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番外編 サイの過去 5

「次は庭の掃除するだ」


「は、はい!!」


私がサンダトルトで会ったお嬢さんから勧誘を受けてから5日経った。


今は魔王城で、先輩でゴブリンのゴブオさんと庭の掃除をしている。


「もう5日目だ、そんなにオドオドしなくてもいいだよ」


「そ、そうですね......」


私は持ち前の人見知りを発揮して、上手く働けないでいた。





あれからレイカと言うお嬢さん達に連れられてやってきた魔王城。


まさかあのお嬢さんが魔王様だったとは......


私は庭の掃き掃除をしながら思う。


実家の雪山を出て大学に行ったと思えば、天下の魔王城で働いているとは......私の人生どうなってしまうのだろうか。


「サイさん!箒が凍ってるだ!!」


「えっ!?」


ぼーっとしていると、持っていた箒がカチコチに凍っていて、掃き掃除出来なくなっていた。


「す、すいません、ゴブオさん」


「仕方ないだよ、新人さんなんだから徐々に慣れていけばいいだ」


「はい......」













私は仕事で失敗続きだった。


サンダトルトでやっていたバイトと同じで氷魔人の体質と持ち前の不器用さでやはり上手くいかない。


先輩のゴブオさんにも迷惑をかけていた。


「ハア......やはり雪山に帰るのが最善だべか......」


「サイ」


私は1人ため息を付き座っていると、ランド様が歩いてきた。


「ランド様......お疲れ様です」


「どうだ調子は」


「はい......仕事で失敗ばかりで情けなくて」


ハア......とまたため息を付く私。


「そんなことは気にする必要はない。初めはみんなそうだ」


「面目ないです......」


「うむ......」


それでも落ち込んでいる私を見て考え込むランド様。


ランド様は魔王様の右腕、それに魔王城で一番の古株と聞く。


「あの......ランド様」


「どうした?」


「ランド様は何で魔王城へ?」


「......」


ランド様は一度口を閉じるが、再び口を開けて話し出す。


「これは魔王様にもまだ言っていない話なんだが、魔王様の父上の前魔王様に命を救われたのだ」


「そうなんですか?」


「ああ、随分前の話だがな」


「それで魔王軍の第1魔将まで登り詰めた訳ですね」


「俺も昔は何も出来ない足手まといだった。だが、前魔王様にお世話になり、ここまで来た」


そう言うランド様の表情はいつもの厳格な表情ではなく、柔らかい表情だった。


ランド様が前魔王様に本当に感謝していることが伝わってくる。


「だから何だ......初めは失敗ばかりでも、サイはサイの良い所を伸ばしていけばいい」


そう言ってランド様は立ち上がった。


「私の良い所ですか......」


「ああ、魔王様もお前を気に入っている。出来れば魔王城で頑張ってみてくれ」


そう言い残し、ランド様は歩いていく。


「ランド様、ありがとうございます」


私の良い所か......












次の日。


「サイさん、今日も頑張っていくだよ」


「は、はい!!」


私はまた庭の掃除をしていた。


「……」


「いやー、今日も良い天気だ」


「ゴ、ゴブオさん……あの……」


「ん?どうしただ?」


「ゴブオさんは何で魔王城で働いてるんですか?」


「え?それはだな、まずオラの家がこの近くの山の中にあって……」






私はそれから色んな人とコミュニケーションを頑張って取っていった。


そして夜、話した内容やその人の特徴や趣味趣向をノートにまとめていった。


「うむ……魔王城で働く人にも色々と事情があるのだな」


私はそれをしばらく続けた。


その内に魔王城で働く人達の事情や趣味趣向、性格等がわかるようになってきた。













ある日、私が魔王城で働き出して1ヶ月程が経とうとした頃。


魔王軍の管轄であるオーブロという町周辺で問題が起こったという。


それで魔王城の全員が会議室に呼び出される。


「うむ……小さな小競り合いだが早く鎮火しないとならんな」


「なら一刻も早く魔王城から人員を送るよ!!」


「手空きの誰かを向かわせたい、誰が適任か……」


「今手空きなのはサイクロプスのクロだね!クロ、行ってくれるかな?」


魔王様はサイクロプスのクロを見ながらそう言った。


「はい、大丈夫です」


「よし!!じゃあ早速向かって……」


「あ、あの……」


私は恐る恐る手を挙げた。


「おー!サイちゃん!どうしたの?」


「い、いらないこと言うかもしれないですが……1週間後、サイクロプスの村で催し物があります。そちらにクロさんを向かわせるのが適任かと思ってます」


「え?そんなことも覚えてるの?」


「は、はい……そして、オーブロでのゴタゴタはオークのオクローさんが適任かと思います。オーブロが地元ですし、地盤や文化などが把握しやすいかと」


「えっ!?そこまで覚えてるの!?」


「はい、確かオクローさんは5年前までオーブロに在住していたかと……そしてそこでオーブロの町長と面識があるはずです。なので今回の件を解決するには適任かと考えます」


それを言うと、魔王様とランド様は目を見合わせる。


「それ最高だね!!よし!じゃあオクロー、行ってくれる?」


「はい!!仰せのままに」


こうして、私の意見が初めて通った。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


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