟く。
「何!?どういうこと!?」
「手薄なサンベルスから潰して、その後魔王軍を潰すロゼーリア様の戦略だ」
「な!?帝国軍同士で争うのか!?」
「帝国軍というくくりも今や曖昧となってしまった。やむを得ない対応だろう」
「まずいね……サンベルスはカードをこちらに向かわせている最中……仕方ない!至急魔王軍はサンベルスに向かって出発するよ!!」
「そうはさせないぞ、俺達は闇の魔力玉奪取に来た。行くならば闇の魔力玉の在り処を言え」
「残念だけどここにはないよ」
「そんなはずはない、清浄様が闇の魔力玉の奪取に向かって戻らない。お前ら何か知ってるだろ」
「知ってるも何も僕達が倒したからね」
「そうか……」
虚空は表情を変えない。他の忍者達も同じだった。
「頭領が倒されたのに何も言わないんだね」
「我々忍者は仲間が死んだぐらいで感情が揺さぶられないように出来ている。お前らと違ってな」
「ふーん、それは良いことだと思うけどね。泣き虫よりかは」
「まあいい、お前が魔力玉の在り処を話さないなら力付くで探させてもらう。エメラルドさん、魔王は頼んだぞ」
「はい」
エメラルドは手を変形させ、刃のような形にした。
そして、翼を広げる。
「お前……G3の」
「魔王!!僕と勝負だ!!」
ガキッ!!
その瞬間、猛スピードでエメラルドはレイカに攻撃を仕掛ける。
レイカはそれを手で防いだが、すさまじい勢いで上空に吹き飛ばされる。
「魔王様!!」
「僕は大丈夫!!キザ!!このG3は僕がやる!!忍者部隊はそっちに任せるよ!!」
「わかったよレイ!!」
そう言うと、レイカは黒い翼を広げ、体制を立て直した。
そして、目の前のエメラルドを見つめる。
「G3!!話がある!!ロイロイやカエデから聞いた!!君達の正体について!!」
「そんなことどうでも良いよ!!僕は兄さんや姉さんの敵を討ち、そして父さんの願いを叶える!!それだけだ!!」
エメラルドはまたレイカに突進する。
「話ぐらい聞いてよ!!」
ドガッ!!
レイカはその突進を受け止めた。
そして、取っ組み合いになりながら空中で移動し続ける。
「とにかく!ドクターゲルガーに会わせて!!」
「父さんは魔王に用はないよ!!」
ドゴッ!!
2人はそのまま魔王城の壁を突き破り、外に出た。
「おーい!!また修理しないといけないじゃん!!何回城壊れるんだよ!!」
レイカは魔王城の崩れた壁を見ながら言う。
「それはごめんなさい!!」
「いいよ別に!!」
バサッ!!バサッ!!
そして、2人は取っ組み合いながら翼を広げ、進む。
「ゲルガーが用が無くても僕があるんだよ!!」
「じゃあ僕に勝ったら会わせてあげるよ!!」
エメラルドはレイカを掴み、近くの山に向かって直進した。
「言ったな!!」
「うん!!言ったよ!!」
そして、そのままエメラルドはレイカを山に向かって投げ飛ばした。
ドフッ!!
レイカは山にぶつかり、砂煙が上がる。
「ハアッ!!」
そのレイカがぶつかった場所に追い打ちにエネルギー弾を打ち込むエメラルド。
ドドドドドドッ!!
エネルギー弾は山に次々と当たり、破裂した。
「僕は魔王なんかに負けない、僕は兄さんや姉さんの分も戦うよ!!」
ガラッ!!
その瞬間、エメラルドに向かって闇魔法が飛んでくる。
「何っ!?」
それを辛うじて避けたエメラルド。
しかし、次から次へと闇魔法は飛んできていた。
「くっ!!」
エメラルドは翼を棚引かせ、闇魔法を避けていった。
ドシュッ!!
すると、砂煙からレイカが飛び出してきた。
「フオリャ!!」
そして、エメラルドに向かって回転しながら蹴りを放った。
「ハアッ!!」
それに対してエメラルドも蹴りを放つ。
ドスンッ!!
お互いの蹴りは相手の蹴りを相殺した。




