第１７８話 忍者の戦い方
「これは……」
「ハハハハハッ！俺の技で最も威力のある技！すべてに燃え移る無限の業火！！」
「待って！！下には貴方の仲間もいるんだよ！？」
「仲間？誰がだ？そこに倒れている役立たずどものことか？ハハハッ、負けてしまった者は仲間ではない、それが忍者部隊の掟！！」
「なっ……」
「俺は力さえ手に入ればそれで良い！！そのためには犠牲も厭わない！！」
「もう良い！！」
リアは地面に手を当て、六徳と刹那の上に何重もの土の壁を作った。
「ほう、まだそんなに大きな壁を作れるか。だがそれを自分に使わなかったことを後悔しろ！！」
虚空は跳び上がった。
「くらえ！！忍法・大豪炎流星球！！」
虚空は巨大な炎を下に投げ付ける。
ゴオオオオォォォォォ！！！
「これはヤバイ！」
リアも手に炎を溜める。
「死ね！！」
ズゴォォォォォォン！！
その瞬間、巨大な火の球はリアに直撃した。
火の球はすさまじい範囲に響き渡り、地面は火の海とかす。
火の海は何重もの土の壁を溶かした。
しかし、刹那達にはぎりぎり届かず、ダメージは受けなかった。
「さすがの魔力だ、驚いた」
虚空は上空に跳び続けている。
「まあ、なんにせよこれで終わった。後は清浄様と合流して」
バシュッ！！
その瞬間、火の海から何かが跳び出してきた。
「なっ！お、お前なぜ生きて……」
「せりゃあ！！」
ところどころ服や髪が焦げたリアは跳び出してた勢いで、虚空を蹴った。
「ぐわっ！！」
ドサッ！！
虚空は少し吹っ飛んで地面に落ちる。
「……はあ……はあ、こんなのイカちゃんの最後の一撃に比べれば！痛くも痒くもないよ！！」
「ち、ちくしょう！俺の必殺奥義が！！この化け物め！！」
「ぎりぎりだったけどリアの勝ち！」
ボフッ！！
リアはまた手に炎を溜める。
「とどめだよ！！」
ダッダッダッ！！
リアは走って虚空の方に向かった。
「ひ、ひぃ！来るな！」
「貴方はリアの仲間を傷つけ！あまつさえ自分の仲間も傷つけようとした！許さない！！」
リアは虚空の至近距離まで近付き、手を振り上げた。
「わ、わかった！降参する！お前の仲間達を傷つけて悪かった！それにこれからは自分の仲間も大切にする！だから命だけは！！」
「え……」
シュン......
リアはそれを聞き、手の炎を緩めた。
「……フフ！！」
ガシッ！！
虚空はそれを見ると、素早くリアの首を掴んだ。
「馬鹿が！！最後の最後で油断しやがったな！！」
「し、しまっ……」
「死ね！」
ボフッ！！
虚空はもう片方の手で炎を放った。
炎が直撃し、吹き飛ぶリア。
「ひぐっ！！」
ガンッ！！
リアは壁にぶつかり、うつぶせに倒れた。
「フフフ！ハハハッ！！勝てばいいんだよ勝てば！！これが忍者部隊の戦い方だ！！」
虚空はリアに近づく。
「化け物並みの強さだったが、さすがに力尽きたようだな」
それを確認すると、虚空は懐からスイッチを取り出した。
「この遺跡には予め爆弾を仕掛けて置いた、この遺跡を崩せるぐらいの威力のな。水の魔力玉は手に入れたと言うことはこの遺跡はもう用済み、お前らはこの遺跡の下敷きになるんだ」
そう言いながら、爆弾のスイッチを押した虚空。
バアァァァァァァァァン！！
あちこちで爆発する音が鳴り響く。
すると、ヴェネット遺跡はギシギシと音立てて崩れ始める。
「さて、任務は完了した。これから俺は」
ガシッ！！
その時、虚空の足は何かに掴まれた。
「あ？」
虚空が振り向くと、リアがうつぶせになりながら虚空の足を掴んでいた。
「お前は…………いい加減しつこいんだよ！！」
ドスッ！！
虚空は思いきりリアの脇腹を蹴った。
リアは無言で吹き飛び、血を流して気絶する。
「ちっ、邪魔が入ったが、俺の目的に損傷はない」
そう言い残し、虚空は走って遺跡を出ていった。
ガガガガガッ！！
崩れ落ち始めるヴェネット遺跡。
以前としてリアは気絶したままだ。
「く......せ、先輩......」
崩れ始めているヴェネット遺跡の音と混じり、その声が聞こえる。
その声を発する主は、ポニスの頭だった。
凍っていたポニスの破片が先ほどの虚空の火炎で溶けていたのだ。
「何とか復活出来そうッス......」
ポニスは自分の破片を集め、徐々に合体していった。
そして、元の女の子の姿に戻った。
「先輩、絶対助けるッスよ！！」
ポニスは気絶しているリアを担ぎ、ヴェネット遺跡の出口へと走っていった。
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