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第202話 サファイアの過去

『じゃあねサファイア』


『うん、また』


私はみんなと別れ、家の前に立つ。


大きくもなく、小さくもない普通の家。


私は家に入った。


『ただいまー』


『やべっ!帰ってきた!』


『サファイア姉さんおかえり』


中では兄のルビーと弟のエメラルドがミニカーで遊んでいた。


『またこんなに散らかして!兄さんはいい歳こいてなにミニカーで遊んでんの!ねえ!』


『いい歳って!お前と2歳しか変わんないから!』


『いいからご飯作りなさいよ!私お腹空いたの!ねえ!』


『へいへい』


ルビー兄さんはキッチンへ向かった。


ルビー兄さんは家に帰ってこれない父親の代わりに12歳の私と9歳の弟のために家事をやってくれている。


『ねえ、サファイア姉さん』


『なーに?エメラルド』


『今日は確かテストが返ってくる日でしょ?どうだったの?』


『覚えてたの?』


『うん!姉さんは成績優秀だから僕もテストの点数聞くの楽しみなんだ!』


『か、可愛い……ありがと、姉さんね、エメラルドのために頑張ったのよ』


私はテストをカバンから取り出して、エメラルドに渡した。


『すごい!さすが姉さん!』


『エメラルドも勉強がんばりなさいよ』


『うん!』


『なんだなんだ?サファイアのテストか!俺にも見せてくれよ』


兄さんは作った料理をテーブルに置きながら言う。


『いや、兄さんには見せなーい』


『なんで!?』


『人にテスト見せるなんて嫌に決まってるじゃない、ねえ』


『エメラルドはいいのに俺はダメなのかよ!』


『エメラルドは可愛いからいいの!兄さんはシスコンで気持ち悪いからダメ』


『ちくしょー!!』


『それよりなんだか今日は豪華ね?』


私達の前に置かれてあるご飯はいつもと少し違っていた。


貧乏でも無く裕福でも無い私達であったが、今日なんだか豪勢な料理が並んでいる。


『だってお前、今日は親父が帰ってくる日じゃねーか』


『あっ!そうだったわね!!』


『本当だ!僕忘れてたよ』


『おいおい、親不孝者ばっかだな』


今日は父さんが帰ってくる日、一ヶ月に一度の日だ。













『父さん遅いね』


『うーん』


父さんは予定の時間を過ぎても帰ってこなかった。


『もしかして父さん、また仕事が入って帰ってこれなくなったんじゃ……』


エメラルドは泣きそうになりながら言う。


『そんなわけないわよ、だって父さんは約束守るはずだもの!そんなわけ……』


私も悲しさを堪えることが出来なかった。


『よし!なら俺が暇潰しにマジックショーやってやるよ!』


兄さんは縦縞のハンカチを取り出した。


『これをこう丸めて……』


ハンカチをくしゃくしゃに丸める兄さん。


『まさか横縞になりましたーっとか言わないわよね?』


『……』


なんでバレたの?的な顔をする兄さん。


『アハハハハ!兄さんアホだね!』


『アホ言うなエメラルド!』


『ップ!フフフフ!』


私も2人に釣られて笑ってしまった。


今考えると、兄さんは私達を元気づけるためにやったのだろう。


ガチャッ!!


『ただいまー!』


玄関から声が聞こえてきた。


『父さん!』


『おう、遅くなってすまんかったな』


この人が私達の実の父親ステード・ゲルガー。


後に天才科学者と呼ばれる人。


『なんで遅かったの?ねえ!時間守るのなんて大人として当たり前でしょ!ねえ!』


『す、すまんサファイア。ちょっとこれを買いにいっててな』


父さんは袋から3つのプレゼントを取り出す。


『お前らにお土産だ』


父さんは私に青い袋、兄さんに赤い袋、エメラルドに緑の袋を手渡した。


『なにこれ?』


エメラルドと兄さんは袋を開けた。


『僕のには新しいミニカーが入ってたよ!』


『俺のは欲しかった本だったぜ』


それを見て、私も袋を開ける。

そこには高価そうなペンダントが入っていた。


『これは……』


『3人にお土産だ。サファイアはもうすぐ誕生日だからな、前から欲しいって言ってたカタスモンドのペンダントを買ってきたぞ』


『で、でもこれって高いんじゃ……』


『なーに!!今やってる研究が成功すればそんなものいくらでも買えるようになるさ!!どうだ?3人が喜びそうなのを選んだつもりなんだが……』


『父さん大好き!』


エメラルドは父さんに抱き着く。


『おお!エメラルドは喜んでくれたか!』


『うん!』


『いいな……私も抱き着きたい』


『ん?サファイアなにか言ったか?』


『い、いや!なんにも言ってないわよ!それよりプレゼントありがと、すごく嬉しい!』


『俺も嬉しいぜ、サンキュー』


『そうかそうか!それはよかった!』


私は父さんが買ってくれたカタスモンドのペンダントをじっと見る。


欲しかったペンダントだったが、父さんが買ってきてくれたことが何より嬉しかった。


『ところで父さん、今はどんな研究をしてるんだ?』


兄さんは気になってる様子で聞く。


『うーん、まあある研究をな、政府に任されてるんだ』


父さんはお酒を飲みながら言う。


エメラルドは横でミニカーで遊んでいた。


『すごいじゃん!ねえ!』


『まあ、まだまだ研究は序盤だが……』


『どんな内容の研究?』


『うーん、簡単に言うとクローンの研究ってとこか、まあクローンと言っても人工で作った身体に強い魔力と生物の遺伝子を埋め込み、意思を持たせるだけだが』


『ヘー、でもそれってなんだか怖いわね……』


『うむ、だがこれを完成させれば帝国軍に絶大な戦力をもたらすことが出来る。そうなると私達は大金持ちになれるぞ!サファイアにたくさん高いアクセサリーや洋服を買ってあげられることだってできる!』


『大金持ち……いいわね!父さんがんばってね!ねえ!』


『まあ期待しねーで待ってるわ』


『ハハハ……がんばるよ』


私は幸せだった。


可愛い弟に頼れる兄さん、それに優しい父さんがいる。


幸せだった。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


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