番外編 サイの過去 4
「よーし!決めた!!」
すると、勢い良く立ち上がるお嬢さん。
「お姉さん、僕の家の使用人にならない?」
「え?使用人?」
余りの突然の出来事に戸惑う私。
「僕の家この近くだしさ、行く所ないなら僕の家で働きなよ」
「な、何を言いいよるんだべさ!じゃなくて、何を言ってるんだ、今会ったばっかりのお嬢さんにそこまでしてもらう訳には」
「ビビッと来たんだよビビッと!僕の勘は当たるんだよ!」
「ビビッとって......それは働き口がない私にとっては嬉しいことだが......そんな勝手に決めて、お家の人に聞いたりしなくてもいいのか?」
「お家の人って、僕のお家だと僕が一番偉」
「レイカお嬢様、見つけましたよ」
その声がした方を見ると、背が高く威厳のある男性がこちらを見て仁王立ちしていた。
「ゲッ!!ランド!!」
「全く、大事な視察ですのに逃げ出してしまうなんて」
ランドと呼ばれた男性はため息を付きながらお嬢さんに近付く。
「だってつまんないんだもん......」
「それでは他の者に示しが付きませんよ」
「それより見て見てランド!!」
お嬢さんは私と肩を組んだ。
お嬢さんの長いサラサラの髪からは良い香りが漂ってくる。
「この子、新しい使用人にしたい!!」
「ええっ!?」
もう決定していたことに驚いた私。
「ん?どういうことですか?」
「だからこの子を新しく使用人として雇いたいんだよ!えーっと、名前なんだっけ?」
「サ、サイです......」
「そう!サイちゃん!!」
お嬢さんは嬉しそうに言う。
お嬢さんはレイカという名前らしい。
お嬢様と呼ばれている所からやはり良い所のお嬢さんなのだろう。
「また何を突拍子もないことを言い出すかと思えば......その娘さんも困っていますよ」
「そんなことないよ!ねえ、サイちゃん?」
「ま、まあ......はい」
「女の子の使用人いないしさ!この子雇ってみようよ!!」
「うむ......」
ランドと呼ばれた男性は私をじっと見つめる。
「ちょっと!!エロい目でサイちゃんを見ないでよ!!」
そう言うレイカというお嬢さんを無視して、私を見るランドという男性。
「氷魔人の娘さんか......」
「は、はい......トリコーリ出身の氷魔人です」
「なるほど......」
ランドと呼ばれた男性は考え込む。
(確かに、氷魔人は冷静で聡明と聞く。魔王様は子どもとは言えガサツでおしとやかさの欠片もない。魔王たるもの、同性から作法を学び、気品を身に付けることも必要か)
「あれ?ランド?何考えてるの?」
(脱いだ服は脱ぎっぱなし、片付けをしない、下着が見えていても気にしない。好き嫌いが多く健康に悪そうなものばかり食べる。こういったところは俺達が注意しても直らないが、同性が見本になれば恥ずかしいことだと気づいてくれるか)
「何か失礼なこと考えてる?」
「わかりました。一先ず仮採用としましょう、1週間働いてみて、お互い合意となれば採用というのでどうです?当然1週間分の給料は出しますので」
ランドと言う男性はそう言った。
「だってさ!どうするサイちゃん?」
「は、はい......そういうことなら......1週間だけまずはお願いします」
「やったー!!サイちゃん!!これからよろしく!!」
そんなこんなで私はレイカと言うお嬢さんのお家で働くこととなった。
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