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第222話 魔王の成長

「ロイローイ!!ペッタンコー!!」


ガチャッ!!


レイカは病室の扉を開ける。


レイカ、カエデ、サイはサンベルスに到着し、ロイとリアがサンベルス病院にいることを聞き、病院へと訪れた。


モミジは用事があると別行動を取っている。


「「あ......」」


病室の中では、ロイがリアの服を脱がし、背中に手を突っ込んでいた。


「ま、魔王様!?」


「あ、やっぱりそういう関係なんだ」


「ち、違ーう!!腕をケガしてるリアの背中にゴミが入ったって言うから取って上げてただけです!」


「って言うかやっぱりって何!?」


慌てて離れるレンズ兄妹だった。

















「久しぶりだねロイロイ、ペッタンコ!ペッタンコのケガは大丈夫?」


「うん、大したことないけどしばらく安静が必要なんだ」


包帯を巻いた右腕を見せながら言うリア。


「全く、嫁入り前の娘がこんな無茶して、お兄ちゃんはプンプン怒ってます!!」


頬を膨らませながら言う俺。


「ごめんねお兄ちゃん!プンプンしないで!」


「プンプン!!」


「それキモすぎるから止めてロイロイ」


「はい、自分でもキモすぎると思ってました」


俺は冷静になり膨らませた頬を戻す。


「魔王様もお疲れ様でしたね、カエデとサイさんも」


俺は3人に向かって微笑みかける。


「ええ、ロイも元気そうで良かったわ」


「カエデ、あのサファイアを倒したんだってな」


「うん......色々あってね」


「やっぱカエデはスゲーな」


それを聞いて微笑むカエデ。


「ロイだって、G3のルビーを倒したんでしょ」


「まあな、でもアイツは自分で自分の生命維持装置を壊したんだけどな」


「それでも、成長したわねロイ」


「まだまだだよ、また剣術教えてくれよ師匠」


「落ち着いたらね」


「はいはい、イチャつくのはそれぐらいにしてくれる?」


ジトーとした目で俺とカエデを見る魔王様。


「イ、イチャついてないですよ!!」


「まあいいや、ロイロイ、ごめんだけどちょっと来て」


魔王様は俺の手を握り、引っ張る。


「え、何?怖いです」


「いいから、付いてきてロイロイ」


魔王様は俺を強引に引っ張り、病室の外へと連れ出した。








魔王様は誰もいない廊下に俺を連れてきた。


「な、なんですか?怖いですよ魔王様」


「今からおしおきタイムだよロイロイ!!」


「お、おしおき!?」


「なーんてね、冗談だよ!実はロイロイに話さないといけないことがあるんだ」


「は、はあ......」


「これ」


レイは懐から闇の魔力玉を取り出した。


「おお!これって闇の魔力玉ですよね!ようやく見つかったんですね!!」


「うん、闇の魔力玉、代々魔王に受け継がれていく宝玉だよ」


「ヘー、凄いですね!やっと魔王様の下に戻ってきたんですね」


それを聞いて、少し微笑むような仕草を見せる魔王様。


しかし、表情は暗くなる。


「うん、ランドの形見でもあるんだ」


そう言う魔王様。


俺はまた魔王様が冗談を言ってるのかと思った。


「ランドさんの形見?ってそれじゃランドさんが死んだみたいじゃないですか」


「うん、死んじゃったんだ......僕をかばって......忍者部隊の清浄を巻き沿いに」



「またまた冗談を、ランドさんに限ってそんなわけないじゃないですか」


「......」


魔王様は目に涙を溜めていた。


「え?魔王様?」


「ランドはこの玉は持ってたら危険だって......それで未熟な僕の代わりにずっと玉を持ってて......それでそれで最後に僕にくれて......」


魔王様の涙は目から零れ、頬を伝った。


「そんな......それじゃ本当にランドさんが......」


「ごめんね......もう泣かないって決めたんだけど......僕泣き虫で、ずっとランドに心配かけてた......でも最後に僕を立派な魔王だって認めてくれた」


闇の魔力玉を見つめながら言う魔王様。


「......」


俺は涙を流しそうになったが、その魔王様の姿を見て、必死に堪えた。


幼い魔王様がこんな過酷な運命を背負われて、立派な人だと思った。


「そうですか......それはランドさんらしい最後ですね!ランドさんは魔王様のことを1番に考えてましたから、自分のことよりも」


「うん、このことロイロイとお兄様には言わなきゃと思ってて、ロイロイにはすぐ言えて良かった、後はお兄様だね......」


涙を拭いながら言う魔王様。


「そういえばヴァルロの野郎に会いましたよ、トリコーリ山で」


「ええ?ホントに?」


「はい、魔力玉を集めてるみたいでした」


「お兄様も魔力玉を......」


魔王様は少し考え込んだ。


「まあ、相変わらずな感じでしたよ」


「そっか……僕も久しぶりにお兄様に会いたい」


「きっとすぐ会いに来てくれますよ、アイツはシスコ......ではなくて魔王様のこと凄く心配してましたから」


「そうなのかな......僕お兄様何考えてるか全然わからなくて、魔王城を出ていった理由も、革命軍のリーダーになって戦ってる理由も、雪山では世界征服が目的とか言ってたけど、きっと何か違う理由があると思うんだ、モミモミも教えてくれないし」


「うーん......それはアイツじゃないとわからないですね......」


「僕にも教えれないような理由なのかな......」


そう言う魔王様は悲しそうに見えた。


「魔王様......」


俺は心配そうに魔王様を見つめる。


「なんだか魔王様、大人っぽくなりましたね!お綺麗になられました!!」


「え?そう?」


魔王様は初めて会った時より少し身長も伸び、大人びた顔つきになったように見える。


数年後、美人になっているんだろうか。


「はい!初めて会った時に比べて随分成長したように感じます」


「えへへ、そうかな?」


魔王様は顔に手を当て、赤くなった。


可愛いな魔王様は!!


「例えばどの辺が?」


「え!そ、それは......えーっと......」


「......」


「うーん......な、なんとなく?」


「ダメ男」


「うう......」


「相変わらずだねロイロイは!」


魔王様はそう言うと、ニッコリ笑った。


時折見せる魔王様の無邪気な笑顔は人を幸せにさせるような、元気いっぱいの笑顔である。


「やっと笑ってくれましたね魔王様、魔王様は笑顔が1番ですよ」


「当たり前じゃん!僕みたいな最高級美少女の笑顔をタダで見させてあげてるんだから、感謝してよね!」


そう言いながら、魔王様は俺の頭をポンポンする。


そして、魔王様は俺の顔をジーッと見つめてくる。


な、何か照れるな......


「ねえ、ロイロイ」


「はい?何ですか?」


「あのさ、ロイロイって今好きな女の子っているの?」


「えっ!?好きな女の子ですか!?」


突然そんなことを聞いてくる魔王様。


その顔はいつもの冗談を言っている表情ではなく、少し不安そうで健気な表情をしている。


「そ、そうですね......」


「やっぱいいや!!ごめんね!!」


俺の言葉をかき消すように叫ぶ魔王様。


「え?魔王様?」


「変なこと聞いたよ!!今の無かったことにして!!」


「は、はあ......」


「じゃっ!!僕は病室に戻るよ!!」


魔王様は後ろを向いて、歩き始める。


「ロイロイ、話聞いてくれてありがと!!」


魔王様はその言葉を残し、病室へと戻っていった。


「やっぱり大人っぽくなったな、魔王様」


俺は少し微笑む。


「そっか、ランドさんが......」


窓の外を見る俺。


「......」











『貴様!頭が高いぞ!』


『俺はお前のような軟弱者は大嫌いだ!』


『ロイ、お前まで......なんの用だ』


『魔王様を探してきてくれ』


『修行なら俺が見てやる』


『ただの軟弱者だと思っていたが』


『まあ覚えは悪くない方だ、がんばれ』











『俺に何かあったら、魔王様のこと頼んだぞ』














「ランドさん......厳しかったけど、俺に親切にしてくれた......ありがとうございました」


窓の外を見る俺の頬には涙が流れていた。

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