第220話 恋バナ
「「あっ!!」」
サンベルスの国領に入る少し前の道で、カエデとレイカはばったり出会った。
サイとモミジも一緒である。
「レイカじゃない!久しぶり!」
「カエデ!久しぶりだね!」
2人は手を取り合う。
「お前、スカーレット?」
「サイ様、お久しぶりです」
モミジは頭を下げ、挨拶した。
「どうしてスカーレットとカエデ殿が?」
「い、いやー......話せば長くなるんだけど、話しても良い?モミジ」
「はい、構いません」
カエデは事の顛末を全て話した。
「なるほど、スカーレットの本名はモミジでカエデ殿の親戚だったと」
「そうだったみたい」
「私は初めから言ってましたけど」
「言ってないわよ!!アンタの言ったは言ったって言わないのっ!!」
言い合うカエデとモミジを他所にレイカが口を開く。
「モミモミはお兄様の部下なんだよね?」
「はい、そうですがモミモミと呼ぶのは止めて下さい」
「お兄様は今どこにいる?」
「すいません、今革命軍はそれぞれで活動してますから、わからないですね」
「そう......」
「心配しなくてもヴァルロ様はシスコ......ではなくてレイカ様を心配していますから、直ぐに顔を出すと思います」
「そうかな、ありがとモミモミ!!」
「だからモミモミは止めてと......」
4人はサンベルスに向かって歩く。
「けどカエデ、何か雰囲気変わったね」
レイカはまじまじとカエデを見ながら言う。
「そ、そう?」
「何か一皮剥けた気がするよ、かなり強くなったんじゃない?」
「うん、このモミジとおじいちゃん達のおかげで強くなれたの」
カエデはモミジを見ながら言う。
「はい、カエデ様は私のおかげで強くなれました」
「アンタね......そこは謙遜するところよ」
「ではカエデ様は私のおかげでちょっと強くなれました」
「それは謙遜って言わないの!!」
カエデとモミジの漫才を他所にまたレイカが口を開ける。
「そっか、カエデともまたちゃんと勝負してみたいね」
「うん、いつでも受けて立つわよ!」
それから夜になり、レイカ、カエデ、サイ、モミジは近くの町の宿に泊まった。
そして、4人は宿の大浴場に入る。
「むほほー!!可愛いオナゴが大量じゃのー!!」
レイカは湯船に入る3人を見て、叫ぶ。
「レイカ、エロオヤジみたいなこと言わないの」
「いやだってこんなの絶対いい出汁取れるやん!!」
「気持ち悪いこと言わないの!!」
カエデはレイカの変態発言を叱る。
「いい湯ですね、サイ様は何故そちらに?」
何故か1人だけ水風呂に入るサイを見て疑問に思うモミジ。
「サイちゃんは巨乳過ぎてお湯が溢れて減っちゃうからだよ」
「え、そうなのですか?」
「違うに決まってんでしょ!!」
セクハラするレイカと天然なモミジにツッコむカエデ。
「いや、私が入ると直ぐお湯が冷めてしまうからな」
「そう言えば雪女でしたね」
「氷魔人だ」
「ぐへへ……モミモミもなかなかのモノをお持ちじゃないですかー」
モミジの胸を見ながら言うレイカ。
「胸から離れなさい胸から!!」
カエデはレイカの頭を平手で叩く。
「堅いこと言わないでよ、一応カエデのおっぱいも見てあげるからさ」
「一応って何よ一応って、って言うかアンタも同じようなもんでしょ」
「僕は発展途上だからさ、お母様は巨乳だったからきっと僕も巨乳になるよ」
レイカは自分の胸を見ながら言う。
「それで言うならツバキ様はそんなに大きくないですね」
「うるさいわね、どうせ私は将来性ないわよ」
怒ってソッポを向くカエデ。
「ごめんて、きっとロイロイは小さいのもいける口だと思うよ」
「何であの男が出てくるのよ!!」
カエデはサファイアの言葉を思い出す。
『剣も恋も負けんじゃないわよ』
「......」
「城下町でデートしてたじゃん、可愛い服着てさ」
「あれは......って言うか何でそのこと知ってるのよ!!」
「あ、やべ......」
レイカはリアと隠れてロイとカエデのデートを監視していたことを思い出す。
「デートか......」
サイはレイカとカエデの様子を見ながら物思いにふける。
(そう言えば、ロイくんとはスマウの町でデートすっぽかされて、その埋め合わせまだだったな)
少し前、シルバーサーカス団でデート予定だったのをすっぽかされたことを思い出すサイ。
「サイちゃんはどうだったの?実家にロイロイと行ったんでしょ?」
「どうだったとは何がですか?」
「そりゃー実家に男の子と帰ったら何かしらのイベントが発生するでしょうが」
「別に母と兄弟にロイくんを紹介しただけですが......」
「またまた、結婚を急かされたりしたんじゃないの?」
意外と鋭いレイカに戸惑うサイ。
「べ、別にないですよ!ロイくんは確かに最近凄く頼りがいがあるようになりましたが、弟みたいなものなので」
「いーや、そんな事ないね!!」
ハッキリと言うレイカ。
「な、何故です?」
「僕の目から見るとロイロイが今一番好きなのはサイちゃんだね」
「そ、そんなバカな.......」
「魔族は人の感情に敏感なんだよ。今ロイロイの好き度的にサイちゃんが一番だね、一歩リードしてる感じするよ」
自信がありそうに言うレイカ。
「私もそんな感じな気がしてるわ......」
レイカに同意するカエデ。
「ちょっと待ってくれ、私はロイくんはカエデ殿が好きなんだと思っていたぞ」
「多分カエデのことも好きだよロイロイは」
「ただの二股野郎じゃない!!」
「そういうものだよ男って、ね?モミモミ」
呆れた風に言うレイカ。
「ロイ様はその気があるかも知れませんが、ヴァルロ様は二股なんてしませんよ」
「そう言えばモミモミはお兄様の部下だったね、実はお兄様のこと好きだったりして」
笑いながら言うレイカ。
「......」
それに対して一言も発しないモミジ。
「え?」
黙り込むモミジに困惑するレイカ。
「そろそろ上がります」
そう言って湯船から出て歩き出すモミジ。
「え?え?マジ?」
「アンタ、あんまり人の心を詮索しないの」
「え?マジなの?」
モミジの真意について気になって眠れないレイカだった。
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