第173話 新ジョーカーポニス
「クソ……」
六徳は立ち上がった。
「テメーなんで死んでない!!確かに心臓を貫いたはずだ!!」
六徳はポニス見るが、ポニスには傷一つ付いていなかった。
「そんなはずないわよ、貴方の勘違いじゃない?」
刹那は手裏剣をポニに投げ付けた。
手裏剣はポニの腹に刺さる。
しかし、手裏剣はポニスの体をすり抜け後ろヘ飛んでいった。
「何っ!?攻撃が当たらない!?」
「全然ダメッスね、次は自分からいくッスよ!」
ポニスは右手を前に出した。
「軟化!!」
そう叫ぶと、手はゴムのように伸びた。
「な、なんだ!!」
「硬化!!」
今度は伸びた手が鉄のように固まった。
「くらうッス!!」
「くっ!」
六徳は飛んできた手をぎりぎり避けた。
ドゴッ!!
伸びた手は壁に当たり、壁を破壊した。
「チッ!外したッスか」
ポニの右手は縮み、元の場所に戻る。
「なるほど、見えてきた。今の手を伸ばしたり、手裏剣をすり抜けさせたり、はたまた手を鉄のように硬化させたり、魔法で弾いたり魔力をコーティングした訳でもない。お前人間じゃないな?」
虚空はメガネを上げた。
「ハッハッハ、自分を人間なんかと一緒にしないで下さいッス!!自分はバニス一族のポニス・バニス!カードのジョーカーッス!!」
「バニス一族、モンスターの一族で確か種族はスライムだな」
「そうッスよ!!こんな感じッス!!」
ポニスがそう言うと、ポニスの身体はどんどんゲル状になり、半透明となった。
そして、どんどん形を変えて、丸っこいゲルに目と口だけが付いた姿となった。
「こんな感じでスライムなので自由自在に形を変えられるッスよ、普段はいつものこの姿でいるッス」
そう言うと再び元の女の子の姿に戻るポニス。
「なるほど、モンスターだったのですね。しかも最弱のスライムとは」
「最弱じゃないッスよ!!」
「六徳、刹那、バニス一族はスライムの能力を極限に使いこなしていると聞く。油断しないように」
「わかりました」
3人はポニスを見た。
ポニスは見る3人に向けて中指を立てる。
「こいつ……」
「行くッスよ!忍忍共!」
ポニスは腕を軟化し、天井に向けて飛ばした。
「硬化!」
ポニスの手は硬化し、天井に突き刺さる。
そしてポニスは天井に引き寄せられ、上に大きく飛んだ。
「気をつけて下さい2人共、何かきますよ」
「くらうッス!スライムランス!!」
ポニスの手から大量のゲルの粒が現れ、下に降り注いだ。
「俺に任せろ!!忍法・昇火柱」
虚空は上に向かい火を吐いて、ゲルを蒸発させる。
そして、そのまま火はポニスに向かって飛んだ。
「スライムシールドッス!」
自分の前にゲルの壁を作るポニス。
ゲルの壁はポニスを火から守った。
そして、地面に着地するポニス。
「ハッハッハ、やっぱり自分は無敵ッス!!」
ポニスは手を前に突き出し、ポーズを決めた。
「おい、さっさとこいつ黙らせましょう」
「恐れおののいたッスか!」
「確かにこのままでは相当ウザいな、さっさと仕留めよう」
「だけどどう戦うの?こいつには斬撃も忍術も効かないのよ?」
「隙を狙うしかないな」
「ない頭使って考えた無駄な作戦会議は終わったッスか!?いくッスよ!」
ポニスは口から水弾を吐き出した。
「危ないわよ六徳!」
「わかってます!」
六徳は左に避ける。
「甘いッスよ!」
その避けた水弾はポニスになり、元いたポニスは水になり消えた。
「なにっ!?」
「硬化!」
ポニスは硬化させた拳で六徳を殴った。
「ぐっ!」
六徳は吹っ飛んで壁にぶつかった。
「六徳!!」
「大丈夫だ、当たりが浅い」
虚空がそう言った瞬間、六徳は立ち上がる。
「お前……自分の体を軟化させて飛ばしたのか」
「そうッス!それにこんなことだって出来るッスよ!」
ポニスは体を全て軟化させ、ゲル状になる。
ギュルギュルギュルッ!!
そして、身体を捩り、グルグルと上半身のみ回転させた。
「飛ぶッス!」
ポニスの体は上半身と下半身が離れ、上半身だけ刹那に向かって飛んでいった。
「硬化ッス!」
ポニスの上半身は飛びながらカチカチになり、そのまま刹那に頭から突っ込もうとする。
「キモいのよ伸びたり離れたり!」
ガンッ!!
刹那はポニスが飛んでくるタイミングに合わせて、手で頭を押さえつける。
「キモくないッスよ!」
その瞬間、ポニスの体は軟化し、刹那を包み込む。
「硬化!」
そして硬化したポニスの体が刹那を縛りつけた。
「う、動けない!」
「終わりッス!」
ポニスの下半身は軟化して足と足を捩り、まるでドリルのようになった。
そして、動けない刹那に向かって飛んだ。
「やばい!!」
「まずは1人目ッス!」
「させませんよ?」
ドガッ!!
虚空は横からポニスの下半身を蹴り飛ばした。
ポニスの下半身はバランスを崩し、地面に落ちる。
「自分の身体に何するんスか!」
「刹那、毒の霧を吐くのです」
「わかった!忍法毒霧の術!」
刹那は紫色の煙を吐き出した。
「やばいッス!」
ポニスは急いで刹那から離れ、下半身の方に向かう。
そして、くっつき、元の姿に戻った。
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