第188話 襲撃
「ハア......」
場所は変わりサンベルス城。
カエデは1人窓の外を見て、ため息を付いていた。
その様子を後ろから見るコアネールとリコ。
「カエデさん、元気がありませんね」
「きっと王子様の帰りを待つお姫様のような気分なのでしょうね」
「恋する乙女は悩ましいですね」
そうヒソヒソと話すコアネールとリコに気付き、振り返るカエデ。
「そんなんじゃないわよ!!勝手に人を恋する乙女にしないでくれる!?」
「あらあら、聞こえていましたか」
「聞こえてるわよ、もう!!」
カエデはプイっと振り返り、再び窓を見る。
「しかし、ロイさんとサイさんはともかくカードのメンバーとリアちゃんの帰りが随分と遅いですわね......何かあったのでしょうか」
「心配ですね......」
コンコンッ!!
すると、扉をノックする音が聞こえてくる。
「コアネール様!カードのポニス様、リア様がお帰りになられました!門前でお待ちです!」
「言った側から帰ってきたようですね、リコ、お出迎えに参りましょう」
「はい!!」
リコとコアネールはボーッとするカエデを尻目に城の外へと向かった。
門の外へ出たコアネールとリコ。
門の前にはリアとポニスが立っていた。
「コアネールさん!!リアとポニスちゃんただいま戻りました!!」
「無事戻ったッス!!」
元気いっぱいに手を振るリアとポニス。
「リアさん、ポニスさん、お疲れ様ですの!無事帰還されて良かったです」
コアネールとリコは2人に近付く。
「随分遅かったですね、他のカードの方々はどうしたんですか?」
「それが忍者部隊との戦いで負傷してしまって......キングさん、クイーンさん、ジャックさんは病院に直行しました」
暗い顔で言うリア。
「それに水の魔力玉も敵に奪われてしまったッス」
「そうですか、2人ともお疲れでしょう。城の中でゆっくり休んでください」
「はーい!!」
「ちょっと待ってください!!」
城の中に歩いて行こうとするコアネール、リア、ポニスの3人を止める
「どうしたんですのリコ」
リコはリアとポニスをジーッと見ていた。
そして、顔をしかめ、口を開く。
「よ、ようー!可愛い妹のリアよ!リコお姉ちゃんに挨拶も無しかい?」
突然ぎこちない話し方でリアに話しかけるリコ。
「リ、リコ......どうしたですの?気でも触れたですムグッ!!」
コアネールの口を塞ぐリコ。
「可愛い妹のリアよ!!いつもだったらこのリコお姉ちゃんに甘えてくれるのになー!!ハッハッハ!!」
リコはそう言ってぎこちなく笑う。
「ごめんねリコお姉ちゃん!リア疲れちゃっててさ」
そう笑いながら言うリア。
それを聞いてコアネールとリコは目を合わせた。
何か様子が変なことに気が付く。
「ポニスさん、良く後輩のリアちゃんの面倒を見てくれましたね」
「そうッスよ、でもリアちゃんは良い子なので全然楽でしたッス!!」
そう言うポニス。
それを聞いて、コアネールは腕を大きく上げた。
ダダダダッ!!
すると、サンベルスの兵士達が集まり、リアとポニスの前に立った。
「な、何するのコアネールさん!?」
「リアちゃんはリコの妹ではありませんし、ポニスさんはリアちゃんのこと先輩って呼びます」
「な、何言ってるッスか!?自分達疲労困憊してて......」
「言い訳御無用、観念なさいな」
コアネールがそう言うと、リアとポニスは目を合わせる。
すると、シュルシュルシュルッと言う音と共にリアとポニスの身体は大きく変形し、別の形となる。
そして、音が消えると共に、リアは忍者部隊の虚空、ポニスは忍者部隊の清浄と姿を変えた。
「忍者部隊の変装を見破るなんて、なかなか察しが良いですね」
清浄はハッと感心しながら言った。
「リコ、お手柄でしたの。さあ、大人しく観念しなさいですの!!」
サンベルスの兵士達は清浄と虚空に槍を向けた。
「大人しく騙されていたら良かったものを......」
バフッ!!
清浄は地面に何かを投げる。
その何かは地面に落ちると、煙が発生し、大きく離散した。
そして、清浄と虚空は口にマスクを付ける。
「ゲホッ!!ゲホッ!!これは......毒ガス......」
「コ、コアネールさん......」
それを吸ったサンベルスの兵士達はバタバタと倒れる。
少し後ろに立っていたコアネールとリコも毒ガスを吸い込み、フラフラになる。
「こ、このような化学兵器は......平和協定で禁止されているはず......ですの」
「もう平和協定など有って無いようなものでしょう」
清浄は短刀を取り出す。
そして、コアネールに突き付けた。
「な、何を......」
「コアネール王女、優秀な貴女は邪魔です。ここで殺しておきましょう」
コアネールに向かって短刀を振り上げる清浄。
コアネールは思わず目をつぶった。
キンッ!!
しかし、その短刀は何かに防がれた。
それは長い刀である。
銀色の髪がコアネールの目の前に見えた。
「大丈夫!?コアネール、リコ!!」
そこには清浄の短刀を防ぐカエデの姿があった。
「カ、カエデさん......」
「ハッ!!」
ガキンッ!!
刀を強く振り、清浄を押し返すカエデ。
「ほう、その銀髪に長い刀、貴女が噂に聞くエーユエジル家の娘ですね」
「コアネール!リコ!コイツらは私に任せて城の中へ!!」
カエデは刀を前に構え直し、清浄と虚空を見ながら言った。
「わ、わかりました!!カエデさん、ありがとうございます!!」
そう言い、サンベルス城の中に走っていったコアネールとリコ。
それを見送り、清浄と虚空を睨むカエデ。
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