表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

180/260

第180話 母娘の軋轢

「お母、本当に長い間会いに来なくてすまなかったな」


痺れを切らしてサイさんが口を開いた。


「ロイさん、ロイさんはどういった方なのですか?」


しかし、お母さんは無視して俺に話しかけてきた。


「え?あ、はい!魔王城で働いていて、サイさんの後輩です。今はサイさんと魔力玉集めをご一緒しているところです」


「そうだべか、出身や年齢は?」


「え?えーっと......出身はプーロという町で、年齢は17です」


「家業はなんなのですか?」


「か、家業?」


「お母、ロイさんは別にサイ姉の彼氏とかではないらしいべ」


シンくんはお母さんに耳打ちする。


あっ!もしかして彼氏と間違われてたのか......


「そうだべか、男女が一緒にいて恋仲ではないだべか」


「都会なら普通らしいべ」


そんな会話をしているサイさんの家族達。


「お母!!そんな話は良いんだ、今日は氷の魔力玉の話を聞きに来たんだ」


サイさんは困り顔で言う。


「氷の魔力玉......また古い話を持ち出して来ただべな」


「知ってるのか?」


「ずっと昔からあるべ、昔勇者がこの村に来て置いていったという伝説があるべ、この村から少し山を登ったところに氷の宮殿に今は置いてあるはずだべ」


「本当か!?必要なんだが持っていってもいいか?」


「もう誰も管理してない物だから勝手にしたら良いべ、6年前も勝手にしたんだから」


「そ、それは悪かったよ......ありがとうお母」


「しかも教師になるために大学に行くって言って出ていったのに、大学さ中退してしまう上に教師にもならんって、何考えてるだべさ」


「だ、だからそれは色々あってだな......」


「お前が大学に行くって言い出すからあの時来てた縁談も全部断っただべさ、氷魔人の女が村を出て大学なんて前代未聞だったべさ、それなのに結局辞めてしまうなんて」


「お、お母......それは申し訳なかったが、今は別に女は結婚するだけが幸せではないんだよ」


「そうは言うがお前の同い年のユキミさんやフローラさんはもう結婚してるべよ」


「嘘!?ユキミとフローラ結婚したの!?」


「当たり前だべさ、お前の同年代でももう子どももいる人もいるだべ」


「そ、そうか......皆大人になったんだな」


「みーんなちゃんとしてるだべ、行き遅れはお前だけだべさ」


「い、行き遅れ……」


何だが地元の話を聞かされているようだ......


サイさんは別に結婚なんてしていなくても、魔王軍の幹部で強くてカッコ良くて凄い人だから良いと思うんだけどな......


でも何だかいつもと違うサイさんが見れて嬉しいような気もある。


「ロイさんが恋仲でないのなら良い人はいるだべか?」


「いないよ、今は仕事を頑張ってるんだ」


「仕事を頑張ってるのは良いが、年齢が重なれば結婚も出産も難しくなるべ、お前結婚願望や出産願望はないべか」


「い、いや、そんなのまだ考えてないよ」


「お前は6年前も同じこと言ってたべ!!その時、20歳までには考えるって言ったべよ!お前今何歳だべさ!」


「だ、だからしつこいだべお母!!今は魔王軍で働けて満足してるべよ!!今の魔王様にこの身を捧げる気でいるだべ!!その先のことなんて考えてないべよ!!」


「何言ってるべ!若い内はいいが、20年後は身体も衰えて軍でなんか戦えないべさ、その時になって焦ってももう遅いだべよ!!」


「そ、それはそうだべが......」


「まあもう良いべ!!もうお前には何も言わん、お前はもう成人してるんだから勝手にすれば良いべ!!」


そう言って立ち上がるお母さん。


「ロイさん、今日は家でゆっくりして行くだべ、シンとスウは部屋やお風呂案内して上げるだべ」


そう言い残して、歩いていくお母さん。


「お母......私は今幸せだべ、お母にも認めてほしいだべさ」


「.......」


サイさんはそう呟くが、お母さんは無視して部屋を出ていってしまった。


「......」


「......」


俺はサイさんを心配そうな目で見る。


「すまんなロイくん、見苦しいところを見せた。こんな感じで母とは上手くいってないんだ」


そう言ってぎこちなく笑うサイさん。


「いえ、俺はサイさんの気持ちも理解出来ますし、娘を心配するお母さんの理解出来ます。魔王軍で働いているサイさんはカッコよくて憧れてますよ!!」


俺がそう言うとサイさんは一瞬驚いたような表情をするが、直ぐに微笑んだ。


「ありがとうなロイくん、今日はもう遅いし休もうか、私は先に部屋に戻る。母の言う通り、シンとスウに案内してもらってくれ」


そう言って部屋を出ていくサイさん。


家族の難しい問題だな。俺もリアのこと心配しまくってたしな......


逆に俺はリアに彼氏が出来たら、泣き叫んで悲しむけどな。


「ロイの兄ちゃん」


「ん?」


シンくんとスウちゃんがニコニコしながら俺を見ていた。


「案内して上げるだべ!付いてきて!!」


そう言って俺の手を掴み、引っ張るシンくんとスウちゃん。

面白い!続きが気になる!今後に期待!


と思っていただけたら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちを残していただくと嬉しいです!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ