第213話 ランドの過去 6
『レ、レイカお嬢様、出てきてください』
『やだ!どっか行って!』
レイカお嬢様は部屋にこもってしまった。
『そんなこと言わずに......』
『うるさい!変態!ロリコン!』
そんな言葉どこで覚えてきたんだ......
とりあえず開けてくれそうにないな。
『どうしたんだ?ランド?』
ヴァルロ様が廊下を歩いていた。
『あ、ヴァルロ様......実は......』
『ヘー、レイの世話係に』
『はい......』
『た、大変だね......』
『は、はい......』
『レイはまだ幼くてやんちゃだからね、後5年もすれば大人っぽくなるんじゃないかな?』
『そんなもんなんですかね?』
実際は8年後もあんまり変わっていないように思う。
『とりあえず仲良くなるためにいっしょに買い物にでも行ってきたらどう?』
『買い物ですか......ですが来てくれるか......』
『大丈夫、物で釣れば食いついてくるよ』
ヴァルロ様は笑いながら言う。
そんな動物を捕まえるような手でついてくるわけ......
『行く!!』
目の前には目を輝かせたレイカお嬢様がいた。
『えーと......』
『プラモデル買ってくれるなら行く!!』
っということで城下町に買い物に行くことになった。
俺とレイカお嬢様は城下町に着いた。
『わー、町だぁ!』
『そういえばレイカお嬢様はあまり町に来たことなかったですね』
『うん!』
『迷子にならないようになるべく俺から離れないでくださいね』
『わかってるよ!あっ!ランド!こっちだよ!』
レイカお嬢様は小さい羽をパタパタさせて飛んでいった。
『あっ!待ってくださいよ!』
レイカお嬢様と俺はプラモデル屋に入った。
『わー!プラモデルがいっぱい!』
『レイカお嬢様は女の子なのにプラモデルに興味があるのですか?』
『むー!それは偏見だよ!女の子だってプラモデル好きな子いっぱいいるんだよ!』
『そ、それは失礼しました。っでどのプラモデルをご購入に?』
レイカお嬢様は棚を見上げながら、真剣な表情で選び始めた。
『これ!!』
レイカお嬢様が手に取ったのは、古い城の模型だった。
最近の派手な騎士やドラゴンのプラモデルではなく、歴史的な城の模型だ。
『渋いですね......』
『うん!こういうのが好きなんだ!』
レイカお嬢様の意外な趣味に驚きつつも、レイカお嬢様の興味を尊重することにした。
『じゃあ、それを買いましょうか。』
『やったー!』
レイカお嬢様は嬉しそうに城の模型を抱きしめた。
会計を済ませた後、店を出て町を散策することにした。
『次はどこに行きたいですか?』
『うーん、あっちの方に行ってみたい!!』
レイカお嬢様が指差したのは、賑やかな市場の方だった。色とりどりの屋台が並び、人々が行き交っている。
『いいですね、行きましょう』
市場に入ると、レイカお嬢様は目を輝かせてあちこちを見回していた。
果物屋、雑貨屋、そしておもちゃ屋など、様々な店が並んでいる。
『ランド、あれ見て!!』
レイカお嬢様が指差したのは、手作りのアクセサリーを売っている屋台だった。キラキラと輝くビーズや石が並んでいる。
『綺麗ですね』
『ああいうのが町の女の子には人気なんでしょ?』
『そうですね、町の娘は服飾であったりアクセサリーであったりに興味があることが多いです』
『うん!!でも、僕は城の模型の方が好き!!』
『ハハ』
レイカお嬢様の無邪気な笑顔に、思わず笑ってしまった。
その後も、レイカお嬢様と一緒に町を回りながら、色々な話が出来た。
レイカお嬢様の好きなもの、嫌いなものなど、普段は聞けないような話をたくさん聞くことができた。
そして、日も暮れてきて俺達は帰路に着いた。
『あー楽しかった!!やっぱり町は楽しいね』
『レイカお嬢様が楽しんでくれてよかったです』
『うーん、ランドがまた来たいって言うならまた来てあげても良いよ』
『え、あ、はい、是非』
それから俺とレイカお嬢様はしばらく町を歩き、城に戻った。
そしてレイカお嬢様は部屋に戻り、俺はヴァルロ様と話していた。
『ヴァルロ様の言った通りレイカお嬢様と町に行ってきました』
『っで?どうだったの?』
『うーん……なにか進展があったのか微妙なところですね』
『そうか、まあいきなり仲良くなれって言われても無理な話だ。少しずつ慣れていけばいいと思うよ』
『はあ……しかし小さな女の子の相手は初めてで……正直あんまり自信ないです』
『ハハハ、大丈夫さ、ランドは僕をここまで育ててくれた。自信持ちなよ』
ヴァルロ様は俺の肩に手を置いて、去っていった。
自信持てか……
その後、俺は久しぶりにガイル様と酒の席を取った。
『久しぶりだなぁ、ランドと酒飲むのも』
『はい』
『っで?なんだ?ランドが俺と酒飲む時はなんか頼み事があんだろ?』
『は、はい……実はレイカお嬢様の世話係を辞めさせてもらいたいんです』
『んむ』
ガイル様は俺に酒をついだ。
『レイは苦手か?』
『いえ、レイカお嬢様はすごく素直でいい子だと思います。しかし俺とは気が合わないのか……それにレイカお嬢様は女の子ですし、俺みたいな30に近い男ではなくやはり同性に世話係を頼んだ方がよいのでは?』
『知ってるか?レイは気に入った相手にしかわがまま言わないんだぞ?』
『しかし……』
『ランド……ゴホッ!』
ガイル様は咳をした。
『大丈夫ですか?前も咳をしていましたが』
『ああ、風邪こじらしたかな』
『気をつけてくださいよ』
『ああ、話戻すぞ。まあレイが気に入っていてもお前が嫌なら仕方ないな。とりあえず世話係は辞めていいぞ』
『はい、すいません......』
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