第187話 母の気持ち
「おーい、ロイくん!!」
俺がルビーの最後を見届けると、サイさんがこちらへ走ってきた。
「サイさん......」
俺はフラついて倒れそうになる。
「ロイくん!!」
ガシッ!!
サイさんが俺の身体を支えた。
「大丈夫かロイくん!?顔中痣だらけじゃないか!!」
「すいません、氷の魔力玉は取られちゃいました......」
「そうか......仕方ない、また作戦を考え直そう」
「はい......サファイアは?」
「途中で逃げていった。恐らく時間稼ぎをするという目的を達成したからだろう」
「そうですか......ルビーの頼みなんだけどな」
「とにかく一度家に戻ろう、それから色々と考えるか」
俺とサイさんはサイさんの実家に戻った。
今は布団を敷いてもらい、俺は横になっていた。
「全く......いつも無茶ばかりするんだな君は」
「ヘヘ、すいません」
「反省しているのか?」
「こうやって毎回サイさんに看病してもらうのも悪くないですからね」
「世話の焼ける弟だよ君は」
サイさんは俺の横に座った。
「しかし、本当にあのG3のルビーを撃破するなんて、驚いたぞロイくん」
「い、いえ、ルビーは自分で生命維持装置を破壊しましたし、結局氷の魔力玉は持っていかれてしまいました」
「そんなことはない、G3は今帝国軍の最高戦力だ。現に雪山での戦いで地の利で上回る私ですらサファイアには劣勢だった。それほど強い相手を撃破してしまうなんて、少し前の君と比べると随分と強くなったな」
そう言って微笑むサイさん。
「ありがとうございます......」
「さて、状況を整理すると魔力玉は全部で8つ、火、風、地はサンベルス城にてコアネール様が管理している。水は現在取りに行っている最中でどうなるかわからない。光、氷は帝国軍に取られてしまった。雷と闇はまだ消息が掴めていないというところか」
「はい」
「それにどうやら敵が魔力玉を集める目的は始祖龍エルダードラゴンの復活を目論んでいると言う可能性が高いということだな」
「はい、ヴァルロが言ってました」
「なるほど......水がどうなるかわからないが、次に帝国軍が打ってくる手は想像が付くな」
「何です?」
「サンベルス城の魔力玉の奪取だろう、しかも敵は隠密のプロの忍者部隊がいる。相当用心しなければ奪われてしまうな」
「そうか......そうですね、じゃあ直ぐにサンベルス城に戻らないと」
「うむ、明日にでも出発したいところだが、ロイくんのケガは大丈夫か?」
「はい、勿論大丈夫です!カエデ達が心配だ、明日に出発しましょう」
「わかった、そうしよう」
そして、次の日。
俺とサイさんは帰路に着いた。
「短い間だったが世話になったな、お母、シン、スウ」
「どうもありがとうございました!!」
「サイ姉もロイの兄ちゃんも気を付けてだべ〜」
「また帰ってくるだべよ〜」
お母さん、シンくん、スウちゃんがお見送りしてくれていた。
「全く......久しぶりに帰ってきたと思ったらもう行くだべか」
「すまないお母、時間が無くてな」
「親不孝な娘だべ」
「ま、また帰ってくるよ」
「そう言ってまたしばらく帰ってこないだべ」
「い、いや本当に帰ってくるって!!」
サイさんは顔を引き摺らせる。
「それじゃ、行ってくる。お母もシンもスウも元気で」
サイさんはそう言うと歩き出す。
「では、失礼します!!」
俺もサイさんに付いて歩く。
「サイ」
しかし、後ろからお母さんが声をかけてきた。
「しっかり頑張るだべよ」
それを聞いたサイさんは一瞬歩みを止めた。
しかし、直ぐに歩き出した。
「ありがとうだべ、お母」
そんなこんなで、俺とサイさんは再びサンベルス城目指し、歩みを進めるのだった。
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