第２０１話 決着
「ク、ク、クソォォォォ！！お前ごときに私が！！ムカつく！！ムカつく！！ねえ！！」
「前は随分私のこと煽ってくれたじゃない」
「私は最強戦闘兵器！！お前みたいな雑魚に負けられないの！！ねえ！！」
再び剣を構えるサファイア。
「うおおおおおおおっ！！」
サファイアはカエデに斬りかかる。
キンッ！！
しかし、再び刀でサファイアの剣を防いだ。
バシッ！！
サファイアは左手でカエデの刀を持つ右手首を掴む。
「な......」
「これで防げないでしょ！！」
「させるか！！」
バシッ！！
今度はカエデがサファイアの右手首を左手で掴んだ。
「は、離しなさい！！ねえ！！」
「そっちこそ！！」
グググッ！！
お互い取っ組み合いになり、押し合う。
「何なのよお前は！！ねえ！！」
「それはこっちのセリフでしょ！！」
「いいからさっさと倒れろ！！ねえ！！」
ゴスッ！！
サファイアは両手が塞がった状態で、カエデの頭に自分の頭をぶつけた。
「っつ！！やったわね！！」
ゴスッ！！
カエデはサファイアに頭でぶつけ返した。
「いたっ！！お前！女の子がヘッドバットなんてしてんじゃないわよ！！」
「だからそれはこっちのセリフだって！！」
「うるさいわね！！ムカつく女！！」
「お互い様でしょ！！」
ギリギリギリギリッ！！
カエデとサファイアはお互いの頭を押し付け合う。
2人の額からは血が滲んできた。
「「くっ！！」」
そして、２人は同時に手を離し、後退する。
「はあ......はあ......そろそろ終わらせてあげるわ！ねえ！」
「はあ......はあ......こっちも鬼人化の制限時間がもう迫ってる。お望み通り終わらせてもらうわよサファイア！！」
カエデも鬼雷柳を構える。
（ロイ、レイカ、リコ、コアネール、お父さん、お母さん、おじいちゃん、アヤメさん、そしてモミジ、みんなのおかげで私強くなれた......）
カエデは鬼雷柳にありったけの雷魔法を込める。
ビビビッ！！ビシビシビシィィィィィ！！！
鬼雷柳は凄まじい電撃を帯びている。
「私は負けない！！私は最強なんだから！！！」
サファイアも剣にありったけの魔力を込め、サファイアの剣は凄まじいエネルギーを帯びる。
そして、向き合う２人。
同時に大きな声を上げる。
「「これで終わりだ！！！」」
ガギィィィィン！！！
その瞬間、２人は同時に前に走り、剣は交錯した。
凄まじい衝撃波と火花、そして光を放つ２人の剣。
「「うおおおおおおおおっ！！！」」
２人は大きな声を上げる。
「お前なんかに負けてたまるかぁぁぁぁあああ！！！」
サファイアは顔を歪ませ、ありったけの力と魔力を込め、カエデを抑え込もうとする。
「私だって！！！もう誰にも負けない！！！」
カエデもそれ以上にありったけの力と魔力を込める。
すると、どんどんサファイアの剣は押されていく。
「ク、クッ！！そんな......」
「ハアァァァァァァ！！！」
ズシャァァァァァ！！！
雷の刃がサファイアの防御を貫き、彼女を吹き飛ばす。
「うぐっ！！！」
サファイアは空中で回転しながら、吹き飛ばされた。
ドドドドドドドッ！！！
サファイアは山の木々にぶつかりながら吹き飛び、その勢いは止まることを知らない。
ドガッ！！！
「ガハッ！！」
そして、数百メートル先の鳥居にぶつかり、動きを止めた。
サファイアは地面に倒れ込み、動かなくなる。
「ハアハア......やった......」
カエデは息を切らしながらも、勝利を確信した。
スゥ......
その瞬間、カエデが纏っていた鬼の魔力は消え、角と目の赤みも跡形もなく消えていった。
カエデは鬼雷柳を鞘に収め、数百メートル先に倒れるサファイアの元へと走り、歩み寄った。
サファイアはボロボロになり、身体の至る所から魔力が漏れ出している。
「サフィちゃん......」
「こ......この私が......お前みたいな雑魚に」
辛うじて意識は保っているが、身体は動かないサファイア。
「......」
「クッ......まだ、負けてないわよ、ねえ」
無理矢理身体を起こそうとするサファイア。
「ねえサフィちゃん、やっぱり私達昔会ったことあるよ」
「......だから、光の魔力玉の時でしょ」
「違う！もっと昔、私達ライバルで親友だった！！覚えてないのサフィちゃん！！」
「な、何を言って......私は戦闘のための兵器、親友なんている訳ないわ」
「思い出してサフィちゃん！！このペンダント！！サフィちゃんがくれたじゃない！！」
カエデはカタスモンドで出来たペンダントを懐から取り出した。
「そのペンダント......」
『私達離れてても親友だよ！！』
サファイアの脳裏には何かの思い出が流れ出す。
「わ、私は一体......私は何なの！？ねえ！？」
「サフィちゃんは普通の女の子だった！！それに私の大切な人だった！！思い出してサフィちゃん！！」
カエデはサファイアの肩を掴みながら言う。
「わ......私は......」
５年前、オルトルバ。
私は父親に兄と弟がいる、母親がいない以外ごく平凡な家庭に産まれていた。
それで私はごく普通の学び舎に通う少女だった。
『ねえ、みんな今回のテストどうだった？』
『私なんて無茶苦茶だよ』
『どうせサファイアはまた高いんでしょ？』
『そんなことないわよ』
私は成績優秀でスポーツ万能、みんなが一目置く存在だった。
『いいなーサファイアは、頭いいし、運動出来るし、可愛いし』
『すごいよねー』
『フフッ、ありがと』
私は普通に友達もいたし、普通に学び舎でも上手くいっていた。
しかし、私は一つだけ絶対的な不満があった。
それを明日の成績上位者発表の時に果たせると思っていた。
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