番外編 サイの過去 3
「どうしたの?アイス買いに来たのかな?」
「うーん、まあ貰っとくよ巨乳のお姉ちゃん」
「オッサンみたいなお嬢さんだな......」
私はお嬢さんにアイスを手渡し、椅子を出した。
お嬢さんはペロペロとアイスを舐めながら椅子に座る。
「お姉さんって雪山出身の氷魔人?」
「へ!?あ、な、何でわかったんだ!?方言出てているか!?」
「い、いや、僕はだいたいどの種族でもわかるよ」
お嬢さんは私を指差す。
「そのキリッとした目に透き通るような白い肌、水色の髪色、そして感じる冷気を帯びた魔力、氷魔人しかあり得ないね。後、方言って言ったからトリコーリ出身の氷魔人か」
「ス、スゴいなお嬢さん......」
「その辺はしっかり覚えろってランドに口うるさく言われたからね」
「お嬢さんはお金持ちのお嬢さんなのか?」
「お金持ちなのかな、多分お金持ち」
「そうか、何か他の女児にはない気品を感じるな」
「それはありがとうだけど女児って言わないで」
そう言ってアイスを食べ続けるお嬢さん。
「ところでお嬢さんは一人で来たのか?」
「んーん、使用人達と来たよ、色々会議とか話し合いがあるんだけど、僕はその場にいるだけで全然つまらないんだよね」
「そうか、お嬢さんその歳で色々と苦労してるんだな」
そう言うとお嬢さんはうんうんと頷いた。
「ホントだよ、お父様もお兄様もいなくなっちゃうし勘弁してほしいよね」
「そうなのか、でもそうやって文句も言わず会議に参加したり気丈に振る舞っているお嬢さんは凄いと思うが」
それを聞いて、お嬢さんは私を見る。
「そうなんだよ!お姉さん、見かけに寄らず結構人を見てるね」
「そ、そうか?言っていいのかわからなかったが、お嬢さんのそのポーチとか服のフリルとかこだわってて可愛いなって思ってたが」
それを聞いて、お嬢さんはさらにパッと明るい表情になった。
「そうそう!!そうなんだよ!!服も支給された物だから可愛くなくて、僕なりにアレンジしたり、合うポーチを身に付けたりしてオシャレしてるんだよね」
「そうだろうな、お嬢さんの黒くて長い綺麗な髪と端正な顔立ちにマッチしてとても可愛いな」
「ありがとう!お姉さん!」
お嬢さんは思わず私の手を握る。
「冷たっ!」
しかし、すぐに手を離した。
「氷魔人の手はとてつもなく冷たいぞ」
「それにしても、城の男どもは僕がオシャレしても1つも気付かない男ばっかりで、お姉さんみたいに細かいところに気が付いたりオシャレの話したりとか出来る人いないんだよ」
「ハハ、こんな可愛いお嬢さんを口説けないなんてダメだな男たちは」
「ホントね、みんな優しいし僕のこと尊敬してくれてるけどデリカシーがないんだよデリカシーが。それに使用人に新しく採用するのも腕っぷしが強いとか頑丈だとか、中身を見ずに採用してきて偏ってるのなんのって」
腕を組んで怒りながら言うお嬢さん。
「そうなんだな、お嬢さんは若いのにしっかりしていて凄いな」
「お姉さんみたいな可愛くて気が使える人が来てくれたらいいのに」
お嬢さんは私を見る。
「お姉さんは何してる人なの?」
「私か?私は普通の大学生だよ、サンダトルト大学の2年生で教育学を学んでる」
「サンダトルト大学の学生だったの!?めちゃくちゃ賢いじゃん!!」
「い、いや......そんなことは」
「教育学か、だからお姉さん優しくて話し易いんだね。美人で巨乳で高学歴で性格も良くて優しいとかチートじゃんチート」
「チ、チート?」
「いるんだねお姉さんみたいな人が」
「そんな褒めてくれないでくれ。と言うかもう大学は辞めようと思ってるんだ」
私は普段自分のことあまり人に話さないタイプだった。
しかし、このお嬢さんは何か不思議と話してしまうような雰囲気があった。
「え?どうして?」
「まあ金銭面的にな。バイトで学費を払いながら大学に行っているのだが、私は不器用でなかなか働き口が見つからなくて」
「そうなんだ」
それを聞くと、お嬢さんは真剣な顔をして考え込み出した。
すると、お嬢さんは顔を上げて、私を見つめる。
「大学辞めちゃったらお姉さんどうするの?」
「実家の雪山に帰るよ」
「氷魔人の集落だよね?氷魔人の女の子は早く結婚してお嫁さんになるのがしきたりだと聞いたけど」
「良く知ってるな。私も帰ったら誰かのお嫁さんになって暮らしていくと思うよ」
「それでお姉さんは幸せ?」
真剣な顔で私をじーっと見るお嬢さん。
「そ、それは......実際になってみないとわからないと言うか......」
「好きな人はいるの?」
「い、いや......それはまだこれと言って......母からは結婚したらその相手を自然と好きになるだろうって言われてるが」
「子どもは?お嫁さんになるならそういう話になるよね?」
「そ、それはそうだが、それもまだ何も考えれてないかな......」
「なるほど......お姉さんは何で教育学を学ぼうと思ったの?先生になりたいの?」
次から次へと質問をしてくるお嬢さん。
「そうだな、教えるのが好きだったからかな。私が教えて人が伸びていく姿を見ると嬉しかったんだ」
「ふーん」
ひとしきり聞き終えると、お嬢さんは再び考え込むように下を向いた。
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