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第199話 もう1人の私

カエデは精神の中で目を覚ますと、そこにはもう1人の自分が立っていた。


「......わ、私?」


「そうよ、私はカエデ、オルトルバ出身のカエデ・エーユエジルよ」


「一体どういう......」


ギュ......


もう1人のカエデはカエデを抱き締めてくる。


「私はもう1人の私、貴女のことは一番わかってる」


「何言って......」


「私、もう諦めていいんだよ。こんな辛い修行しなくても貴女は十分頑張った。私が一番知っているのよ」


もっと強い力でカエデを抱き締めるもう1人のカエデ。


「あ、諦めろだなんて!!貴女が私の何を知って......」


その瞬間、カエデの目からは涙が流れて来ていた。


「あれ......私何で泣いて......」


「貴女は本当は弱い人なの、そんな私は十分に修行してここまで強くなったじゃない。それで十分よ、もう戦わなくてもいいのよ」


「戦わなくていい......」


「そうよ、もう辛い思いしなくて良い。普通の女の子になって普通に暮らして行けばいいのよ、貴女は魔王でも無く王女様でもない。それに元々は帝国の冒険者、この戦いに参加する理由なんてない。みんな許してくれるよ」


そう言うもう1人のカエデも静かに涙を流す。


「もう戦わなくていい......普通の女の子に戻っていいのかな......」


「良いよ、私は一番貴女を理解してるもの」


「う、う......うわぁぁぁぁぁぁん!!!」


カエデは大きな声を上げて泣き叫んだ。


それを慰めるように抱き締めるもう1人のカエデ。


「貴女は本当は戦いたくないし、もう戦わなくていい、辛い修行もしたくないし、しなくていい、幸せになってほしい」


「うっ!ひくっ......ありがとう私......」


しかし、抱き締めるもう1人のカエデを突き放したカエデ。


もう1人のカエデは不思議そうにカエデを見つめる。


「どうしたの?」


「ごめんね、私諦めない」


そう言うと立ち上がるカエデ。


「......」


「貴女の言う通り、私は修行もしたくないし、戦いたくもない」


カエデは涙を拭う。


「けど、私はロイやレイカに追いつきたい。彼らと肩を並べて戦いたい。私はもう弱くない。みんなを守るために、私は強くなりたい!!」


そう強い目付きで言うカエデ。


「何言ってるの!!私は弱い人間、全てを忘れて幸せになりたいのよ!!」


「そうかも知れない!!けど......私はロイやレイカ、リコやコアネール、みんなが好き」


カエデは胸に手を当てた。


「だから諦めない!!逃げたくても逃げない!!大好きなみんなを守れるなら死んだっていい!!」


そう強く言うカエデ。


カエデが出した最後の決断だった。


「......そう」


もう1人のカエデはそれを聞くと、少し寂しそうに笑った。


「それも私よね!うん、その決意があるなら大丈夫!一緒に頑張ろう!!」






















「ハア......ハア......」


その頃、ヤナギの道場前では、襲撃してきたサファイアと忍者部隊に苦戦するヤナギ達がいた。


「もう勝負ありよ。魔力玉の在処を教えなさい、ねえ」


サファイアはヤナギに剣を向けながら言う。


「く、くう......」


ヤナギは周りを見るが、アヤメもモミジも弟子達もボロボロで立っているのがやっとの状態だった。


「ここまでか......」


ヤナギは余裕の表情を浮かべるサファイアになすすべもないと察する。


「魔力玉の在処を教えないなら、もっと痛い目に遭ってもらうけど?」


サファイアは手に魔力を溜める。


「くっ......」


「はーあ、仕方ない。言いたくなるまで痛めつけて」


バチチチッ!!


その瞬間、何かがサファイアに向かって飛んできた。


それは電撃の塊だった。


ガキンッ!!


それを剣で弾くサファイア。


そして、突然強い風が吹き荒れ、神社の方から一人の影が現れた。


サファイアの前に立つ人影。


「カエデ様!」


そう、それは修行を終え戻ってきたカエデだった。


カエデの頭には2本の角、そして目の周りは赤く光っている。


「遅くなってごめん、モミジ」


「カエデ様......」


カエデが振り向いて笑うのを見て、同じく笑うモミジ。


「カエデ、修行は成功したようだな」


「おじいちゃんもアヤメさんもみんなありがとう、おかげで私、新しい力が手に入った」


そう言うカエデからは圧倒的な魔力が迸っていた。


「鬼の魔力、コントロール出来たみたいだな」


「うん、ただ私の中の鬼の魔力は少なくて短時間しかこの魔力を維持出来ないみたい」


カエデは自分の手のひらを見ながら言った。

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