第169話 皇帝選挙 2
それから数日経ち、飛行船は皇都ニューペルシアルに辿り着いた。
「大丈夫ですかコアネールさん?」
「.......いっそ殺してくださいですの」
青白い顔のコアネール。
「着きましたよ!早く出て外の空気吸いましょう!」
「リコ……ちょっと肩を貸してください」
「肩でもなんでも貸しますよ!」
コアネールはリコの肩に手を置いて、外に出た。
飛行船から外に出ると、そこにはどこの町よりも高度に発展した都市が広がっていた。
「わー!すごい!ここが噂に聞いたニューペルシアルですか!!」
自分の故郷に村と比べて、とんでもなく広大な都市に感激するリコ。
「思っていたよりすごい!私の村とは比べ物になりません」
「うっ……ここは世界で最も栄えている国、サンベルスの二倍以上の土地に、経済力。すべての国の模範となっている国ですから」
コアネールはリコの肩から離れ、横にあるベンチに座りながら言った。
「でもすごいですね、こんな巨大な都市がたくさんある中でコアネールさんは今皇帝候補なんですから」
「そんなにすごいことでもありませんわよ、私からしてみたら自給自足で生活出来るリコの方がよっぽどすごいですの」
「そんな......私なんか」
「そうですよコアネール王女」
コアネールとリコが隣を見ると、金髪の若い男とたくさんの護衛がいた。
「あ!あなたは……」
「わざわざお出迎えありがとうございますエンバンスさん」
コアネールはむすっとしながら言った。
この男が前皇帝ベインの息子でロゼーリアの弟のエンバンスである。
「エ、エンバンス皇子!?こ、こんにちは!私コアネールさんの付き添いのリコと」
「選挙はどうです?順調ですか?」
リコが話しているのを無視してコアネールに話しかけるエンバンス。
「いいえ、一位でもないのに満足は出来ないですの」
「ハハハ!相変わらず強気な女性だ、しかしホントにここから逆転出来るつもりでいるのですか?」
「当たり前ですの、そのつもりじゃないといちいちこんなところまで来ませんわ」
「面白い人だなあなたは。もし今選挙を辞退するなら私の妻として皇后にしてやってもいいが?」
エンバンスはコアネールを見ながら言う。
「えっ!それって……」
リコはコアネールを見た。
コアネールは悔しそうにエンバンスを睨む。
「丁重にお断りしますの!!」
「フッ、あなたは馬鹿な人だ。いつか絶対後悔する日が来るでしょう」
「後悔はしませんわ、だって私は選挙で勝ちますから」
コアネールはリコを見た。
リコはコアネールに笑顔で返す。
「ハッ!!そんなレベルの低い付き人を付けて、品格が下がりますよ」
「今何とおっしゃいましたか!?」
コアネールはエンバンスを睨む。
「フッ、まあいいです。また後ほど会いましょう」
エンバンスは手を振って、去っていった。
それを睨みながら見るコアネールと呆然と見るリコ。
「ぺっぺっ!!2度と来るな!!ですわ!!」
「コアネールさん……」
「あんな男の言うことをいちいち気にしていたらいけませんわよ」
「わかってます!けどコアネールさんといいレイカちゃんといい、なんで無駄にモテるんですか!」
「そ、そう言われましても......あんな男にモテたところで意味ないですわ」
「やっぱり気品が違うんでしょうか......」
リコはコアネールの顔をじーっと見る。
(よかったですわ……リコのことだからさっきのレベルの低いという言葉を気にすると思ってましたけど)
「やっぱりコアネールさんは気品ある顔してます......」
「あら、私はリコも結構可愛いお顔をしていると思うですのよ?アホじゃなかったらモテると思いますの」
「そうですかね?ってアホじゃないですよ!リコは利口ですよ!」
「さあ馬鹿やってないで行きますわよ、ホテル借りてありますから」
「馬鹿じゃないですよ!」
2人はホテルに着き、チェックインを済ませ、部屋に入った。
「うわー!」
「あなたさっきから驚いてばっかりですの」
「だってこんな綺麗な部屋に泊まるのなんて初めてなんです!」
リコはベッドに寝転んだ。
「まあ今日はゆっくり休むですの、明日はいよいよ選挙の演説があります。逆転するにはこの演説を成功させるしかないですの」
「ですね!私も精一杯応援しちゃいます!」
リコは鞄からチアガールの服とぽんぽんを取り出した。
「あ、あの......それで応援する気ですの?」
「はい!私こう見えて村の運動会でチアガールやってましたから!」
「普通に見守ってくれるだけでいいですのよ」
「ダメです!それじゃ誠意が伝わらないじゃないですか!」
「誠意......」
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